ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

オスカー・ピーターソン&ミルト・ジャクソン/ヴェリー・トール

2016-08-12 23:30:28 | ジャズ(ハードバップ)
本日は先月末に発売された「Verve 60th レア盤コレクション」からの1枚です。タイトル通りジャズの名門ヴァーヴ・レコードの60周年を記念して、これまであまり再発売されてこなかったレア盤がCD化されており、マニアには見逃せないラインナップです。今日ご紹介するオスカー・ピーターソンも同レーベルの看板アーチストとして40枚近いリーダー作を残しており、うち「ウエスト・サイド・ストーリー」「オスカー・ピーターソン・トリオ・プレイズ」等の代表作については本ブログでも過去に取り上げましたが、そんな彼にミルト・ジャクソンとの共演作があるとは知りませんでした。大物2人のコラボなのに、あまりメジャーでないのが不思議ですね。内容も充実しているし、普通に名盤紹介などで取り上げられてもいいと思うのですが・・・録音は1961年9月。アトランティックと専属契約を結んでいたミルトのちょうど契約が切れた頃に収録されたようですね。メンバーはミルト・ジャクソン(ヴァイブ)、オスカー・ピーターソン(ピアノ)、レイ・ブラウン(ベース)、エド・シグペン(ドラム)で、いわゆる黄金のピーターソン・トリオにミルトが客演したという形をとっていますが、聴いてもらえればわかるようにミルトの存在感は抜群で、彼のファンキーな演奏に引っ張られるように、トリオの演奏もいつになくソウルフルです。



アルバムはまず、スタンダードの“On Green Dolphin Street”で幕を開けます。マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスの演奏が有名ですが、本作もミルトの涼しげなヴァイブが印象的ななかなかの好演だと思います。続くミルト自作の哀愁漂うバラード“Heatstrings”を経て、3曲目はナット・アダレイ作の必殺ファンキー・チューン“Work Song”。これがまた会心の出来で、アダレイ兄弟の本家バージョンに負けない出来だと思います。ミルトのファンキーなマレットさばきに触発されたピーターソンの“真っ黒”なピアノに注目です。4曲目の“John Brown's Body”は19世紀に作られたトラディショナル・ナンバーだそうですが、日本では♪ごんべさんの赤ちゃんが風邪ひいた~、の替え歌で有名ですね。もちろんここでは2人の手によりブルースフィーリングたっぷりに演奏されており、童謡の面影はありません。5曲目の“A Wonderful Guy”はミュージカル「南太平洋」の曲らしいですが、ピーターソンのカクテル調のピアノとミルトの涼しげなヴァイブが融合した心地よいミディアムチューンです。ラストはミルト自作の“Reunion Blues”で締めくくり。これも“Work Song”に負けず劣らずのファンキー・チューンで、2人がノリノリのソロを繰り広げます。以上、全6曲どれも聴き応えのある内容で、さすがはビッグネーム同志の共演に恥じない出来と思います。
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