簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
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画竜点睛を欠く(四国遍路の旅・高野山編)

2015-12-23 | Weblog


 ここまで来て些か画竜点睛を欠く思いはあるが、致し方ない。
やっとの思いで一泊だけ確保できた宿坊に、日が暮れるまでには入りたい。
そのまま歩き続ければ、日が暮れてから慣れない山道を登ることになり、そ
んな無謀は犯すわけにはいかず、電車を利用する。



 南海電鉄高野線の高野下駅から極楽橋の間は、駅間の標高では400m
以上も登る山岳区間である。
50パーミルと言う急勾配と、曲線半径R=100と言う急カーブが連続で、幾つ
ものトンネルを重ねながら、ゆっくりゆっくりと登っていく。

 車窓からは人家は途絶え、深い谷と豊かな森、その稜線と広がる青い空
だけを見ながら、まるでトロッコ列車のように車輪の音を軋ませながら進む。



 極楽橋で電車を降り改札を出ず構内で右折して、右手に極楽橋の赤い欄
干を見ながら、不動谷川に架かる連絡橋を渡ればケーブルの駅だ。
接続時間が僅かしかなく、ゆっくり周りを見、写真を撮っているいとまもない。
ケーブルの発車の合図が慌ただしく電車の客を呼んでいた。



 珍しい2両連結の車両は、随分と大型である。
これは電車から乗り継ぐ乗客を一回で捌くためのものらしい。
高野山駅まではその距離800m、高低差330m、最大斜度670パーミルと言
う急こう配を、あえぐこともなく、いとも簡単に5分ほどで登り切る。



 高野山駅前で待つ山内バスは、バス専用道路を7分ほど走り、最初の停
留所であるここ不動坂口の「女人堂」前に停車する。

 四国の八十八か所を歩き、1番に戻りその後京都の東寺から鳥羽街道・東
高野街道さらに高野街道を歩き詰めた遍路の締めが、あっけないほど簡単に
終わってしまった。(続)



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