ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

シェイクスピア・フェスティヴァルのオスカー・ピーターソン

2017-02-18 00:52:43 | ジャズ(ピアノ)

本日はオスカー・ピーターソン・トリオの作品をご紹介します。と言ってもこれまで当ブログでたびたび取り上げてきた、オスカー(ピアノ)、レイ・ブラウン(ベース)、エド・シグペン(ドラム)の3人ではありません。実はそのトリオが活動するのは1959年の「フランク・シナトラの肖像」以降で、それ以前のトリオはドラムのシグペンに代わり、ギターのハーブ・エリスを加えた3人だったのです。ドラムレスのトリオと言うのは珍しいですが、ピーターソン・トリオはその一風変わった編成で一躍人気を博します。有名な「エラ&ルイ」の歌伴やスタン・ゲッツとの共演の他、本ブログで取り上げたトニ・ハーパー「トニ」「ジャズ・ジャイアンツ’58」にも参加していますね。ただ、トリオ名義のリーダー作となると意外に少なく、有名なのは本作ぐらいでしょうか?シグペンに交代してからは怒涛の勢いでトリオ作品を発表し続けたのとは対照的です。



本作は名前の通りカナダのストラトフォードという町で開催されていたシェイクスピア・フェスティヴァルにトリオが出演した時の様子を録音したものです。シェイクスピアの名前からわかるように演劇が中心のお祭りのはずですが、夜になるとジャズ・ライブも行われていたのでしょうね。全11曲、75分にも達するボリュームですが、トリオの息のあった演奏のおかげで中だるみすることなく最後まで聞けます。曲目は1曲目の“Falling In Love With Love”にはじまり、以降も“How About You”“Flamingo”“Shining On A Star”“How High The Moon”とよく知られたスタンダードが並びますが、どの演奏も質が高いですね。主役はもちろん躍動するオスカー・ピーターソンのピアノですが、レイ・ブラウンも随所に素晴らしいベース・ソロを聴かせてくれますし、エリスもソロにリズム・ギターに大活躍で、まさに三位一体の演奏です。上記の曲以外ではブラウンとエリスが大活躍する“Gypsy In My Soul”、後半静かに盛り上がって行くエリントンナンバーの“Love You Madly”も出色の出来です。2曲だけ収録されたオリジナルも魅力的で、親しみやすいメロディを持った“Noreen's Nocturne”は3人がそれぞれ妙技を尽くすトリオのショウケース的なナンバー。ラストを飾る“Daisy's Dream”は組曲風の演奏で、最初はクラシックを思わせる典雅なメロディで始まり、中盤からはアップテンポに変身、最後も冒頭のメロディに戻ってしっとりと幕を閉じます。以上、さすがは名盤の名に恥じない出来だと思います。エリスとピーターソンはその後タグを解消しますが、その後ひさびさに再会したのが以前紹介した「ハロー・ハービー」です。

コメント