ロシアのウクライナ侵攻の惨状を捉え、安倍元首相やそのお供達の櫻井よ
しこ氏が「非核三原則を見直すべし」と主張しているが、毎日新聞の「時代
の風」(2022.3.27)で藻谷浩介氏が「言葉遊びと本当の自衛 『9条改正』は
自滅の道」と題し「核武装のリスク」について書いていた。
「正当防衛にとどまらず、自衛のための先制攻撃を認める」というのも、危な
いからこそ憲法で禁じているのである。かつてのヒトラーも大日本帝国も「自
衛」の名で先制攻撃に走り、そして滅びた。イラクで死んだ米兵や、ウクライ
ナで死ぬロシア兵を見てもわかる通り、自国が先制攻撃することは、これまた
無駄に国民を危険にさらす行為である。それこそが日本人が、長い歴史の中で
一度きりの外国による占領から、血を吐く思いで学んだ教訓だ。
「ウクライナも核武装をしていれば大丈夫だった」という人があるかもしれ
ない。だがその先にあるのは結局、多くの国々が核武装する世界だ。偶発的な
核戦争や、テロリストによる核兵器奪取のリスクが高まり、世界はより危なく
なる。