学生時代だったから、今から約40年以上も前の、
古い話で恐縮だが、大阪と兵庫の県境にある尼崎で、
家庭教師をしていたとき、生徒のお宅で
洗濯物が煤(すす)で真っ黒になった経験をした。
現在、国道2号線に面した、神戸住吉に住んでいるが、
排気ガスが、虫除けネットを通して入り込み、窓ガラスが
少し横着をしているとたちまち黒くなる。
それでは空気がきれいだろうと、国道2号線から
約200メートル上る、六甲の山すそのお宅のエアコンの
掃除を職業にしている人の話を聞くと排気ガスで
汚れているという。
空気が拡散して、海風が汚染された空気を六甲の
山すそまで運び、そこで汚れた空気が滞留して、
周辺の空気を汚染させているというのだから
怖い話である。
天高く馬肥ゆる秋のシーズンが近づいているが、
天高く煙突を高くすれば、足もとの住民はきれいな
空気を吸う計算になるだけの話にすぎない。
拡散させればいい。水でも空気でもただ薄めて
拡散させればいいというのが日本の環境規制の
基準だから、手の打ちようがないのかもしれない。
最近話題のアスベストの解体作業をしていた職人さんの
話を聞く機会があったが、防塵マスクをしても、マスクの目が
たちまち詰まるから、マスクを外しての作業を余儀なくされるという。
話は飛ぶ。米国有数の経済誌、Business Week最新号、
8月22/29日合併号は、中国・インド特集を組んでおり、
お時間が許せば、必見の書物であるとおもうが、
”Big,Dirty Growth Engin”という小見出しで、公害問題が
いま、中国を悩ませている実態を詳しく報じている。
中国は、2008年、北京オリンピック開催を控えて、
中国のイメージを国際的に高めようと躍起になっており、
空気と水をきれいにするために、130億ドル(1兆5,000億円)
を特別に予算化しているという。
しかし、年率8%の成長が中国の国是であるから
北京の悲壮なまでの空気と水をきれいいする作戦は
失敗するだろうと解説している。
米国でClean Air Act(大気浄化法)が、成立したのは、
1990年であるから15年前の話であるが、そこでは
フロンガス規制も正面から取り上げられたが、米国での
法案成立を機に、日本でもフロンガス規制が後追いで
始まった。
フロンガスは、保冷保温剤として、安くて便利だからと
いうことで普及した。アスベストも、耐熱、耐磨耗剤として、
安くて便利だからということで普及した。
フロンガスは南極のオゾン層を破壊して皮膚ガンの元凶と
なっている。アスベストは肺気腫の元凶となって30年、40年
潜伏して死の病を引き起こすから恐ろしい。
英国人弁護士の話だが、第2次世界大戦最中、ロンドンの
町は煤煙で文字通り真っ黒だったという。大げさな話ではなく
呼吸が出来ない状態だったから、議会で大気浄化法案が
上程され米国よりはるか昔に成立したという。
先のBusiness Week誌によれば、中国は、2001年、
世界のエネルギー資源お9.8%を消費した。それが
2025年には14.2%を消費すると世界銀行報告書を
紹介している。
同報告書によれば、硫黄分を多く含んでいる石炭を
焚いて発電する火力発電が主力であることが、水と空気
汚染の元凶であると指摘していた。
40年近く前の尼崎も日本有数の火力発電所の集中地帯で
あった。ロンドンもおなじ理由であったから、いまの中国が
スモーク・スクリーンで、青空を拝ませてもらえないのは
なにも驚くべきことではないかもしれない。
中国はなぜ石炭を使うのか。
中国国内の石炭の売り値は過去3年で29%値上りした。
しかし、国際相場は80%近く上昇したが、中国政府が
人為的に石炭価格を抑えているからに他ならない。
世界銀行報告書によれば、中国の川や湖の
70%は著しく汚染されており(Heavily polluted)、
廃水の80%以上は浄化されずに排出されるという。
世界汚染都市ベスト10の内、6都市も中国が占める
とも紹介している。
値段を下げることを経営であるかのように勘違いしている
経営者が増えた。しかし、経営者ばかり責められない。
ただ安ければいいという消費者の買物の姿勢が改らない
限り、口先だけの環境問題解決策も絵に描いた餅であろう。
先日、六甲アイランドにある神戸国際大学の
市民セミナーの会場で、日本人がなぜ中国貿易に
ご執心なのかについて、しかるべき立場の大学の
糖尿病のご専門の先生が、「中国は病人の宝庫だからだ」
と言い放っていたから、たまげたものである。
その一方で、「健康のためなら死んでもいい」
という人が最近増えているというほど、日本では、
健康志向が高まってきていると、わらうに笑えぬ
笑い話をさる栄養補助食品のセミナーで聞いた。
日本では、安いからということで殺虫剤をたっぷり
ふりかけられた野菜を大量に中国から輸入している。
防腐剤や抗生物質いりの餌で飼育された 魚介類、
牛、ぶた、鶏肉などの生き物を疑いもなく輸入して
当たり前のように日常食べている。
鳥インフルエンザでも、問題が起こって新聞テレビで
取り上げられるときだけ騒いであとはケロッとしている。
どこか狂っているのでないかと思うが、これもまた
日本の現実であるようだ。
自分の健康は自分で守る。
自分の経済は自分で守る。
リスクにはコストを伴うことを子供の頃から
家庭でも学校でも習慣付けて欲しいと思うが
一端身についた悪習は一朝一夕にはなくならない
のも事実である。
洗濯物が煤で真っ黒になった話を、昔話で
片付けていいものか。
他人ごとでは済まされまい。(了)
古い話で恐縮だが、大阪と兵庫の県境にある尼崎で、
家庭教師をしていたとき、生徒のお宅で
洗濯物が煤(すす)で真っ黒になった経験をした。
現在、国道2号線に面した、神戸住吉に住んでいるが、
排気ガスが、虫除けネットを通して入り込み、窓ガラスが
少し横着をしているとたちまち黒くなる。
それでは空気がきれいだろうと、国道2号線から
約200メートル上る、六甲の山すそのお宅のエアコンの
掃除を職業にしている人の話を聞くと排気ガスで
汚れているという。
空気が拡散して、海風が汚染された空気を六甲の
山すそまで運び、そこで汚れた空気が滞留して、
周辺の空気を汚染させているというのだから
怖い話である。
天高く馬肥ゆる秋のシーズンが近づいているが、
天高く煙突を高くすれば、足もとの住民はきれいな
空気を吸う計算になるだけの話にすぎない。
拡散させればいい。水でも空気でもただ薄めて
拡散させればいいというのが日本の環境規制の
基準だから、手の打ちようがないのかもしれない。
最近話題のアスベストの解体作業をしていた職人さんの
話を聞く機会があったが、防塵マスクをしても、マスクの目が
たちまち詰まるから、マスクを外しての作業を余儀なくされるという。
話は飛ぶ。米国有数の経済誌、Business Week最新号、
8月22/29日合併号は、中国・インド特集を組んでおり、
お時間が許せば、必見の書物であるとおもうが、
”Big,Dirty Growth Engin”という小見出しで、公害問題が
いま、中国を悩ませている実態を詳しく報じている。
中国は、2008年、北京オリンピック開催を控えて、
中国のイメージを国際的に高めようと躍起になっており、
空気と水をきれいにするために、130億ドル(1兆5,000億円)
を特別に予算化しているという。
しかし、年率8%の成長が中国の国是であるから
北京の悲壮なまでの空気と水をきれいいする作戦は
失敗するだろうと解説している。
米国でClean Air Act(大気浄化法)が、成立したのは、
1990年であるから15年前の話であるが、そこでは
フロンガス規制も正面から取り上げられたが、米国での
法案成立を機に、日本でもフロンガス規制が後追いで
始まった。
フロンガスは、保冷保温剤として、安くて便利だからと
いうことで普及した。アスベストも、耐熱、耐磨耗剤として、
安くて便利だからということで普及した。
フロンガスは南極のオゾン層を破壊して皮膚ガンの元凶と
なっている。アスベストは肺気腫の元凶となって30年、40年
潜伏して死の病を引き起こすから恐ろしい。
英国人弁護士の話だが、第2次世界大戦最中、ロンドンの
町は煤煙で文字通り真っ黒だったという。大げさな話ではなく
呼吸が出来ない状態だったから、議会で大気浄化法案が
上程され米国よりはるか昔に成立したという。
先のBusiness Week誌によれば、中国は、2001年、
世界のエネルギー資源お9.8%を消費した。それが
2025年には14.2%を消費すると世界銀行報告書を
紹介している。
同報告書によれば、硫黄分を多く含んでいる石炭を
焚いて発電する火力発電が主力であることが、水と空気
汚染の元凶であると指摘していた。
40年近く前の尼崎も日本有数の火力発電所の集中地帯で
あった。ロンドンもおなじ理由であったから、いまの中国が
スモーク・スクリーンで、青空を拝ませてもらえないのは
なにも驚くべきことではないかもしれない。
中国はなぜ石炭を使うのか。
中国国内の石炭の売り値は過去3年で29%値上りした。
しかし、国際相場は80%近く上昇したが、中国政府が
人為的に石炭価格を抑えているからに他ならない。
世界銀行報告書によれば、中国の川や湖の
70%は著しく汚染されており(Heavily polluted)、
廃水の80%以上は浄化されずに排出されるという。
世界汚染都市ベスト10の内、6都市も中国が占める
とも紹介している。
値段を下げることを経営であるかのように勘違いしている
経営者が増えた。しかし、経営者ばかり責められない。
ただ安ければいいという消費者の買物の姿勢が改らない
限り、口先だけの環境問題解決策も絵に描いた餅であろう。
先日、六甲アイランドにある神戸国際大学の
市民セミナーの会場で、日本人がなぜ中国貿易に
ご執心なのかについて、しかるべき立場の大学の
糖尿病のご専門の先生が、「中国は病人の宝庫だからだ」
と言い放っていたから、たまげたものである。
その一方で、「健康のためなら死んでもいい」
という人が最近増えているというほど、日本では、
健康志向が高まってきていると、わらうに笑えぬ
笑い話をさる栄養補助食品のセミナーで聞いた。
日本では、安いからということで殺虫剤をたっぷり
ふりかけられた野菜を大量に中国から輸入している。
防腐剤や抗生物質いりの餌で飼育された 魚介類、
牛、ぶた、鶏肉などの生き物を疑いもなく輸入して
当たり前のように日常食べている。
鳥インフルエンザでも、問題が起こって新聞テレビで
取り上げられるときだけ騒いであとはケロッとしている。
どこか狂っているのでないかと思うが、これもまた
日本の現実であるようだ。
自分の健康は自分で守る。
自分の経済は自分で守る。
リスクにはコストを伴うことを子供の頃から
家庭でも学校でも習慣付けて欲しいと思うが
一端身についた悪習は一朝一夕にはなくならない
のも事実である。
洗濯物が煤で真っ黒になった話を、昔話で
片付けていいものか。
他人ごとでは済まされまい。(了)