『海に突き出た岩』
タイトル通りの巨大と思える岩石が海に突き出ている景である。
海は・・・水平線は? 水平線の位置が不明確である。
確かに海と空は岩の向こうにあるが、雲らしきものに遮られ、水平線を確認できない。海に突き出た岩の迫力、巨大さが目に付く。海と空とは岩によって狭められ背景と化しているにすぎない。
岩の主張、海に突き出た岩の雄々しさ。
《そうだろうか》
近視眼的な視野、大海原を考えるまでもなく岩はどんなに巨岩であっても、海に比して淋しく小さな存在に過ぎない。この悲哀を岩は隠している。
海(世界)は広い、大声を張り上げても届かない。海に突き出た岩も限界があり、いつかその重みで崩壊を余儀なくされる日が来るに違いない。
『海に突き出た岩』は(わたし=作家自身)かもしれない。
『HOPPER』(岩波 世界の巨匠より)
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