本日は白人女性ヴォーカルのテディ・キングをご紹介します。お世辞にもメジャーな存在とは言えませんが、50年代にストーリーヴィルやRCAに作品を残しており、今日取り上げる「ナウ・イン・ヴォーグ」もそのうちの1枚です。確かジャッキー&ロイのストーリーヴィル盤を購入した時に一緒に買ったと記憶しています。19世紀風のドレスを着た貴婦人らしき人がジャケットに描かれていますが、この人がテディ・キングと言うわけではなく、テディ自身はショートヘアのボーイッシュな感じの女性です。それにしてもこの謎の貴婦人、前髪がクセ強過ぎ!
さて、私が本作に興味を持ったきっかけは共演陣の顔ぶれ。基本がボブ・ブルックマイヤー(ヴァルヴトロンボーン)、ビリー・テイラー(ピアノ)、ミルト・ヒントン(ベース)、オシー・ジョンソン(ドラム)と言う渋好みのメンツから成るカルテットで、4曲でニック・トラヴィス(トランペット)、ジーン・クイル(アルト)、ソル・シュリンジャー(バリトン)が加わります。個人的にはフィル&クイルのジーン・クイルに注目したいところですが、彼がソロを取る場面はほぼなく、ソロで目立つのはボブ・ブルックマイヤーとビリー・テイラーです。
アルバムはロジャース&ハート作曲の"Why Do You Suppose"で始まります。他では聞いたことがない曲ですが、なかなかキャッチーな佳曲でニック・トラヴィスとブルックマイヤーのソロを挟みながらテディがスインギーに歌います。彼女のヴォーカルはかなり個性的で、やや鼻にかかった声でアップテンポではキュートに歌う一方、バラードでは高音で伸びのある歌声を響かせます。歌詞も一語一語はっきり発音する感じですね。
続く"Over The Rainbow""This Is Always"は定番のバラードで、テディがしっとりと歌い上げます。他にも何曲かバラードがありますが、私的には8曲目"Something To Live For"と10曲目の"Old Folks"がなかなかの名唱だと思います。ミディアム〜アップテンポでは"Fools Fall In Love""You Hit The Spot"と言った他ではあまり聞いたことのない曲を軽やかに歌います。共演陣では上述のとおりボブ・ブルックマイヤーが大活躍します。彼のトロンボーンはヴァルヴ式でスライド式のような迫力はない代わりに、独特のくぐもった音色で温かみを感じさせますよね。隠れた名手ビリー・テイラーもソロにバッキングに堅実なサポートぶりです。
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