学校で教えてくれない経済学・・・ 江嵜企画代表
Black-gold rushなる言葉が、いま、米国ではやっているそうだ。
Gold-rushは、1848年、米国、カリフォルニア州で金の採掘者が
殺到したときに生まれた言葉であるが、日本でも良く知られている。
ブラック‐ゴールド。いわずとしれた原油のことである。
原油相場は、10月14日のNY原油先物市場でついにバーレル54ドルを
突破した。有史以来の高値である。原油相場はどこまで上がるのか。
日本人ひとりひとりにとっても無視できない。
ところが、ゴールドというと日本人はピクッとくるが、原油というと
ほとんど反応しない。それでも最近ガソリンが多少上がってきたので、
車に常時乗っている人間は原油高騰に少しは関心が向いてきた。
しかし、原油高騰について、一般的には極めて関心が薄い。
1973年、その日本でもトイレットペーパーを求めてスーパーや
百貨店へ主婦など買い物客が殺到した。かれこれ30年前の話で
あるから、なんのことかと特に若者には相手にされないのも
自然である。
1971年、原油相場は1バーレル2ドルであった。
それが1972年、一挙に8ドルへ暴騰した。
第一次オイルショックである。原油が上がれば物不足が起こり、
それがトイレットペーパーが手に入らなくなるとパニックになった。
その後原油は30年かけて30ドル近くまで上がった。
しかし円相場が当時1ドル=300円台だったのが現在の
1ドル=110円で落ちついているためドルの値段がそのまま
日本人の台所を直撃していないだけである。
その原油相場が、2002年あの忌まわしい9:11テロ事件
あたりからじりじりと上がり始めた。米国がイラクに攻め込んで
から値上りピッチが早まった。
米有力経済誌のBusiness Weekの記事に、米国大統領、
ジョージ・ブッシュ氏は、石油のニオイがすると書かれたものだ。
イラク戦争は、ニユーヨークのテロ事件やイラクの大量破壊兵器
隠匿が全面に出ているが、米国では原油がキーワードである。
米大統領選挙は、11月2日の投票日をまじかに控えて、
ブッシュとケリー候補で白熱の度を高めているが、もしブッシュが
負けると、皮肉にも、原油高騰で歴史に名を残す偉大なる
大統領になるかもしれない。
原油相場高騰で産油国はウハウハの好景気を謳歌していると
外電は伝えている。笑いがとまらないのは米国油田も例外でない。
それがブラック・ゴールドラッシュなる言葉を生んだ。
物の値段は買い手と売り手のバランスで決まる。相場には
行き過ぎがつきものであるから上がる時はどこまでも上がると
思い、下がる時はどこまでも下がるという性格を本来的に
もっているから原油高騰を一概に責められない。
世界の原油消費の25%は米国が占めている。第2位が
中国で8%、3位が日本で7%。トップ3で40%を占めている。
米国は世界有数の産油国であるが輸入国でもある。
中国も産油国であるが2年前から急激に原油の輸入を
増やしてきた。日本は言わずとしれた純粋の輸入国である。
生産はゼロに等しいからだ。そのことについて日本の学校で
教えているかもしれないが日本人の多くは記憶にないと
思われる。
台風の目の中にはいると風が止まる。世界はいま原油高騰という
猛烈な台風にかきまわされている。にもかかわらず、日本に
住んでいるとそれが実感できない。
ブッシュが米大統領選に落選すれば原油相場は暴落するという
シナリオもある。供給不安を煽りたてている相場が一端冷えれば
急落するというのも相場の常である。
米国では低燃費のハイブリッド車が飛ぶように売れているという
話もある。米国では原油消費の50%がガソリン用である。
ガソリンの節約が米国で進めば原油消費は目に見えて減るからだ。
ゴールドラッシュは1848年で終わった。ブラック‐ゴールドラッシュは
いつまで続くのか。肝心の原油採掘業者自身が警戒的であることを
忘れてはならないであろう。新しい油田掘削には全く興味を示して
いないからだ。
調子にのって長い列の後ろに並んでいると売り場が違っていた
ということはよくある。経済の世界は本当に浮気ものだ。油断もスキも
ならない。
相場の世界では高をくくるととんでもないしっぺ返しをくらう。
バレール40ドル近辺での高値安定は十分予測出来るが、60ドル、
70ドルと天井知らずに原油相場が高騰することはなさそうだ。
食べ過ぎが一番いけない。腹八分目というではないか。(了)
Black-gold rushなる言葉が、いま、米国ではやっているそうだ。
Gold-rushは、1848年、米国、カリフォルニア州で金の採掘者が
殺到したときに生まれた言葉であるが、日本でも良く知られている。
ブラック‐ゴールド。いわずとしれた原油のことである。
原油相場は、10月14日のNY原油先物市場でついにバーレル54ドルを
突破した。有史以来の高値である。原油相場はどこまで上がるのか。
日本人ひとりひとりにとっても無視できない。
ところが、ゴールドというと日本人はピクッとくるが、原油というと
ほとんど反応しない。それでも最近ガソリンが多少上がってきたので、
車に常時乗っている人間は原油高騰に少しは関心が向いてきた。
しかし、原油高騰について、一般的には極めて関心が薄い。
1973年、その日本でもトイレットペーパーを求めてスーパーや
百貨店へ主婦など買い物客が殺到した。かれこれ30年前の話で
あるから、なんのことかと特に若者には相手にされないのも
自然である。
1971年、原油相場は1バーレル2ドルであった。
それが1972年、一挙に8ドルへ暴騰した。
第一次オイルショックである。原油が上がれば物不足が起こり、
それがトイレットペーパーが手に入らなくなるとパニックになった。
その後原油は30年かけて30ドル近くまで上がった。
しかし円相場が当時1ドル=300円台だったのが現在の
1ドル=110円で落ちついているためドルの値段がそのまま
日本人の台所を直撃していないだけである。
その原油相場が、2002年あの忌まわしい9:11テロ事件
あたりからじりじりと上がり始めた。米国がイラクに攻め込んで
から値上りピッチが早まった。
米有力経済誌のBusiness Weekの記事に、米国大統領、
ジョージ・ブッシュ氏は、石油のニオイがすると書かれたものだ。
イラク戦争は、ニユーヨークのテロ事件やイラクの大量破壊兵器
隠匿が全面に出ているが、米国では原油がキーワードである。
米大統領選挙は、11月2日の投票日をまじかに控えて、
ブッシュとケリー候補で白熱の度を高めているが、もしブッシュが
負けると、皮肉にも、原油高騰で歴史に名を残す偉大なる
大統領になるかもしれない。
原油相場高騰で産油国はウハウハの好景気を謳歌していると
外電は伝えている。笑いがとまらないのは米国油田も例外でない。
それがブラック・ゴールドラッシュなる言葉を生んだ。
物の値段は買い手と売り手のバランスで決まる。相場には
行き過ぎがつきものであるから上がる時はどこまでも上がると
思い、下がる時はどこまでも下がるという性格を本来的に
もっているから原油高騰を一概に責められない。
世界の原油消費の25%は米国が占めている。第2位が
中国で8%、3位が日本で7%。トップ3で40%を占めている。
米国は世界有数の産油国であるが輸入国でもある。
中国も産油国であるが2年前から急激に原油の輸入を
増やしてきた。日本は言わずとしれた純粋の輸入国である。
生産はゼロに等しいからだ。そのことについて日本の学校で
教えているかもしれないが日本人の多くは記憶にないと
思われる。
台風の目の中にはいると風が止まる。世界はいま原油高騰という
猛烈な台風にかきまわされている。にもかかわらず、日本に
住んでいるとそれが実感できない。
ブッシュが米大統領選に落選すれば原油相場は暴落するという
シナリオもある。供給不安を煽りたてている相場が一端冷えれば
急落するというのも相場の常である。
米国では低燃費のハイブリッド車が飛ぶように売れているという
話もある。米国では原油消費の50%がガソリン用である。
ガソリンの節約が米国で進めば原油消費は目に見えて減るからだ。
ゴールドラッシュは1848年で終わった。ブラック‐ゴールドラッシュは
いつまで続くのか。肝心の原油採掘業者自身が警戒的であることを
忘れてはならないであろう。新しい油田掘削には全く興味を示して
いないからだ。
調子にのって長い列の後ろに並んでいると売り場が違っていた
ということはよくある。経済の世界は本当に浮気ものだ。油断もスキも
ならない。
相場の世界では高をくくるととんでもないしっぺ返しをくらう。
バレール40ドル近辺での高値安定は十分予測出来るが、60ドル、
70ドルと天井知らずに原油相場が高騰することはなさそうだ。
食べ過ぎが一番いけない。腹八分目というではないか。(了)