続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『Valleys(2nd stage)』

2021-06-25 06:33:38 | 美術ノート

   Valleys(2nd stage)

 横須賀美術館前に設置されたこの作品、通るたびに考えている。設計図にあるようにもともとは、二本の通路が背中合わせになっている構図である。

 一方を行けば他方は未知であるという関係、限りなく道は続いていくその一端の提示を鑑賞者は歩く。
 道の選択、二分の一は想像するしかない、存在しているが選ばない限りそれは無いのと同じである。

 見えない、知らない世界は見えている世界に等しいだろうか。夢想の基本はここにあり、未来永劫の時間と地球(宇宙)創生の過去の時間。過去の時間は確かに存在していたが、未来は現在に続く道(時間)であること以上には不明である。

 過去と未来、生と死・・・現時点からの選択、あるいは免れ得ぬもの(時間)は、選択の自由を委ねられていないかもしれない。
 わたしたちは常に存在を生き、非存在(不在)を夢想する。無からの大いなる束縛は存在を常に脅かすものであるが、宿命という名のもとに見えないものを背に負っている。存在の半分は非存在の振動を受け、非存在との共同体である。道は空と地底、過去と未来を孕んだ細く長く続く低地である。


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