「組合員の共同利益増進のため」に設立した農事組合法人が、組合員から
ではなくJAから餅米を仕入れることが違法であることは、常識的に考えても
明らかである。
しかし、指導する立場にある市役所や県が全く理解出来ていないのは呆れ
るばかりである。
もっとも、市や県の職員が法律や制度に疎いのは今に始まったことではな
いので、それを知りながら相手をしてしまった自分が馬鹿だった。
同じ農政を担う役所でも農水省は別格で、市との対応で埒が明かない場合
は農水省に連絡して解決したことが何度もあった。
その唯一の例外が多面的機能支払担当の課長補佐で、市の虚偽報告に惑わ
された気の毒な面もあったが、中味の無いハッタリ男だった。
「道の駅」の違法仕入問題についても農水省に確認すれば直ぐに解決でき
たにも関わらず、その時の苦い経験が災いし徒に時間を費してしまった。
その失敗に気付き、直ぐに農水省経営局協同組織課経営・組織対策室に
確認したところ明快な回答があり、「直ちに岩手県の団体指導担当を指導す
る」と約束してくれた。
その根拠が下記の農協法(72条の10の三の3)だが、分かり易く解説して
くれたところによると、「レストランでJAの餅米を利用できるのは品質等の
善し悪しに関係なく全体の5分の1までに限定されている」とのこと。
従って、「道の駅」のレストランのようにJA仕入れが100%の場合は、
80%が違法ということになるが、定款に定めが無いことから「その全部が
違法」という結論に達する。
(今朝の栗駒山)
農協法第72条の10
農事組合法人は、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 農業に係る共同利用施設の設置(当該施設を利用して行う組合員の生産
する物資の運搬、加工又は貯蔵の事業を含む。)又は農作業の共同化に
関する事業
二 農業の経営(その行う農業に関連する事業であつて農畜産物を原料又は
材料として使用する製造又は加工その他農林水産省令で定めるもの及び
農業と併せ行う林業の経営を含む。)
三 前二号の事業に附帯する事業
2 組合員に出資をさせない農事組合法人(以下「非出資農事組合法人」と
いう。)は、前項の規定にかかわらず、同項第2号の事業を行うことが
できない。
3 第1項第1号の事業を行う農事組合法人は、定款の定めるところにより、
組合員以外の者にその施設を利用させることができる。ただし、一事業
年度における組合員以外の者の事業の利用分量の総額は、当該事業年度
における組合員の事業の利用分量の総額の五分の一を超えてはならない。