ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

メンデルスゾーン/交響曲第3番&第4番

2012-03-14 22:32:32 | クラシック(交響曲)
最近、ロマン派の名曲が続きますが、本日もメンデルスゾーンの交響曲第3番をアップしたいと思います。これもかなり有名な作品なのですが、私の乏しいライブラリーにはメンデルスゾーンはヴァイオリン協奏曲と交響曲第4番「イタリア」しか入っておりませんでした。

この交響曲は「スコットランド」の別名で通っており、題名どおりメンデルスゾーンが当地を旅行した際に着想を得た作品とのことです。スコットランドと言えば天気が悪く、緑も少なそうなイメージを勝手に抱いてしまいますが、この曲もそれを裏付けるような陰りのある曲調ですね。とは言え、旋律自体は非常に美しく、交響曲として完成度の高い作品です。

第1楽章、いきなりメランコリックな弦楽アンサンブルから始まりますが、中間部以降は哀調の中に勇壮さを漂わせた魅力的な主題が最後まで続きます。第2楽章は陽気なスケルツォ風の親しみやすい旋律で、短調の本作品の中で異彩を放っています。第3楽章は一転してゆったりとしたアダージョで、弦楽の美しい響きが印象的です。第4楽章は木管楽器が哀調たっぷりの旋律を奏で、それにオーケストラが呼応するような形で進みますが、7分過ぎから急に転調して明るく雄大な曲想でフィナーレを迎えます。



CDはクルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のものを買いました。このオケは18世紀から存在する世界でも最も伝統あるオケの一つで、何と19世紀半ばにはメンデルスゾーン自身が楽長を務めていたとか。ある意味、メンデルスゾーン作品を演奏するのにこれ以上ない陣容かもしれません。

カップリングは同じくメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」です。本作は20年ほど前にシノーポリ指揮でシューベルトの「未完成」とセットになったCDを購入していましたが、実は「未完成」ばかり聴いていていたためじっくり聴き込むのは今回が初めてです。第1楽章はイタリアの明るい太陽を思わせる華やかな曲調。この部分はTVCM等でもよく使われていますね。ただ、これがずっと続くと思うと肩すかしを食らいます。第2楽章は弦楽のピチカートをバックに物寂しげな主題を木管楽器が歌い上げます。第3楽章はゆったりしたメヌエット風で幾分か明るい印象。途中挟まれるホルンが牧歌的です。第4楽章はサルタレッロというイタリアの舞曲風のスタイルらしいですが、むしろ暗めの曲調で弦楽ユニゾンがどことなく不安を煽ったままフィナーレを迎えます。以上、出だしの脳天気さとは正反対の終わり方という変わった曲です。どちらもメンデルスゾーンの代表作として知られていますが、個人的には「スコットランド」の方がお気に入りですね。
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リスト/ピアノ協奏曲第1番&第2番

2012-03-10 01:11:51 | クラシック(協奏曲)
本日はフランツ・リストのピアノ協奏曲です。リストはショパンと並びクラシックピアノにおける神様のような存在ですが、有名作の多くがピアノのソロ曲ということもあり、私としては馴染みの薄い作曲家でした。やはりオーケストラ付きでないとなんか物足りない気がするので。(同じ理由でショパンもピアノ協奏曲しか持ってません)調べてみるとリストはショパンと違い、後半生はかなり管弦楽作品に力を注いだらしいですね。交響曲も2曲、交響詩に至っては13曲も書いてます。どれも耳にする機会はほとんどありませんが。と言うわけで今も頻繁に演奏されるリストのオーケストラ作品と言えばやはり2曲のピアノ協奏曲となってしまいます。

ただ、さすがにこの2曲はどちらもなかなか充実した出来です。第1番は16分強しかない小品で、形式上4楽章に分かれてはいるものの実質は切れ目なく演奏されます。全体的に明るく華やかな曲調で、超絶技巧のピアニストとして知られたリストらしく縦横無尽にピアノが活躍します。特に美しい第2楽章のアダージョと、第4楽章クライマックスの盛り上がりが見事です。

第2番も20分弱の作品ですが、こちらは完全に単一楽章の作りとなっています。第1番に比べてより落ち着いた作品で、冒頭のセンチメンタルな主題がテンポや楽器編成を変えて何度も登場します。中盤の穏やかなアレグロ・モデラートの部分と、後半の勇壮なマルツィアーレの部分が聴きモノですね。



CDはボリス・ベレゾフスキーのピアノ、ヒュー・ウルフ指揮フィルハーモニア管弦楽団のものを買いました。1000円の廉価で1番&2番に加え、「死の舞踏」も入っているお得版です。「死の舞踏」はピアノ独奏付きの管弦楽曲で、題名どおり死をテーマにした暗い作品。途中ピアノが華やかな旋律を奏でるパートもありますが、オーケストラの方は不吉なテーマを延々と奏でます。昨日アップしたムソルグスキーの「死の歌と踊り」もそうですが、当時の作曲家はこういうテーマが好きだったんでしょうか?
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チャイコフスキー/交響曲第5番

2012-03-08 22:43:28 | クラシック(交響曲)
本日はチャイコフスキーの交響曲第5番です。これも前回のマーラー「復活」と同様にクラシック好きなら持っていて当然の超有名曲なんですが、恥ずかしながら持っていませんでした。チャイコフスキーと言えばピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、くるみ割り人形など昔から愛聴しているのですが、交響曲に関しては最初に購入したのが第6番「悲愴」でして、文字通りの悲愴な暗さにゲンナリしてしまい、他の交響曲も敬遠していた次第です。でも、第5番は実に素晴らしい内容でした。聴く順番を間違えたとしか言いようがありませんね。チャイコフスキーにしては力強い曲風で、これぞ交響曲とでも言うべきスケールの大きな名曲です。

第1楽章は全体的に勇壮な行進曲風の仕上がりですが、冒頭クラリネットの奏でる哀調あふれる主題と中間部の美しい弦楽アンサンブルがアクセントになってます。第2楽章アンダンテ・カンタービレは思わず歌詞をつけたくなるようなロマンチックな旋律。特に出だしの部分、静かな弦の調べに乗ってホルンが主題を奏で、そこに弦楽アンサンブルが加わるあたりは無類の美しさでしょう。第3楽章はワルツ調の曲調で、6分弱と時間も短く箸休め的な存在でしょうか?続く第4楽章はオーケストラをフルに使った雄大なフィナーレ。どことなくブラームスの交響曲第1番最終楽章を思い出すのは私だけでしょうか?特に最後の2分あまり、トランペットが高らかに主題を歌い上げ、それにオーケストラ全体が呼応するあたりが最高の盛り上がりです。



CDはクラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のものを買いました。天下のベルリン・フィルによる演奏もさることながら、カバーの絵が何とも意味深で心惹かれました。刃物を持つ乙女は何のモチーフでしょうか?

このCDにはムソルグスキーの歌曲「死の歌と踊り」も収録されています。文字通り死をテーマにした暗く不気味な歌で、歌詞も瀕死の病人を死神が黄泉へ誘うという何とも陰気な内容。重低音のオーケストラもさることながら、低くドスの効いたバリトン独唱がまさに死神さながらの歌声です。チャイコフスキーとはロシアつながりですが、第5交響曲とはあまりにも対照的な暗い曲です。
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