続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『ローズ・セラヴィよ、なぜくしゃみをしない?』③

2016-08-09 07:14:28 | 美術ノート

(角砂糖を模した)立方体の大理石が数多混入している鳥籠・・・このような趣旨の解説を読み、作品を眺めるから、角砂糖を模した大理石だと思い、鳥籠でないものを鳥籠だと確信してしまうのではないか。

 確かにそう見えるし、彼(デュシャン)自身がそう発言したのかもしれない。

 けれど、その内実はどう見ても違和感がある。鳥籠というより何かの仕掛けのある捕獲器のような気がする。大理石のほうは砂糖を模したというより、白く美しく重量のある物は何かを隠している(隠ぺいしている)という印象である。(もちろん現実には何も入っていないわけだけど)

 『ローズ・セラヴィよ、なぜくしゃみをしない?』

 『ローズ・セラヴィよ、なぜ疑わない?』

 この奇妙な取り合わせ(大理石・温度計・イカの甲羅‥)は噴飯物である。
 『ローズ・セラヴィよ、なぜ笑わない?』

 奇妙なものを奇妙だと見る正確な直観力・視野をデュシャンに試されているような気がしてならない。


(写真は『デュシャン』新潮美術文庫より)


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