人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

玉城先生の超個的禅定

2016-11-22 13:34:10 | 人生の教師
先日、玉城康四郎先生を敬愛している方のブログを見つけました。
ずっと休眠中のようなので、あまり深く触れませんが、少し気になった点がありました。
それによると、玉城先生は”終地の境地”に達したのであると…
終地とは、言わばブッダの禅定におけるその境地…(大まかに捉えて)初地、中地と続くその道程の行き着くところといったものです。
玉城先生は自身の歩みについて、そうしたことを明言してはいなかったと思われますが、遺著「仏道探究」(春秋社刊)においてその道筋を概観して、そこでそうともとれるようなことを述べてはいます。
(予め言っておかなければならないことは、私は先生について理解が及ばない点が多々あります。
その大きな理由は、私は先生のようにブッダにならっての禅定という求道に勤しんでこなかった、という事です。従ってここで述べることは、全く門外漢からの視点である、ことをお含み入れ下さい)
終地というべきかどうかはともかく、先生の晩年その道程において、大きな転回があったのは確かな事だったと思います。
それは、それまでのダンマが全人格体に浸透し、通徹していた方向が逆になり、「凄まじい勢いで全人格体から大空間に向かって限りなく放散されていった」(同書)というところ、同時に「求め心が抜け落ちてしまった」ところにも感じられて来ます。
これは、成程、ある意味で個的な探究の道の終焉と視る事が出来るかも知れません。
しかし、ブッダの禅定(禅宗のそれとは区別される)が如何なるものなのか詳しくは分かりませんが、先生の仏道の歩みには、それ以前から個的なレベルの求道を超えていたものがあった、と私は理解しています。
これは、悟りというものを個人に帰されるものでなく”ダンマが顕わになる”と捉えている点に…又その言明と切り離すことが出来ない、”業熟体”-いま、ここに現れつつある私自身の総括体であると同時に、ありとあらゆるものと交わっているが故に、宇宙共同体の結び目であるーの発見に見出すことが出来るでしょう。ダンマが顕わになっても、元の木阿弥になり、どうにもならない我塊に突き当たってしまう…この理由もここに存していたのです。
求道者なら誰にでも頷けることでしょう。”いくら悟ろう、目覚めようとしても、中々そうならない…”
これ自体個人のレベルを超えたものであることを物語っているではありませんか? 玉城先生によれば、そもそも業というものが超個的、人類的なものとは言えまいか…個人の手に負えるものでない…ある意味普遍性を帯びたものなのです。
先生は何度も何度もこの業のカタマリを前に苦闘を繰り返してきましたが、これが私には到底理解の及ばない事なのです。
私はしかし…ここにこの忌まわしき業なるものの”ひっくり返し”に身が震えるような驚愕を覚えざるを得ません!
これは彼の世界…オーヴァーソウル(エマソン〉、ソボールノスチ(ベルジャーエフ〉などの普遍調和世界の裏返しではないか!
あなたはいくら求めても悟ることは出来ない…しかしあなたは普遍調和世界、宇宙共同体の結び目であり、そのものと切っても切れない”宿縁”で結ばれているのです。人類的規模の我塊をも貫き、全てを遍く通す光はあなたにも通じているのです!
それは上よりの光となってあなたを射抜き、あなたの宿業に覆われた地殻を破って顕現してくるのです!
悟り、エンライトメントとは全く個人のことでは無いのです!
普遍なるものと切り離されたら、すでにその内実を失うことでしょう。我々は普遍なるものと切り離せないものなのだから…
ダンマ、聖霊は正しく彼の世界からもたらされる…それは又真我の光でもあろう…
そして全人格に充ちた光は普遍なるものに放散、還元されていく…
形の上では個的な行道というものも普遍性と相即するものなのでしょう。
玉城先生に所謂修行系の教師とは一線を画す佇まいが感じられるのはここに在るのです。
そして禅とか自力修行に馴染みの無い私が惹きつけられる理由もあります。
そのある香りに浄土系の仏教に育てられた事を感じさせますが、その求道生活の初期から普遍的なものに向けられていたのを見逃すことは出来ません。
その遺言とも感じる言葉も普遍人類に向けられていました。
「人間はこれまで経験したことのない未曾有の状態におかれた時、どんな思いがけないことが起こるかも分かりません。ただ、明白なことは、寿(いのち)の中の寿は一瞬の休みもなく働き続けているのです。私たちは、大混乱、大動乱の中にあってこそ、揺るぎのない確信をもって、未来へ立ち向かっていこうではありませんか」(同書)






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