ハードバピッシュ&アレグロな日々

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チャイコフスキー&ドヴォルザーク/弦楽セレナード

2012-03-22 21:51:20 | クラシック(管弦楽作品)
本日はチャイコフスキーとドヴォルザークによる弦楽セレナードを紹介したいと思います。弦楽セレナードとは文字通り、管楽器や打楽器のない弦楽のみの演奏でオーケストラではありながらどこか室内楽的な響きを持っています。重厚なオーケストラサウンドが好きな私としては小ぢんまりした曲は好みではないのですが、この2曲に関してはその旋律の美しさにすっかり魅せられてしまいました。

まず、チャイコフスキーから。第1楽章、冒頭の悲愴感あふれる響きに誰もが「あ、この曲!」と思うでしょう。一昔前人材派遣会社のCMで流れていた曲です。「会社に恵まれなかったらオー人事、オー人事」とか言うあのCMですね。インパクトありすぎの序奏ですが、中間部は一転してリズミカルな弦楽アンサンブルです。第2楽章は軽快なワルツ。第3楽章はエレジー(哀歌)と題されるだけあって、哀調あふれる穏やかなメロディ。第4楽章はロシア民謡風の思わず踊り出したくなるような明るい曲調で、最後に再び冒頭の主題に戻って終わり。チャイコフスキー自身がモーツァルトを意識して書いたというだけあって、全体的に懐古趣味的な曲風です。

続いてドヴォルザークの弦楽セレナードです。この曲は彼が30代半ばの、まだ作曲家として大成する前の作品で、後年のドヴォルザーク特有の重厚さはありません。共通するのはやや哀調を帯びた美しい弦楽アンサンブルと、軽やかなワルツの組み合わせ。特に第1楽章冒頭部分のロマンチックな主題、第3楽章のきびきびしたスケルツォが印象的です。フィナーレの第5楽章はこの曲で唯一スラブ色が前面に出た楽章で、チェコの民族舞踊を思わせる軽やかなフィナーレです。



この2曲はロマン派を代表するセレナードということで、セットで発売されていることが多いですが、私が買ったのはネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズのCDです。正式名称が長いのでアカデミー室内管弦楽団とも訳されますが、イギリスが世界に誇る室内オーケストラだけあって、こういう小規模編成の曲はお手の物ですね。このCDにはもう1曲おまけでシベリウスの「悲しきワルツ」が収録されています。文字通りやや哀調を帯びたワルツ風の小品で、いつもの雄大なシベリウス節とは違う愛らしい曲調が魅力です。
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