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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

まる子バス

2012-02-08 21:33:45 | 旅行記
今回の旅行(前回の記事)では、静岡市より東側を中心に回ったので、昨年10月に新駅ビルができたという静岡鉄道新静岡駅など、旧静岡市へは行くことができなかった。
でも、静岡市清水区(旧清水市)には少し滞在した。
※静岡県には、三島と沼津の間に駿東郡「清水町(しみずちょう)」という自治体もあってややこしいのだけど、以下、ここでは静岡市清水区を指して「清水」と表記することにします。

清水といえば、三保の松原、はごろもフーズ、サッカー、次郎長などなど。
秋田市御所野にも一時期出店(2010年6月閉店)していた「戸田書店」の本店・本社が、JR清水駅近くの商店街「清水銀座」にあったのだが、2011年1月で店舗は閉店(本社機能は継続)してしまっていて、シャッターが下りていた。※以前訪れた時の記事
秋田市でいう、昔の加賀谷書店とか三浦書店みたいな「街の大きな由緒ある本屋さん」の店構えだったかと思う。清水銀座は比較的空き店舗が少ない商店街だと思うが、書店がなくなってしまったのは寂しい。

清水銀座の裏側を「巴川」が流れており、その近くで生まれ育ったのが、さくらももこ。

以前はなかったかと思うが、JR清水駅のホームからエスカレーターで改札のある2階へ上がると、こんなパネルがあった。
「まるちゃんが生まれた町清水へようこそ!」
20代とおぼしき女性2人連れが2組、「わー! まるちゃんだ!」と喜んで写真を撮っていた。
駅からも遠くない、海に面した商業施設「エスパルスドリームプラザ」内にある「ちびまる子ちゃんランド」の宣伝を兼ねたパネルのようだ。

清水の人物といえば、今は次郎長よりもさくらももこというかちびまる子ちゃんと言えるかもしれない。

ちなみに、上のパネルは、現在放送中のアニメーションと同じタッチ。
長期間続いているアニメは、途中あるいは同時期でも担当者によってキャラクターのデザインが違ってしまうことが多い。(ドラえもん、クレヨンしんちゃん、忍たま乱太郎など)作画の方針などのためだろうが、初期から見続けている者としては、違和感を感じてしまう。
「ちびまる子ちゃん」もそうで、1990年の放送開始当初は回によってデザインが違うことがあったが、徐々に統一されたようだ。1992年からの中断を挟んで1995年の放送再開当初はまた異なるデザイン(目が顔の中央に寄っている)だった。
その後、ここ何年か(もう10年くらい?)は、顔がバタっとした平べったくて頭でっかちなデザインになってしまい、個人的にはかわいくないと思う。原作とも違うようだが、今もアニメの脚本監修をされているさくら先生はこれでいいと考えているのだろうし、若い人たちにはこれがまる子なのだろうけれど。


静岡市との合併(2003年)と政令都市化(2005年)があり、今は静岡市の一部になった清水だが、新しい静岡市はさくらももこの出身地であることをPRに活用しているようだ。
例えば、JR清水駅の自由通路両端の出口「江尻口」「みなと口」の表示には、さくらももこのイラストが使われている。(おそらく2010年頃から)

今回は、こんなものを発見。
さくらももこのイラストのバス
記事冒頭の写真も参照いただきたいが、全面がピンク色ベースで、正面には明らかにさくらももこのタッチ(アニメではなく原作の)の人物の顔と「静岡市はいいねえ。さくらももこ」の文字。
行き先表示は「清水まちなか巡回バス 100えん」と表示されている。

まず、「清水まちなか巡回バス」とは、静岡市が運行している市街地循環100円バス。運行は地元のバス会社「しずてつジャストライン」西久保営業所が行う。
駅・観光施設・公共施設などを30分かけて1周し、昼間に毎時3本、片方向で運行されている。
2007年から運行されているらしいが、2011年7月11日からはこのさくらももこによるイラストのラッピング車両が使われている。

「静岡市はいいねえ。」というのは「静岡市シティプロモーション」という、静岡市が行う観光事業(?)のキャッチフレーズらしく、車体に市章と「静岡市」と表示されているので、静岡市が広告主となったラッピング広告だと考えられる。
また、これと似たデザインの静岡市PRのラッピングバスが、2008年に東京都営バスで走っていたそうだ。

ところで、正面に描かれた顔。
清水駅自由通路出口のイラストと同一人物のようだが、僕は最初、まる子の姉の「さきこ」さんに見えた。一般的なちびまる子ちゃんはおかっぱ頭だけど、こちらはおさげだし。
しかし、よく見るとお姉ちゃんとは少し違う顔立ちで、「ちびまる子ちゃん」以外の自伝的作品に登場する、成長したまる子に似ている。
おそらく、「ちびまる子ちゃん」の小学校3年生当時より少し大きくなったまる子=さくらももこの姿だと思われる。
したがって、これを「ちびまる子バス」としてもいいだろう。

このバスを見た観光客らしき女性たちも「これってお姉ちゃんでしょ?」「お姉ちゃんメインなのかね?」などと会話していた。
まあ、多くの人がさくらももこの絵であると認識できるだろうし、清水はさくらももこの出身地であることは知れ渡っているし、実際に名前も書いてあるからいいだろうけど。

他の面のデザインも見てみる。
運転席側
運転席側は、前(上の写真右)から順に、三保の松原(清水区)、久能山東照宮(駿河区)、富士山・港・茶摘み(清水区・駿河区の日本平?)。所々でミカンが実っている。
どのイラストにも、まる子がいる。久能山東照宮の建物はかなり精密な絵。
駿河区は清水ではなく旧静岡市なので、清水に限らず合併後の新・静岡市全体の風物が描かれていることになる。
三保の松原の天女がまる子

ドア側
前(写真左)はマグロ、顔が描かれた中ドアを挟んで後部は富士山と桜えびの天日干し。こちらもミカンがなっている。
上のパンダのイラストは、バス会社の所属営業所識別のステッカー
マグロを見ているまる子は、背が小さく子どものようだが、右(車体後部)で桜えび干し作業をするのは、大人のまる子だろうか?
清水より東に位置する、桜えびの水揚げで有名な「由比」や干し場がある富士川河口の「蒲原」は、それぞれ2008年と2006年に静岡市と合併し、清水区の一部になった。

後部
後ろは富士山とまる子の顔。
4面とも「静岡市はいいねえ。」のフレーズが書かれている。

このラッピングバスは、同デザインが少なくとも2台は在籍し、清水まちなか巡回バスの専用車両となっているようだ。
しずてつジャストライン西久保営業所には、いすゞと日野ブランドの大型バスが多い印象だが、この車両は中型バス。
車種は縦に2つ並ぶヘッドライトが特徴的な「いすゞエルガミオ」かと思ったが、
「HINO」!(1つ上の写真のリアウインドウにも表示がある)
HINOと表示してあるからには、いすゞエルガミオと同仕様で、いすゞが製造して日野に供給して発売される「レインボー2」だ。(現在は製造部門が合弁会社に統合されている)
現在発売中の日野レインボー2は、ヘッドライトのデザインが違う(左右1つずつ)ので、そこで区別ができるのだが、2004年から2007年まで製造されていた初代は、いすゞと日野でまったく同一の外観だったのだ。(ブランド表示を見ない限り識別できない)
ということは、そんなに新しい車両ではないということになる。

よく見ると、バンパー、屋根のクーラー、タイヤホイールは、しずてつジャストラインの一般塗装車の色が見えており、あくまでも一般路線バス車両にラッピングバス広告としてこの塗装にしたものなのだろう。(一方で、ミラーのアームはピンク色になっている)

凝ってるなと感じたのが、LEDの行き先表示。
あまりうまく撮れてませんが
左端はバスが笑っていて、右端は100円玉。
そして「清水まちなか巡回バス」の書体がおもしろい。楷書体にも見えるが「教科書体」だろうか。
後部の表示は文字だけで明朝体のようだ。
長野市の川中島バスでは、正月の回送時に、毛筆体(楷書体)で「謹賀新年」と表示しているのだが、行き先表示にゴシック系以外の書体が使われるのって、全国的にこれらぐらいではないだろうか。


この「ちびまる子バス」と「清水まちなか巡回バス」を踏まえて、我が秋田市を見ると…
・ラッピングバス
まる子バスは、今や絶大な知名度と人気を誇るさくらももこが手がけ、そしてラッピング広告バスの経験が豊富なしずてつジャストラインの組み合わせ。
それだけに、例えばタイヤや中ドア周りの処理がしっかりしていて、大事なデザインが欠けたりせず、ドアが開いても問題ないように配慮されている。
どの面からも「静岡市はいいねえ。」のフレーズを見ることができ、意図が明確に伝わる。

それに引き換え秋田市。この記事などで何度かアップしたように、秋田市が広告主となって、公募した秋田らしいデザインのバスを走らせている。
でも、タイヤやドアを考慮しないデザインだったり、説明がないので知らない人は誰が何の意図でこんなバスを走らせているのか分からず、もったいない。
【9日追記】そういえば、モチーフとなったのはどれも合併前の旧秋田市の風物ばかりで、旧雄和町、旧河辺町のものは取り上げられていないのも、静岡市と対照的。

秋田市には登場から10年経つ「三平バス」もあるが、これもぱっとしない。
秋田中央交通創業80周年を記念して、同社社長と旧知である秋田出身の漫画家・矢口高雄氏に依頼してデザインしたもの。しかし、そんないわれは知らない人がほとんどだろうし、矢口氏の出身地や釣りキチ三平の舞台は、秋田県内ではあるが秋田中央交通の営業エリアとはあまり関係ないのだから。

・市街地循環バス
清水は“巡回”バスというネーミングが珍しいと思うが、市街地を中心に、地元の人も観光客も使えるコース設定という点、片方向のみの運行、運行時間帯、運行距離などからすると、弘前市の弘南バスの「土手町循環100円バス」とよく似ているように感じる。
清水の場合、駅周辺は一般路線バスも100円で乗車できるようになっているので、利用しやすい。

誰でも乗れる100円バスがなく(別に100円でなくてもいいとは思うが)、市街地循環バスもない秋田市。
他の都市にどんどん差をつけられて置いていかれそう。



ところで、フジテレビ系列で放送中のアニメ「ちびまる子ちゃん」は、先日2月5日の放送が999回目。
次回、12日の放送(1時間特番)で放送1000回目だそうだ。
また、昨年は作品誕生(原作)25周年も迎えていて、すっかり国民的作品になったと言える。
僕はけっこうちびまる子が好きでして、機会があればウンチクでもお届けします。

※旅行記の続きはこちら
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