ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ヤナーチェク/シンフォニエッタ、グラゴル・ミサ

2012-03-19 20:26:44 | クラシック(管弦楽作品)
前回のドヴォルザークに続き、本日は同じチェコの作曲家レオシュ・ヤナーチェクを取り上げます。チェコの作曲家と言えば他にスメタナがいますが、「モルダウ」があまりにも有名なスメタナと違い、ヤナーチェクは名前こそ聞くものの、パッと思いつく曲がありませんよね。ただ、今日取り上げる「シンフォニエッタ」と「グラゴル・ミサ」は彼の代表作と評されるだけあって、さすがに聴き応えのある曲でした。

まず「シンフォニエッタ」ですが、何でも村上春樹のベストセラー「1Q84」で使われたとかで、最近ひそかに注目されているらしいですね。小説未読の私にはさっぱりイメージが湧きませんが。シンフォニエッタとは元来イタリア語で「小交響曲」の意味ですが、古典的な交響曲のイメージとは違い、20世紀の作品らしく後期ロマン派とは一線を画した斬新な響きです。とは言え、調性はきちんと保っているので、難解さはなく、聴き込むほどに味が出てくる作品です。全体的にトランペットやトロンボーンはじめ金管楽器の活躍する部分が多く、特に冒頭と第2楽章のファンファーレ風の主題が印象的です。

「グラゴル・ミサ」は名前だけ聞くと教会音楽かと思いますが、合唱に使われる歌詞が古いスラブ語の典礼文に則っているというだけで、音楽的にはヤナーチェク特有の近代的響きをもった管弦楽作品です。華々しいファンファーレで始まる第1楽章を聴けばわかりますが、教会で鳴らすには騒々しすぎます。第2楽章以降は合唱と独唱が入りますが、旋律的には金管楽器や打楽器を多様したトンがった響き。かと思えば、第3楽章ソプラノ独唱や第6楽章の合唱など美しい旋律も効率的に挟まれており、適度に曲にアクセントを付けています。宗教性が強くない分、むしろ普通に楽しめる作品となっています。



CDはエリアフ・インバル指揮ベルリン・ドイツ交響楽団のものを買いました。「シンフォニエッタ」だけだと、クーベリック、ノイマンなどチェコ人指揮者の録音があるのですが、こちらは「グラゴル・ミサ」も入ったお得盤です。しかもクレスト1000という廉価版シリーズで何と1000円。お買い得です。
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