秋田県旧増田町(現横手市)出身の矢口高雄氏原作の漫画「釣りキチ三平」が映画化され、公開中。秋田県内ではそれに合わせた商品やイベントが出てきているが、地産地消の限定商品の駅弁も登場したそうだ。4月5日の秋田魁新報によれば「JRの秋田・角館・田沢湖の各駅、「こまち」と「リゾートしらかみ」の車内販売で5月末まで販売する」とのこと。関根屋から1050円で発売。
秋田駅では、現在は大館の鶏めしなども買えるが、本来の意味での「秋田駅弁」を製造・販売するは3社。全国的には、長野や岐阜など大きな駅でも唯一の駅弁屋が廃業などで撤退してしまったケースがある中、秋田駅は恵まれている。
その3社はNRE(旧日本食堂)と泉秋軒(旧伯養軒)、そして関根屋。NREはかつて秋田駅構内に日本食堂のレストランがあった名残らしい。泉秋軒は仙台を拠点に広く展開していた伯養軒の経営不振にともない、秋田駅分だけを従業員の人たちが興した会社に譲渡したものと聞いた。両社ともなじみはあるが、秋田生まれ秋田育ちの僕としては地元業者の「関根屋」さんを応援したい。
関根屋はもとは駅前の旅館だったらしいが(全国的に駅前旅館が駅弁も売っていた例は多い)、現在は仕出し・駅弁専業。公式サイトには創業明治35(1902)年とあり、秋田駅の開業と同年。最近、同社が使う「秋田駅とともに百余年」というコピー通り。
同社商品で僕が好きなのは甘じょっぱい牛肉の煮付けが創業から変わらぬ味という「特製牛めし」、ごはんがおいしい実質的な“幕の内弁当”である「あきたこまち弁当」、秋田県民の好きなキノコの舞茸をご飯の上に敷き詰めた秋限定の「わっぱ舞茸」も地味だけどおいしい。
ほかには食べたことがないが、確か国内唯一のうどんの駅弁という夏限定・要予約の「稲庭割子つけ麺」が気になっている。さらに最近はきりたんぽ弁当など新作も発売している。
だだっ広い秋田駅、駅弁売場が複数あるが、関根屋の商品を扱っていない場所もあるので、購入の際は公式サイトで確認いただきたい。
今回は中央改札横の「NEW DAYS」にお昼頃行くと、釣りキチ三平弁当は3個しか並んでいなかった。時間帯のせいもあるが、なかなか人気の模様。
映画のシーンを使ったパッケージ。肝心のイワナの顔がシールで隠れているのは残念。
関根屋は、数年前からウェットティッシュも付けてくれるようになったのはありがたい。エビや醤油をつかむとどうしても手が汚れてしまうから。でも東日本以外の地域の駅弁屋では添付されない方が普通なので、要注意。
「お品書き」も最近の流行り。
ちょっと小さめで色合いが地味だけど、びっしり詰まっていておいしそう。
一見幕の内風だけど、カマボコや卵焼き、梅干しなどはない。
やや少なめのご飯の上に載っているのは「みず醤油漬け」。ウワバミソウという植物を山菜の「みず」として秋田県人は好んで食べる。筋っぽくて僕はあまり好きでないけど、これは柔らかい。味付けは薄く、特有の粘りも感じなかった。
フライの入った駅弁はあるけど、天ぷらは珍しいかも。タネは秋田産イワナと秋田産華まいたけ。イワナの天ぷらは初めてだったが、小骨が気にならないほど柔らかく淡白でなかなか。マイタケは歯ごたえがよくおいしい。「華まいたけ」とは、秋田市新屋の製紙工場跡地でその関連会社が栽培しているマイタケのブランド。某雪国ほどではないが、秋田では「十條製紙のマイタケ」としてそれなりに知名度がある。
右下にお品書きにない肉団子が。原材料名シールには「比内地鶏肉団子」とある。おいしいし、ネームバリューもある比内地鶏が品書きにないのはなぜ?
その上は「とんぶり入り焼き蒲鉾」。ホウキ草の実の「とんぶり」はプチプチした食感が独特な秋田の特産だが、それをかまぼこに入れるとは斬新。でもとんぶりの食感はほとんどしない。とんぶりの量が少ないのか。
煮物はエビと再登場のマイタケと「田沢湖『虹の豚』『西目ぶなしめじ』のしぐれ煮」。しぐれ煮はやや濃いめで秋田らしい味。昔ばあちゃんが作ってくれた煮物を思い出した。
カップに入ったのはじゅんさいの酢の物。ジュンサイはつるんとしたのどごしの水草の若芽。料亭などでは高級料理だそうだが、生産量全国一の秋田では庶民の食卓にも上る。カップ入りジュンサイは、NREの駅弁にもある。
これはあまり酸っぱくなかった。我が家ではもっと酸っぱいけど、うちが酸っぱいの好きなのだろうか。
漬け物は秋田名産「いぶりがっこ」の大根とにんじん。「がっこ」は秋田弁で漬け物。それを燻した、くん製の漬け物【2012年3月5日補足】正確には“燻製乾燥した野菜をたくあんにした”ものを「いぶりがっこ」と呼ぶ。大根のほかニンジンが使われるのが一般的。
僕は大人になってから好きになったが、秋田の漬け物にしてはあまりしょっぱくなく、最近は秋田の駅弁でもよく見かける。この弁当のは薄くスライスしてあり食べやすい。
おいしかった。秋田の駅弁屋さんならではの秋田にこだわった駅弁だ。釣りキチ三平とはイワナ以外あまり関連性がなさそうな気もするが、それだけにずっと発売してほしい。やや高いけれどまた食べたい。
秋田駅では、現在は大館の鶏めしなども買えるが、本来の意味での「秋田駅弁」を製造・販売するは3社。全国的には、長野や岐阜など大きな駅でも唯一の駅弁屋が廃業などで撤退してしまったケースがある中、秋田駅は恵まれている。
その3社はNRE(旧日本食堂)と泉秋軒(旧伯養軒)、そして関根屋。NREはかつて秋田駅構内に日本食堂のレストランがあった名残らしい。泉秋軒は仙台を拠点に広く展開していた伯養軒の経営不振にともない、秋田駅分だけを従業員の人たちが興した会社に譲渡したものと聞いた。両社ともなじみはあるが、秋田生まれ秋田育ちの僕としては地元業者の「関根屋」さんを応援したい。
関根屋はもとは駅前の旅館だったらしいが(全国的に駅前旅館が駅弁も売っていた例は多い)、現在は仕出し・駅弁専業。公式サイトには創業明治35(1902)年とあり、秋田駅の開業と同年。最近、同社が使う「秋田駅とともに百余年」というコピー通り。
同社商品で僕が好きなのは甘じょっぱい牛肉の煮付けが創業から変わらぬ味という「特製牛めし」、ごはんがおいしい実質的な“幕の内弁当”である「あきたこまち弁当」、秋田県民の好きなキノコの舞茸をご飯の上に敷き詰めた秋限定の「わっぱ舞茸」も地味だけどおいしい。
ほかには食べたことがないが、確か国内唯一のうどんの駅弁という夏限定・要予約の「稲庭割子つけ麺」が気になっている。さらに最近はきりたんぽ弁当など新作も発売している。
だだっ広い秋田駅、駅弁売場が複数あるが、関根屋の商品を扱っていない場所もあるので、購入の際は公式サイトで確認いただきたい。
今回は中央改札横の「NEW DAYS」にお昼頃行くと、釣りキチ三平弁当は3個しか並んでいなかった。時間帯のせいもあるが、なかなか人気の模様。
映画のシーンを使ったパッケージ。肝心のイワナの顔がシールで隠れているのは残念。
関根屋は、数年前からウェットティッシュも付けてくれるようになったのはありがたい。エビや醤油をつかむとどうしても手が汚れてしまうから。でも東日本以外の地域の駅弁屋では添付されない方が普通なので、要注意。
「お品書き」も最近の流行り。
ちょっと小さめで色合いが地味だけど、びっしり詰まっていておいしそう。
一見幕の内風だけど、カマボコや卵焼き、梅干しなどはない。
やや少なめのご飯の上に載っているのは「みず醤油漬け」。ウワバミソウという植物を山菜の「みず」として秋田県人は好んで食べる。筋っぽくて僕はあまり好きでないけど、これは柔らかい。味付けは薄く、特有の粘りも感じなかった。
フライの入った駅弁はあるけど、天ぷらは珍しいかも。タネは秋田産イワナと秋田産華まいたけ。イワナの天ぷらは初めてだったが、小骨が気にならないほど柔らかく淡白でなかなか。マイタケは歯ごたえがよくおいしい。「華まいたけ」とは、秋田市新屋の製紙工場跡地でその関連会社が栽培しているマイタケのブランド。某雪国ほどではないが、秋田では「十條製紙のマイタケ」としてそれなりに知名度がある。
右下にお品書きにない肉団子が。原材料名シールには「比内地鶏肉団子」とある。おいしいし、ネームバリューもある比内地鶏が品書きにないのはなぜ?
その上は「とんぶり入り焼き蒲鉾」。ホウキ草の実の「とんぶり」はプチプチした食感が独特な秋田の特産だが、それをかまぼこに入れるとは斬新。でもとんぶりの食感はほとんどしない。とんぶりの量が少ないのか。
煮物はエビと再登場のマイタケと「田沢湖『虹の豚』『西目ぶなしめじ』のしぐれ煮」。しぐれ煮はやや濃いめで秋田らしい味。昔ばあちゃんが作ってくれた煮物を思い出した。
カップに入ったのはじゅんさいの酢の物。ジュンサイはつるんとしたのどごしの水草の若芽。料亭などでは高級料理だそうだが、生産量全国一の秋田では庶民の食卓にも上る。カップ入りジュンサイは、NREの駅弁にもある。
これはあまり酸っぱくなかった。我が家ではもっと酸っぱいけど、うちが酸っぱいの好きなのだろうか。
漬け物は秋田名産「いぶりがっこ」の大根とにんじん。「がっこ」は秋田弁で漬け物。
僕は大人になってから好きになったが、秋田の漬け物にしてはあまりしょっぱくなく、最近は秋田の駅弁でもよく見かける。この弁当のは薄くスライスしてあり食べやすい。
おいしかった。秋田の駅弁屋さんならではの秋田にこだわった駅弁だ。釣りキチ三平とはイワナ以外あまり関連性がなさそうな気もするが、それだけにずっと発売してほしい。やや高いけれどまた食べたい。