2015年の作品、タイトルはタミル語で「カラスの卵」。
邦題はピザ。
タミルナドゥ州チェンナイのスラムに住む兄弟が、
TVで見たピザを食べたいがために奮闘する物語。
タミル語だったので言葉は全く解らなかったが、
そこはインド映画なので・・・。
<ストーリー>
スラムに住んでいる兄弟(10歳と6歳くらい)は、
子供たちが遊ぶ空き地に立っている木のカラスの巣から、
卵を取って食べてることから、自分たちを大きいカラスの卵、
小さいカラスの卵と呼んでいる。
兄弟の父親は刑務所に入っており、
金属加工の仕事をしている母親と祖母と暮らしている。
兄弟は線路に落ちている木炭を拾い家計を助けている。
鉄道で木炭や石炭を運ぶため線路には多少落ちている。
昔は列車に乗り込んで盗む人々もいた。
ある日、政府の配給で彼らの家のTVが来た。
TVでピザと言う食べ物の事を知った兄弟の家の近くにも、
ピザ屋ができた。なんとかしてピザを食べてみたい兄弟に、
祖母が写真を見ながら似たような物を作ってくれるが・・・。
ピザは最低でも299Rsするため、
兄弟は友人の鉄道作業員に相談し、
木炭倉庫から木炭を盗み出し、売ってお金を得る。
ところが彼らの身なりでは店に入る事が出来なかった。
そのためにはまず新しい服を買わなければならない。
石炭だけでは足らないので、いろいろな仕事をしてお金を稼ぐ。
ショッピングモールの前で困っていた人を助け、
見返りに新しい服を手に入れた兄弟はピザ屋に行く。
ところが・・・・やはり警備員に止められ、
店長に平手打ちを食らってしまう。
それを同じスラムの子供たちが動画に撮っていた。
打ちひしがれた兄弟が家に帰ると・・・祖母が亡くなっていた。
葬儀のお金が足らないと言う母親を見て兄弟はお金を渡す。
祖母がピザを作ってくれた時に酷い事を言った二人は反省する。
スラムの不良2人がオーナーに動画を見せて恐喝する事を思いつく。
そして10万ルピー(約15万円)を得る事になったが、
さらにお金を得るため1人が勝手にメディアに売る。
ニュースは全国的に広がり大きな問題となった。
オーナーは公に謝罪し兄弟をレッドカーペットで店に迎え、
生涯無料でピザを食べさせる事を約束する。
しかし兄弟はあの日、祖母が作ってくれたピザの方が
はるかに美味しかったと話す。
以前観た「ハルカー」と言うヒンディー語映画で、
スラムに綺麗なトイレを造るために奮闘する少年の話を
思い出した。
私は仕事でデリーのスラムの案内も行っている。
そのスラムには何度も行っているので、
人々の暮らしぶりはだいたい知っている。
知らない人はこの映画を観てショックを受けるかもしれないが、
けっこう忠実に描いていたように思えた。
実際にはスラムにはいろんな場所から流れ着いた、
異なる宗教、異なるカーストの人々が暮らしている。
全ての人が低カーストと言うわけではない。
そこは知られていないと思うので声を大にして言う。
ムンバイにあるインド最大のスラム:ダラビは、
スラムとして定着しているが家賃が安いと言う理由から、
住みついている普通の人々もいるそうだ。これは、
ダラビのスラムツアーに行った人の感想である。
その人曰く私が案内したスラムは本物のスラムだった。
と言っていた。
専門のガイド付きで行く分には危険ではない。
ご希望があればデリー観光の一つとしてご案内します。
コロナが去って日常が戻ればですが。