列車に乗っていて、たまにどこかの駅での長時間停車に出会すことがある。
度々停まれば、「またか、早く行けばいいのに・」となるが、これが長時間
移動の最中なら、時にそれはありがたく思えることもある。
いくら鈍行列車の旅が好きとは言え、堅いシートに座っての長時間の乗車は、
足腰が痛くなっていることも多いので、たとえ僅かな停車時間でもホームに降
り立って、その土地の空気を吸いながら深呼吸をし、体を屈伸するだけで十分
にリフレッシュできる。
まだ少し時間が有るのなら、ホームに立つ名所案内標や、ホームの壁、上屋
から釣り下がる広告を眺めたりすれば、その土地の風土に触れ、名所旧跡・名
物を知り、たまたま降り立った地に思いを馳せることも出来る。
まだまだ時間に余裕が有るのなら、改札を抜けてみるのも良いだろう。
殆どがコンビニに変わったとは言え、駅の売店はそれでも郷土色は意識してい
るものだ。その土地の名物や、名の知れたお土産、弁当を買い求め、車内で味
わうのも悪くはない。また観光案内所が有るのならそこを訪ね、パンフレット
を手に話を聞くなどすれば、思わぬ発見が有るやもしれない。
それでもまだ時間に余裕があるのなら、思い切って駅を出てその周りを眺め、
最後に駅舎を振り返って見てみよう。
その土地を象徴するユニークなデザインであったり、時に風格ある重厚な駅舎
の佇まいなどに出会い、意外な事実を知り驚きを得るかもしれない。
列車の長い停車時間は、そんな色々な楽しみをプレゼントしてくれる。
しかし、近頃では長距離を行く列車は極めて少なくなり、それに連れ長時間の
停車も減ってきているように思う。(写真:文とは無関係 JR身延線)(続)
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