画・江嵜 健一郎
第28回「グループからす展」(2022年5月26~5月31日)がJR元町駅近くのアートホール神戸で開かれると同会メンバーのおひとりの画家の吉岡成郎先生からご案内いただき、初日の26日、楽しみにして出かけた。吉岡先生を左隅に入れてスケッチした。
吉岡先生とのご縁は、阪神淡路大震災のちょうど前の年の平成6年4月から東灘区民センターの自由参加の教室で鉛筆デッサンの手ほどきを受けてからだから結構長い。
さらに奇遇というか、吉岡先生の個展を震災の前日の平成7年1月16日午後たまたま家族と拝見した。震災では自宅マンション、阪神青木駅前の里も全壊した。吉岡先生のお宅も全壊、一命はとりとめられたが、絵のほとんどを無くされた。
吉岡先生は現在85歳、水彩画画家として今回のようなグループ展ふくめ個展開催など現役で活躍しておられる。
この日はパラパラと訪れる人の合間に20~30分いろいろ吉岡先生と絵談義が出来幸いだった。吉岡先生が訪問客の応対中をねらって、ちょこちょこっと会場の様子をソファーに座ってスケッチしていると、そばに来られて「僕はこれが出来ませんのです。うらやましい。」とおっしゃった。吉岡先生は京都の絵の専門の大学ではクロッキーを短時間で仕上げる指導は受けたと話された。一方、小生はただの素人に過ぎない。
話しは飛ぶが、たまたま京都での「新日春展」に25日に出かける途中、JR芦屋駅で新快速待ち時間にご夫婦とベビーカーに赤ちゃんと目が合った。「かわいいですね」と声をかけた。
向かい同士で席に着いたのを幸いに赤ちゃんからお母さん、お父さんいれてスケッチしてあらかじめ大阪駅で降りられると聞いていたのであわただしく描き上げてお渡しすることが出来幸いだった。電車が出るまで窓越しに見送っていただいた。スケッチがないと誰も見送ってくれない。
大いに脱線した。今回吉岡先生は6点一か所にまとめて展示しておられた。コーナーの一番左の「海の見える坂道」から5点は景色、あと一枚が人物画だった。吉岡先生の絵にいつも温もりを感じる絵が多い。岸辺に休む船の絵含め癒しの光景が多い。
吉岡先生は水彩画家であるが当のグループは洋画が多かった。人物画では裸婦も目に付いた。メンバーの年齢は?とお聞きしたところ最高は88歳、洋画家との返事だった。奥さんが絵描きさんで定年後旦那さんが絵をはじめ腕を上げた方もおられるそうだ。
絵を描いていると齢を忘れると吉岡先生はおっしゃった。描きながらエネルギーを頂くことは間違いない。いつまで絵を描けるか不明であるが見苦しい絵だなと思い始めるまでは楽しみながら描き続けたいと思う次第である。(了)