きわめて分かりにくい作品である。しかし、
Ciceron/観光案内人・・・Cicero/キケロを暗示していないか。
ピルボケ(人間のようで人間でない)は、口から火を噴いている。これは激しい言葉、論争を意味しており、闘争でもある。
ローブ〔(ローマ皇帝の着用するトーガという説もある)/図録の解説より〕を着けた三人・・・。
トーガ着用の三人、つまりローマ時代の三頭政治を示唆しているのではないか。それぞれ全く異なる方向を向いている三人の実力者である。
手前はカエサルだろうか、がっちり握られた建屋の模型は民衆の生活の象徴だと思う。
火を吹くような過激な演説、民衆をその手中に掲げた独裁者の絶大なる権力。
「ずっと昔、遥かな昔、こういうことがありました。ここがその現場(国)であります」観光案内人は火を吹くような力説をまくし立てている。遥かな未来(あるいは冥府での寸劇)、歴史はこんなふうに寓話化されていくのではないだろうか。マグリットの独り言である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
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