同じ山菜でもワラビは収穫しても次々と芽を出すので収穫適期は2~3カ月
と長いがタラノメの収穫適期は短く一週間程度で終わる。
しかも、地球温暖化の影響もあって生育が早まり収穫適期も2日程度短く
なりつつある。
市では「放射能検査に要する日数は3日」とのことだが、収穫して検査を
依頼するのに1日、合格通知を得た後に収穫して産直出荷するまでに1日を要す
ることを考えると、検査のために収穫適期の大半を徒過し販売チャンスを逸し
てしまうことになる。
中山間地で農業を営む者にとって山菜販売は「春の貴重な収入源である」
ことに対する配慮は微塵も感じられない。
また、タラノメは米のように毎日食べるものではなく、春の一時期に食べる
ものなので「石橋を叩いて渡る」厳格性は必要無いものと思われる。
このような厳しい対応を示す一方で、白い大地や永年性牧草では「公然と
詐欺行為を容認」している。
そこにあるのはコンプライアンスに基づいた市民サービスよりも「市の都合
を優先する」悪しき体質である。
原発事故による放射能汚染を招いたのは国であり、国民は失政の被害者で
あることを忘れてはならない。

念のため、震災当時の市の対応を記録として残しておくことにする。
3.11震災直後の春は当地域が放射能に汚染されていることを知らないまま例年
通りに山菜を販売していたのだったが、晩秋になって乾燥シイタケが安全基準を
上回っていたことで他の山菜についても翌年から販売停止となった。
あるシイタケ生産者は「乾燥したシイタケをそのまま食べることは出来ない。
食べられるよう水で戻せば基準数値を下回る」と嘆いていたが、もっともな理屈
と思って聞いた。
タラノメについては翌春から販売停止になったが、当初は、検査して基準を
クリアしたら販売可能としたが、一ヵ月後に一部の地域で基準をオーバーした
ことから「市内全域を販売停止」としたもので、これも市が生産者に連帯責任
を負わせた過酷な措置だった。
そして、「それによって被る損失は、産直側で生産者分も含めて東電に請求
する」との説明だったが、そのような対応は直ぐに雲散霧消してしまった。