大沢在昌の新宿鮫シリーズ第11段。
2018~9年の作品で単行本になっているのはこれが最後。
もう1冊、短編集をまとめた「鮫島の貌」を最後に読むとしよう。
前作で上司である新宿署生活安全課長の桃井が殉職してしまい、
後ろ盾を失ってしまった鮫島は課長代理になっていた。
キャリアの警部であり警察官として課長はふさわしいのであるが、
それを良く思わない上層部により新しい課長が決まるまでの間・・・
期間限定の役職であった。
元キャリアであるので会議に出たり書類を書いたりするのは、
鮫島にとって難しくなかったが、現場にでる時間が無くなっていた。
桃井を死なせてしまったと言う気持ちから眠れない鮫島は、
深夜に自宅を出て新宿に向かっていた。
ある日、新任の課長が来ることになった。
ノンキャリアの50歳の女性警視・阿坂だった。
しかもルールは曲げないのがモットーであるので、
鮫島のやり方は到底許されるはずがなかった。
鮫島も報告義務を怠るわけにはいかない。
単独捜査はルール違反と言うわけで新人刑事・矢崎を相方につけられる。
機動隊出身であるが、なかなか見どころのあると鮫島は感じる。
鮫島は薬の売人からタレコミ(密告)を受け、ある部屋を張り込む。
そこは違法で外国人にホテルの様に部屋を貸す民泊だった。
その中の部屋で張り込み中に殺人事件が起きる。
捜査を進めて行くと・・・鮫島の同期で公安を辞めた香田が動いていた。
しかも協力者の陸は前作の絆回廊で鮫島が逮捕した犯人の息子で、
またもやこの事件に絡んでいるようだった。
日本と中国、そして北朝鮮までもが絡み、
警察と公安、ヤクザに中国人組織、スパイが絡む。
金と情報、個人の欲望と国家の野望・・・・
11作品、長かったが早かったなぁ。
すっかり大沢ワールドにハマってしまった私。
現在、通勤に片道30分程度かかるので、
通勤の共にしているのだが、作品が多いと言うのが救いである。