本日も「Verve 60th レア盤コレクション」からの1枚で、ウェス・モンゴメリーの作品を取り上げます。ウェスについては過去に本ブログでもリヴァーサイド時代の「ポートレイト・オヴ・ウェス」をご紹介しました。リヴァーサイド時代のウェスはスモールコンボでハードバップ路線の演奏が基本でしたが、1964年にヴァーヴに移ってからはオーケストラ編成でポップス曲等も取り上げた作品が多くなってきます。意地悪な見方をすればこの路線変更は商業主義的・売れ線狙いとも言えますが、60年代に入ってハードバップは時代遅れと見なされるようになり、誰もが新たな路線を模索していた時期ですから、ウェスの“転身”も時代の趨勢上やむをえないでしょう。そもそもセールス的にはこのイージー・リスニング路線は大成功で、本作や続く「ゴーイン・アウト・オヴ・マイ・ヘッド」「カリフォルニア・ドリーミング」等はスマッシュ・ヒットを記録。さらにA&Mに移籍後に発表した「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」はビルボードのアルバムチャートで13位というジャズの世界ではありえない大ヒットを記録します。
本作「バンピン」はその一連のイージー・リスニング路線の最初の作品で、1965年5月の録音。アレンジャーにはかつてメイナード・ファーガソン楽団でトロンボーン奏者としても活躍していたドン・セベスキーを起用しています。ボーナストラックを含めて全11曲。1曲だけコンボ編成の“Tear It Down”が収録されていますが、後は14人編成のストリングスが加わっています。タイトル曲のスローブルース“Bumpin'”やセべスキー作のな“Musty”等、いかにもウェスらしいファンキーな曲もありますが、ハイライトはやはりウィズ・ストリングスならではの甘いバラードでしょう。特に素晴らしいのが3曲目の“A Quiet Thing”。「フローラ、赤の脅威」という聞いたこともないミュージカルで主演のライザ・ミネリが歌っていた曲だそうですが、ウェスの美しいギターの音色とロマンチックなストリングスが合わさって極上のバラード演奏となっています。ウェスの自作バラード“Mi Cosa”やボサノバ風に料理された“Here's That Rainy Day”等も素晴らしい出来です。セべスキーとウェスの蜜月はその後も続き、前述の「カリフォルニア・ドリーミング」「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」、そして「ロード・ソング」と次々とヒット作を生み出していきます。個人的には王道ハードバップを愛好する私ですが、たまにはこういう作品もいいんでないの、と思わせてくれる充実の内容だと思います。
本作「バンピン」はその一連のイージー・リスニング路線の最初の作品で、1965年5月の録音。アレンジャーにはかつてメイナード・ファーガソン楽団でトロンボーン奏者としても活躍していたドン・セベスキーを起用しています。ボーナストラックを含めて全11曲。1曲だけコンボ編成の“Tear It Down”が収録されていますが、後は14人編成のストリングスが加わっています。タイトル曲のスローブルース“Bumpin'”やセべスキー作のな“Musty”等、いかにもウェスらしいファンキーな曲もありますが、ハイライトはやはりウィズ・ストリングスならではの甘いバラードでしょう。特に素晴らしいのが3曲目の“A Quiet Thing”。「フローラ、赤の脅威」という聞いたこともないミュージカルで主演のライザ・ミネリが歌っていた曲だそうですが、ウェスの美しいギターの音色とロマンチックなストリングスが合わさって極上のバラード演奏となっています。ウェスの自作バラード“Mi Cosa”やボサノバ風に料理された“Here's That Rainy Day”等も素晴らしい出来です。セべスキーとウェスの蜜月はその後も続き、前述の「カリフォルニア・ドリーミング」「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」、そして「ロード・ソング」と次々とヒット作を生み出していきます。個人的には王道ハードバップを愛好する私ですが、たまにはこういう作品もいいんでないの、と思わせてくれる充実の内容だと思います。