『哲学者のランプ』
漆黒の闇が背景である。
哲学者の凝視する眼差し、しかしさらに巨きな鼻は突き出しパイプへと連結しており、パイプは口へと循環している。
逆に言うと、口から出た言葉は外部に漏れず、自分の中に帰結するという具合であり、煩悶は繰り返し、自身の中に留まっている。
燭台がある。蠟燭は燃えているが弱い光しか放たず、ろうそくは蛇の如く長くうねり、その根源は不明である。
連綿と続く思索、答え(出口)のない煩悶、公表はない。
しかし、この『哲学者のランプ』が、わたくし(マグリット)自身である。毅然と闇の中をまい進するものである。
写真は『マグリット』展・図録より
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