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バス停いろいろ2

2009-05-27 21:49:01 | 秋田のいろいろ
先日に続いて、旧秋田市交通局(市営バス)の「ダルマ型バス停」のお話。今回は頭の看板部分の停留所名について。
前にも触れたが、交通局時代からバス停名の書き方に変遷があった。
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1はかなり錆びているが、看板屋さんのものと思われる手書き文字の昔のスタイル。写真のバス停を含め、現在はほとんど残っていない。
2は正確な時期は不明だが、おそらく交通局としては最後にかなりまとまって更新されたタイプ。地色が鮮やか。文字は丸ゴシック体だが、パソコンのフォントとは違う、本格的な写植フォントっぽいカット文字で、従来の手書きとのギャップが斬新だった。ローマ字も併記され、「CHOME」などヘボン式標記。
【2016年10月22日追記】1999年10月1日に実施された、泉地区の広範囲の住居表示(泉中央n丁目などが登場)に伴って名称が変更されたバス停では、このタイプの表示板。その頃のタイプということになる。このタイプの書体等について詳しくはこちら

しばらく経つと、交通局も予算的に苦しくなってきたのか、残っていた手書き看板の停留所は、丸ごと新品にするのではなく、頭の部分だけを更新(外して塗り直した?)する手法に変えたようだ。【2016年11月17日追記】2002年10月末に新設された「ウェルビューいずみ前」がこの透明シールタイプなので、その頃のこと。
3は、僕の記録と記憶があいまいで申し訳ないが、上の1と同じものを同じ年に撮影したものだと思う。写真では分かりにくいが、黒文字のバス停名部分は、透明シールに印刷して貼っている。フォントもパソコンの丸ゴシック体と思われ、経費節減しているのが伺える。でも現在も現役のものが多いようで、耐久性はあるようだ。
ローマ字は「まち」が「MATI」と訓令式。同時期更新の他のバス停も「丁目」が「TYOME」となっているし、交通局ではヘボン式から訓令式に転換したようだが、理由は分からないし、混在していて戸惑った。
4もパソコンシールで更新したもの。看板の塗装の色はきれいだが、錆が浮いている。塗装が雑だったのか。
5は「二面体」バス停が設置されていた場所なのだが、おそらく修復不可能なほど破損し、急遽交換・設置されたもののようだ。シール印刷のパソコンの角ゴシック体でローマ字がない。でも移管後の現在も使用され続けている。
※ローマ字表記や角ゴシック体の表示板についてはこの記事も。

以上が、秋田市交通局のダルマ頭部の変遷。今度は、ツッコミどころのある看板を。

今は1日1本になってしまった、大回り線「大町西交差点」。「点」の下が4つの点でなく、よくメモ書きで略すように「大」になっている。

 
神田・旭野団地線の終点「外旭川市営住宅前」。右は「営」が抜けて「外旭川市住宅前」になってる。確かにこのスペースにこの文字数は難しそう。「旭」「宅」の最後のハネ、にんべんに書き手の特徴が出ている。

 右も2002年撮影です
八橋運動公園裏側の旧国道に将軍野線の「ラグビー場前」という停留所があった。現在は「ラグビー場」自体が「球技場」に変わってしまい、バス停名も変わっている。
実は、同名バス停が別に、その球技場や日吉神社の前、公園内を抜ける道路上にもあり、小型バスが1日数便走る「泉・山王環状線」用。
写真左が環状線用。「次ハ」と次の停留所名もあり、最古型ではないだろうか? 赤や緑は塗り方が雑なのか刷毛の跡が見える。
右は将軍野線下り。移管直後だったため、民間会社名が上下2か所に表示されている。よく見ると「ラビー場」になってる! なんか力が抜けそうというか、ラグビーを簡素化したニュースポーツ「楽ビー」誕生?

秋田駅から線路沿いに南へ進んだ、秋田南中学校前の通りは住所としては「南通築地(みなみどおりつきじ)」。南中の南北にバス停があり、「築地北丁」と「築地下丁」となっている。
秋田市のバス停名の命名傾向として、同じ町内に複数のバス停がある場合、「○○一区、二区…」か「○○上丁、中丁、下丁」となることが多く、まれに「東西南北+丁」がある。例えば、弘前の弘南バスではこうした命名ではなく「○○北口、中央○○、○○南口」というパターンが多いから、バス会社の個性なんだと思う。
築地の場合は、「北丁と南丁」や「上丁と下丁」でなく、「北丁と下丁」で対になっていないのがおもしろい。

交通局時代から築地北丁の下り側は、新しいカット文字だったが、この上り(秋田駅行き=南中の向かい)側はこの当時は更新されず手書きのまま。しかも「築地北」になっている。
【5月29日訂正】文中の築地北丁の上りと下りを逆にしていたので、上記の通り訂正しました。ひとの間違いを指摘しておきながらお恥ずかしい限りです。
以上は手書きの時代のもの、ワープロもメールもなく、交通局内や作成業者とのやり取りの際も手書き文書や口頭だっただろうから、どこかで行き違いが生じてしまったのだろう。

以前記事にしたようにダルマ型ではないが、「からみでん」が「からみ田」になったように、手書きでなくなってからも間違いはあった。
からみでんの隣の停留所「扇田」。
色あせ具合とフォントから交通局が設置したものだが、ローマ字は「OGIDEN」すなわち「おうぎでん」。
市営時代は分からないが、今は車内放送も「次はおうぎでん」と言っているが、僕は「おうぎだ」か「おうぎた」だと思っていた。
今回も秋田市役所の「地名小辞典」を見ると「手形字扇田 テガタアザオウギ」となっているから、やっぱりバス停名は間違ってる。秋田市には田をデンと読む地名が多いとはいえ、交通局の確認不足で、それがそのまま“民間移管”されてしまったことになる。【2022年6月14日追記・地元では「おうぎでん」と呼んでいるとのコメントをいただいた。交通局ではなく地名小辞典の間違いかもしれない。】
ここまでは交通局時代のこと。ここからは移管後の民間会社のもの。

これが民間会社標準のもの。
カット文字だが、交通局のものより日本語文字が大きく(これはいいこと)、微妙にラインが違い、雰囲気もどことなく違う気がする。
ローマ字はヘボン式の箇所と訓令式の箇所があって統一されていないが、この千代田町は「CHIYODAMATI」となっており、同じバス停の同じ「ち」なのにヘボン式のCHIと訓令式のTIが混ざっている。こういう表記方法があるとは思えないし、失礼ながらこの会社ならやりそうなことだ…

桜町。
左の下りはかつての交通局バスロケ(接近表示)型、向かいの上りは二面体だったが、移管後にダルマ型に置き換わった。
 
ここは「保戸野桜町(ほどのさくらまち)」だから、当然バスロケは「SAKURAMACHI」。車内放送も「さくらまち」と言う。
でも新しいダルマ型は「SAKURATYOU」=「さくらちょう」。僕はこの辺の地区とはそれなりに関わりがあるが、「さくらちょう」と呼ぶ人を一度も見たことはなく、よその土地のバス停に見えてしまう。

再び南通築地の築地北丁。奥が秋田駅方向。
上の方で紹介した交通局の手書きの「北町」だったのは【5月29日訂正】左側の上り用だが、民間会社の手で更新されたようだ。向かいの下りは交通局時代のまま。
 
下り(左、交通局設置)と上り(右、民間設置)を比べてみよう。
フォントの違いがよく分かるが、民間側は更新してもなお「北」しかも「KITAMACHI」=「きたまち」と新たな読みがなまでふっている。お奉行所でもあるのかな?
もちろん車内放送は「きたちょう」、バス停掲示の時刻表も「北丁」。


隣の築地下丁は、
 
下り側は交通局設置の蛍光灯照明付き。おそらくここだけだと思われる、薄い小型タイプでかわいい。ローマ字はないが漢字はもちろん「下丁」。
上り側は民間更新だから、案の定、「下」。「したまち」と読みそうだけど、「SHIMOMACHI」=「しもまち」と読むそうです。もちろん放送は「しもちょう」、時刻表も「下丁」ですが…
ちなみにこの辺は江戸時代からのお屋敷町なので、下町なんて書いたら「武士の町をしたまちとは何事!」って怒られないかな。

バス会社サイトの時刻表検索では「築地北丁」「築地下丁」となっている。つまり上りの停留所だけが違っている。

【5月29日追記】後で気づいたが、ローマ字表記の「つ」だけが訓令式(TU)で、「し」や「ち」はヘボン式とここも千代田町同様、混在している。それともこういうローマ字表記方法があって、僕が知らないだけなのだろうか?? ご存知の方がいらしたら教えてほしい。
【2016年10月11日追記】2016年10月までには、「北町」「下町」とも正しい「北丁」「下丁」表記に更新されていた。Googleストリートビューで確認すると2015年8月ではまだ「町」だった。

上の扇田や、以前取り上げた南浜町(みなみはままち)を「みなみはまちょう」としてしまったり、交通局時代も結構間違いはあったとはいえ、車内放送まで“一貫して間違え”、ある意味信念がある。
一方、民間会社は、「木ノ内」なんて停留所を作ったこともあったし、間違えた桜町と築地は、車内放送や時刻表、向かい合う停留所の間で標記が違い、一貫性がない。

この会社の体制は知らないが、停留所更新を手配した本社の管理部門と運行を担当する現場の営業所間の連携が取れていないような気がする。
経営状態が厳しい中、せっかく費用をかけてバス停標記を更新するのなら、
 1.更新前に現地を回って確認したのだろうから、その際反対側の標記も確認する。
 2.自社サイトの時刻表検索や車内放送の原稿や音声データを確認すれば、本社内にいても確認できる。
 3.本社では分からなくても、路線を担当する各営業所に問い合わせれば、運転士など読みを知っている社員はいるはず。
 4.築地に関しては秋田市のバス停の命名法則を理解していれば、「きたまち」「しもまち」などという名称はあり得ない。創業85年だかの老舗バス会社のやることとは思えない。
 5.そもそもお客のことを思えば、こんな場当たり的なことはしない。
こうした確認を怠り、一括発注した本社側が机上で独断で決めてしまったように思えてならない。

バス停のローマ字標記なんかどうでもいいけど、バス停は乗客がバス利用の最初と最後に必ず使う場所であり、乗客以外にとっても町のランドマークである。自社の社名も書いているんだから、“商品”であり一種の広告かもしれない。
もっと意識して大事にしてほしい。

そういえば、この会社の貸切や高速バスの車体には、ローマ字で「AKITA CHUO KOTSU」と表記されている。ところが、公式サイトのURLは「chuo“u”kotsu」、ページ左上のロゴマークっぽい画像は「Chuo“u”ko“u”tsu」と、「う」の表記方法が統一されていない。秋田県内地盤の会社といっても、海外の客を乗せる場合だってあるだろう。
バス停の名前よりも、自分の名前を正しく書く方が先なのかもしれません。

※2016年秋に廃止された移管路線のバス停の記録
コメント (4)
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