スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大山名人杯倉敷藤花戦&大きな課題

2012-10-01 18:47:03 | 将棋
 共に久々のタイトル戦登場を目指すベテランによる対決となった第19期倉敷藤花戦挑戦者決定戦。対戦成績は中井広恵女流六段が24勝,矢内理絵子女流四段が17勝。
 振駒で中井六段の先手。矢内四段のノーマル三間飛車から先手が穴熊,後手が美濃囲いに。中盤前半の折衝は僕には後手がうまくやっているように思えましたが,先手は穴熊ですからそれくらいで互角という面はあるかもしれません。それどころか中井六段は自信を持っていたようです。
                         
 4二にいた飛車をひとつ寄ったところ。角筋を避けつつ先手陣に直通となる気持ちの良い手。ここから▲3四飛と取り,△4五桂の跳ね出しに▲6六銀とぶつけました。△同銀▲同金△5七飛成まで一直線。そこで▲6二歩と打ち,△7一金に▲7五金と出て,角を取れる形になりました。
                         
 ただし,この順は先手としてはまずかったようです。後手の歩を取ってしまったので第2図から△7八歩が痛打。さらに6筋に歩を打ってしまったので受けるのも難しくなり,最終的には出た金も質駒になってしまいました。ここでは後手が優勢で,攻めがうまく続き,先手の反撃もしっかりと読み切って一手勝ちとなりました。
                         
 矢内四段が勝って挑戦者に。一時期は確かに女流のトップに君臨していたのですが,タイトル戦出場が2年ぶりということからも分かるように,近年は若手の台頭の前にややランクを落としている印象を受けていました。矢内四段にとっては女流棋士人生にとっても大きなタイトル戦となりそうです。第一局は来月8日です。

 原因の十全性という観点を第二部定理九系に導入するに際しては,少なくともこれまでの考察からは,解消しておかなければならない大きな課題があるといえます。
 僕は第二部定理九系は,平行論的証明によって論証されると考えていますし,実際に今回のテーマの中での第二部定理一二の証明の前提もそうなっています。ところで,一般的にある事柄が平行論的に証明されるということがどういうことであるかといえば,それはたとえば物体であるAとAの観念が,平行論における同一個体である,あるいは同一個体でなければならないということを証明するということです。平行論における同一個体というのは,原因と結果の連結が同一ではあるのですが,こうした手法の証明にとって最も肝心な点というのは,具体的にAの原因がBであり,Aの観念の原因がBの観念であるということを示すことではないのです。むしろ平行論的証明というのは,AとAの観念が同一個体であるがゆえに,もしもAの原因がBであるならばAの観念の原因はBの観念でなければならず,逆にAの観念の原因がBの観念の原因でなければならないとしたら,Aの原因もBでなければならないということを示すという点にあるといえるでしょう。こうした事情は,『エチカ』において平行論に最も関係する第二部定理七第二部定理七系というのが,基本的に第一部公理四から導き出される定理であって,具体的な因果関係の連結を示す定理,たとえば第一部定理二一と二二や,第一部定理二八から導出されるのではないということからもその一端が明らかにされているといえると思います。
 このことから理解できるように,これは第二部定理九系に限定されたことではありませんが,もしもある事柄が単に平行論的に帰結されているならば,そこに原因の十全性の観点というのを導入する余地というのがありません。この場合の第二部定理九系のように,平行論的に証明されていることのうちでは,何が原因であり何が結果であるのかということが,具体的には示されていませんが,原因の十全性という観点は,少なくとも原因というものが明らかになっていない限りはそこに導入することが不可能だからです。
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