本日はいぶし銀の名ドラマー、オシー・ジョンソンをご紹介します。同時代に活躍したブレイキー、ローチ、フィリー・ジョーらに比べると格落ちの印象は否めませんが、それでも50年代から60年代にかけて多くのセッションに顔を出し、モダンジャズの屋台骨を支えた名手です。見ての通り黒人ではありますが、アル・コーン、ズート・シムズなど白人ジャズメンとの共演が多く、他にもクリス・コナーら歌手の伴奏、あるいはビッグバンドでの演奏が多く、いわゆるハードバップとはやや距離を置いていたようです。1955年、ベツレヘム録音の本作もバップ色よりスイング色の強い内容です。
全11曲、セッションは3つに分かれており、クインテット4曲、セクステット4曲、そしてオクテット3曲という構成。メンバーは入れ替わりが多いので全員列挙しませんが、全曲に登場するのがフランク・ウェス(テナー&フルート)、その他セクステットとオクテットにサド・ジョーンズ(トランペット)が加わります。トロンボーンは各セッションごとにベニー・パウエル、ビル・ヒューズ、ヘンリー・コーカーと入れ替わります。勘の良い方は既におわかりと思いますが、これは当時のカウント・ベイシー楽団のメンバーですね。オシー自身はベイシー楽団に所属したことはありませんが、ホーン陣との呼吸もピッタリで、スモールコンボ版ベイシーサウンドとでも言うべき魅力的な内容になっています。なお、ピアノは御大ベイシーではなく、白人ピアニストのディック・カッツが務めています。曲はオリジナル中心で特にオシーが6曲を作曲していますが、どれも魅力的な内容で“Cat Walk”“Jumpin' At The Waterhole”“Osie's Oasis”等はベイシー楽団のレパートリーになっていてもおかしくない仕上がり。唯一“Osmosis”だけがハードバップ調で、これは後にズート・シムズやデイヴ・ベイリーにもカバーされたオシーの代表曲です。他ではオシーの意外とシブいボーカルが堪能できる“Don't Bug Me, Hug Me”もユニークです。地味なのでスルーしてしまうかもしれませんが、タイトル通りハッピーな楽曲がいっぱい詰まった隠れ名盤と言えるでしょう。