ひさびさの更新になりますが、本日はドナルド・バードのライヴ盤をご紹介したいと思います。バードについては本ブログでもたびたび取り上げていますが、私が最も好きなトランぺッターの1人です。中でも1959年の「オフ・トゥ・ザ・レイシズ」から1961年の「フリー・フォーム」までの一連のブルーノート作品はどれも名盤揃いで、彼のキャリアの頂点を成すものと言っていいでしょう。本作はその中で唯一のライブ音源で、1960年11月にニューヨークの名門ジャズクラブ、ハーフノートで録音されたものです。CDはVol.1とVol.2に分かれていますが、ここではまとめて紹介します。
さて、上記のバードの黄金時代を支えたのがペッパー・アダムス(バリトン)とデューク・ピアソン(ピアノ)の2人。アダムスは人種的には白人ですが、出身もバードと同じデトロイト、スタイル的にもゴリゴリのハードバップということもあり、よほどウマが合ったのでしょうね。この時期ほとんどの作品で共演しており、実質は共同リーダーのような位置付けだったと思われます。バード&アダムスのコンビはブルーノート以外にもベツレヘム盤「モーター・シティ・シーン」やウォーリック盤「アウト・オヴ・ジス・ワールド」等の名盤を残しています。もう一人のデューク・ピアソンは前年の「フュエゴ」でバードが抜擢した人材で、その後もブルーノートからリーダー作「プロフィール」を発表するなど、新進気鋭のピアニストとして注目されていました。本作でももちろんその2人が参加しており、非常に重要な役割を果たしています(ちなみにそれ以外のメンバーはベースのレイモン・ジャクソンとドラムのレックス・ハンフリーズです)。特にピアソンはVol.1のオープニングを飾る“My Girl Shirl”、Vol.2の冒頭“Jeannine”と本作のハイライトとも言える2曲を提供しており、作曲者として大いに貢献しています。どちらも10分を超える熱演で、ライブ盤ならではの盛り上がりを見せています。その他はバードの自作曲が中心ですが、それらの出来はまあまあと言ったところ。あえて言うならやや哀調を帯びたメロディの“Cecile”が印象的ですかね。バードがワンホーンで奏でるスタンダード曲“Portrait Of Jennie”も秀逸なバラード演奏です。