日本には10の野生のサクラの仲間があるそうですが、今までに白老の平地で見た野生の桜は次の5種類です。
開花時期順に、エゾヤマザクラ(蝦夷山桜 別名:オオヤマザクラ) カスミザクラ(霞桜 別名:毛山桜)
エゾノウワミズザクラ(蝦夷の上溝桜) ミヤマザクラ(深山桜 別名:白桜) シウリザクラ(朱利桜・朱里桜・朱桜)
サクラの仲間は、花以外の部分に蜜腺:花外蜜腺(蜜を分泌する器官)を持つ植物で、アリ(蟻)を蜜で誘い、
葉についている昆虫の卵や毛虫などを巣に持ち帰ってもらう戦略だというが、本当だろうか?
サクラの仲間には、一見、サクラとは見えないモノもあるが、蜜腺があるのでサクラの仲間である事がわかるという。
また,蜜腺の位置がサクラの種類を見分ける重要な手掛かりになるという。樹木の疑問と不思議Q&A(森林環境教育ネットワーク)
エゾヤマザクラ(蝦夷山桜 別名:オオヤマザクラ)
山地に生える北海道の代表的な桜 花は淡紅色で5月上旬~下旬に葉と同時に開花する。
撮影2004/05/12萩の里自然公園 淡紅色の花
ウヨロ川フットパスのエゾヤマザクラの老木と花の蜜を吸いにきたメジロ 撮影 2008/05/08
カスミザクラ(霞桜 別名:ケヤマザクラ 毛山桜)
山地の斜面に生え、花は淡紅色~白、エゾヤマザクラより1~2週間遅れて5月下旬頃葉と同時に咲く。
エゾヤマザクラに似ているが、葉の裏や羽柄・花柄に毛が有り、花柄が途中で分岐するので判別できる。
萩の里自然公園ではセンターハウス附近と駐車場にあるが、他ではまだ見たことが無い。これらは人により植えられたものだろう。
極淡く白に近い 撮影 2007/05/26 萩の里自然公園
毛の有る花柄が途中で分岐
密腺ではエゾヤマザクラと区別がつかないが葉柄に毛がある。
萩の里自然公園センターハスのカスミザクラ。
山中のカスミザクラを遠くから見ると、春霞にとけ込んで“はるうらら”という言葉がピッタリかもしれません。
エゾノウワミズザクラ(蝦夷の上溝桜)
平地や山地のやや湿ったところに生える。花は白く総状花序(長く伸びた花軸に複数の花柄が長い円錐形または円柱形に並ぶ)に多数付く。
葉より遅れて5月下旬~6月に咲く。
白老には無いのかと思っていたところ、ヨコスト湿原で初めて出合い感激でした。ヨコスト湿原以外では見ていない。
撮影 2011/05/31 ヨコスト湿原
花のアップ
葉柄の最上部に1対の密腺が見える。ウワミズザクラは葉の縁にある。
用途:樹皮を染料・公園樹
アイヌ民族による利用
薬用:木:皮付きのまま薄く削って水に浸し、洗眼した。木質部:掻き屑(綿状の屑)を、温湿布時に使用。
工芸:木:特有の臭気があり臭気に除魔力があるとされた。イナウ(木幣)、杖、かんじき、槌の柄の材料。