『ことばの用法』
背景は再度明度の低いグリーン(上半分)と煉瓦(下半分)であり、不定形な白い部分には canon corps de femme arbre という文字が各所に描かれている。
確かに文字(言葉)である。
用法とあるが、むしろ意味を霧消している。
canon(規範・基準・法令)、corps de femme(女・隊)、arbre(樹木)、この三つの言葉に関連はなくただ記されているのみである。それぞれイメージはできるかもしれないがそれ以上でも以下でもなく、全体的には不可解な印象しかない。
レンガは人智をグリーンは自然を暗示していると思われるが、そこに浮上した単語は単語であるままでしかない。
しいて言えば、canonには人を拘束・是正するような強制力があるが、直接的な響き(影響力)は認められない。
corps de femme は、女の体もしくは女の兵隊(?)というような曖昧なイメージであり、arbre(木)に結びつくとは思えない。
要するに『ことばの用法』とは関連・目的なくしては意味がなく、イメージは他の関係のない言葉によってむしろ打ち消されてしまう。用法は成立しないということかもしれない。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
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