続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

吉川宏志(私的解釈)へらへらと。

2022-02-01 06:41:16 | 吉川宏志

 へらへらと父になりたり砂利道の月見草から蛾が飛びたちぬ

 へらへらと父になりたり…思いがけず軽い感じで父になってしまった。
 砂利道、でこぼこ道、地を固める以前の不安定な道である。

 月見草は夜咲く花、蛾も夜活動する虫。夜の優しさに包まれた甘美な時空の怪しさに酔いしれた蛾(わたし)が、不意に飛びたった。
 歓呼の声を上げたのである。

 へらへらと、右も左もわからないまま自然の摂理に従い《父》になったという、挙動不審、狼狽えるさまが初々しい誕生秘話。(飛びたちぬ)、すでに事態は動き、始まっている。新しい門出、旅立ちである。


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