ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

スリー・トランペッツ

2014-04-12 12:43:27 | ジャズ(ハードバップ)

本日はプレスティッジの7000番台再発シリーズからアート・ファーマー、ドナルド・バード、イドリース・スリーマンの3人のトランペッターによる共演盤をお送りします。50年代中盤のプレスティッジにはテナー4人による「テナー・コンクレイヴ」、トランペット2人&テナー2人による「インタープレイ・フォー・2トランペッツ&2テナーズ」など同一楽器による共演盤が数多くありますが、本盤もその一環と言えます。リーダーのうちファーマーとバードに関しては今さら説明するまでもないビッグネームですよね。特に本作が録音された1957年頃は超売れっ子としてあちこちのセッションに引っ張りだこでした。2人はこの前年にもプレスティッジ盤「2トランペッツ」で共演を果たしており、本作はそこにイドリース・スリーマンが加わったという構成です。スリーマンは2人に比べるとマイナーかもしれませんが、50年代のプレスティッジのセッションにはよく登場する名前です。リズムセクションは白人ピアニストのホッド・オブライエン(ピアノ)、アートの双子の弟アディソン・ファーマー(ベース)、後にオスカー・ピーターソン・トリオで活躍するエド・シグペン(ドラム)という顔ぶれです。



曲は全5曲。全てメンバーのオリジナルと書いてありますが、ウソですね。ラストの“You Gotta Dig It To Dig It”は誰がどう聞いても“Cherokee”そのものです。4曲目の“Forty Quarters”も“You Stepped Out Of A Dream”のコード進行を少し変えただけです。著作権があまりうるさくなかった50年代にはよくあった話ですが・・・それはともかく、肝心の演奏は素晴らしいの一言。特に私のような全楽器の中でもトランペットが一番好きという輩には3人の豪華共演はたまりません。60年代以降はソフト路線に転向するファーマーもこの頃は熱きハードバッパーですし、クリフォード・ブラウンの後継者として飛ぶ鳥を落とす勢いだったバードのブリリアントなプレイ、過小評価されがちですがパワフルな音が持ち味のスリーマンと三者三様に持ち味を発揮しています。ベストトラックは“Cherokee”もとい“You Gotta Dig It To Dig It”。スピード感あふれるリズムセクションに煽られるように3人が渾身のアドリブをリレーしていきます。終盤の掛け合いも実にスリリング。他ではホッド・オブライエン作のメロディアスな“Diffusion Of Beauty”、1曲目のファンキーな“Palm Court Alley”もお薦めです。

コメント