広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

富士市大渕

2012-02-22 23:54:49 | 旅行記
2月23日は「223」=「ふじさん」ということで「富士山の日」。山梨県と静岡県が条例で定めている。
それを祝して、旅行記は前回に続いて、富士市内からの富士山の風景です。

富士見台から吉原中央駅へ戻って、次の場所へ。
出版物などで「富士山と茶畑」の写真を目にすることがある。その中には「富士市大渕(大淵)」という場所で撮影されたものが少なくないという。
人工物がアングルに入り込まなかったり(と言っても茶畑自体が人工物なわけですが…)、地域の人が環境維持に尽力している場所もあり、撮影地として有名・人気らしい。

富士市立大淵中学校ホームページの地域紹介によれば、「大淵地区は富士市の北部に位置する斜面地で、47平方キロメートルにわたる広大な面積で、全市の35%を占める。地区の南部は茶畑が多く、北部は森林地帯になっている。」という。
地図で見ても、かなり広い地域なのが分かる。富士山に近い北部では、雪が積もることがあるそうだ。
【23日追記】明治初期の大渕地区の開墾には、あの清水の次郎長が関わったそうだ。
地図サイトでは見つけられないが、今も「次郎長町」という地名があるようだ。場所は大渕地区の西端(富士宮市境)の北寄り、下記中野交差点から北西に3.5キロほどのあたり。路線図などには出ていないが、地図では「次郎長」というバス停もあることになっている。スクールバスか何かの停留所だろうか。【5月13日追記】「次郎長」バス停は2011年に廃止になったとのコメントをいただいた(この記事コメント欄参照)。


行ってみたいけれど、写真から判断するに、おそらく“山奥”で交通の便は悪いのかと思っていた。
しかし、地図と時刻表を見ると、地区を通るバスが1時間に1本程度は運行(秋田市の「下北手線」「太平線」あたりよりは多い)されていて、そう行きづらい場所でもなさそうなので、行ってみることにした。

大淵中学校の最寄りでもある「中野」というバス停周辺は、住宅が多く、店や公共施設がある地区の中心的地域のようだ。
富士急静岡バスの公式サイトの時刻表はちょっと分かりにくく、路線図はさらにちんぷんかんぷん。富士市のサイトにある「富士市バスなび(バスマップ)」である程度は分かった。
吉原中央駅からは「富士急大渕団地・曽比奈(そびな)行き」と「(中野経由)富士宮駅行き」の2系統が中野を通るらしい。
なお、吉原中央駅と富士宮駅を結ぶバスは中野経由ではなく「大月線」というのがメイン。中野経由は本数が少なく、運賃も高い。吉原中央駅の乗り場は両者で異なり、下記の通り時刻が近接しているものもあるので、利用時は注意。


富士見台から吉原中央駅に到着すると、すぐに大月線経由の富士宮行きが出ていった。その10分後、中野経由が発車。
どちらも大型バスで、大月線は何人も乗って行ったが、僕が乗った中野経由は乗客3人ほど。

西へ進んだ後、北へ進路を変え、富士見台団地線と同様に富士山へ向かって緩い坂を上り続ける。
石坂下→石坂→石坂上という順番のバス停があった。その名の通り、坂の下から上へ上る。
バスには研修中の新人運転士が乗っていた。指導役の運転士が運転しながら、要所要所で注意点を教えていた。
「この路線と富士見台(団地線)はずっと坂だから。発車する時は気を付けないと後ろに下がっちゃいますからね。特に日産(ディーゼルの車両)なんかは…」といった指導も。たしかにさっき乗った富士見台団地線とこの路線は坂道発進の連続で大変そうだ。(今のバスはアシスト機能が付いているそうだけど)
日産ディーゼルのバスは他社製と比べて扱い方にクセがあるという話を聞いたことがある。なるほど。

富士見台へ行くよりは、やや狭くて古い道のようだが、ほぼずっと家や店が立ち並ぶ。
東名高速富士インターチェンジの東側をくぐり、富士市総合運動公園の横辺りから、中野地区と大淵地区が入り組んだ一帯となる。開通間近の新東名高速を越えてさらに進む。
家がまばらになって郊外部っぽくなって、秋田市で言えば大学病院を過ぎて太平地区へ進む道みたいな雰囲気だろうか。田んぼはないけど。
途中で他のお客は降りて、最後は僕1人。
吉原中央駅から17分ほどの「中野」で下車。350円。富士見台団地までと30円しか違わず、意外に安い。

ここで中野・大渕周辺のバス路線網を紹介。下の図・写真は、左が富士市バスなび、右が吉原中央駅掲出の図からいずれも抜粋。
 分かるような分からないような…

県道どうしが交わる「中野」交差点は交通量が多く、交番・小学校・中学校・スーパーなどが集まる。「中野」バス停は交差点の西と北にあり、僕が乗った富士宮行きは交差点を左折して西側のバス停に停まった。
中野交差点から北を見る。左が大淵第一小学校と手前に中野町交番
ここは吉原中央駅から真北へ5キロ強、富士山頂上までは17キロ。標高は250メートル弱と、けっこう高い。でも、富士山が見えるほかは思っていたよりずっと“普通の町”っぽく、茶畑があるような雰囲気ではない。

とりあえず、収集した情報に基づいて、東(南東)へ歩いてみる。
道幅は狭くなり歩道がなくなり、そばをトラックが通る。「ハイキングコース」という立て札もあったけど、どこからどこへ行くのかよく分からない。だんだんのどかになって、茶畑も出現した。
逆光だけど、遠くに海が見えた
そば屋とか製茶工場を過ぎて、北側の小道へ入ると、
一面の茶畑の向こうに富士山!
贅沢を言えば富士山に少し雲がかかっているし、防霜ファンや電柱が写り込むとかして本当の撮影地ではなさそうだが、いい風景。
 
茶畑の中の道を、バス通りである西へ戻るイメージでしばし進む。低い岡があったりして、ずっと富士山が見えるわけではないが、すそ野まで見通せる場所もあって爽快。
 (再掲)
道は曲がりくねっていて思い通りに進めず、行ったり戻ったりした所もあったけれど、道の傾斜の具合と富士山の位置で、方向感覚を失わずにすんだ。
帰ってきてから改めて調べて分かったが、もう少し進んでいればいい風景が見られた場所もあったようで、残念。
やがてバス通りへ復帰。
中野交差点から北へ1.3キロほど、標高320メートルの「八王子町」バス停。
茶畑沿いのバス停。富士山にかかっていた雲は流れた
200メートルほど先が「曽比奈」バス停だが、坂がきつそう(10メートル高くなる)なので行くのはやめた。
曽比奈よりさらに北も大渕地区。住宅はまばらになるようで、現在は路線バスもない(代替で予約式タクシーがある)。どんな風景なのだろう。

結局1時間ほど歩いた。帰りのバスまでは30分近くあるので、中野交差点に向かってバス路線沿いに坂を下ることにした。
八王子町の次は、
「曽比奈西」。なんで「西」なのかよく分からない命名
この道は「富士急大渕団地・曽比奈行き」の折り返し、吉原中央駅行きのバスが通るはず。
路線図では中野・穴原入口・大渕団地・曽比奈とぐるりと一周する線が引かれているし、バス会社サイトの時刻表では「吉原中央駅→中野→大渕団地→曽比奈→中野→吉原中央駅」と1往復が1つのダイヤとして掲載されている。おそらく、これも富士見台団地線と同じ、循環路線だと推測できる。(ただしサイトの時刻表では富士見台団地線は往復が分かれて掲載)
とすれば、この道は、吉原中央駅へ戻る時しか通らないと予想していたのだが、バス停は両側に立っている??
曽比奈西の時刻表を見る。
上下両方分が掲載されているようだ
「吉原中央駅」行きはあって当然だが、本数は少ないものの「曽比奈」行きもある。ということは、曽比奈行きでも環状運行する便としない便があるということ??
また、路線図やホームページの時刻表では存在が分からない、中野行き、富士駅行きの系統やさらには富士宮行きまで通るのか??
まったく、ちんぷんかんぷん。
秋田中央交通もそうだが、富士急静岡バスもまた違った意味で分かりづらい。
バス路線はよそ者には分かりづらいものだが、各社とももっと工夫してほしい。

次が、
「曽比奈下」。これは分かりやすいネーミング
親会社の「富士急行」も併記されている。昔は路線があったのだろうか。
曽比奈西は標高300メートル、曽比奈下は290メートルと徐々に低くなっていく。

中野交差点に戻った。
学校やスーパーがあるが、通学や買い物に歩きや自転車で来るのは大変そうだ。
さっきと逆に南を見る
案内標識の「東名」の横が空いている。
「新東名」が隠れていた

バス時間までまだあるので、交差点を越えてもう1つ先の「中野南口」バス停まで進んだ。
このバス停、どうして「中野南口」なんだろう。中野地区の中ではむしろ北(北西)に位置するのに。「中野」バス停よりは南という意味なんだろうか?(「地名+方位+“口”」というネーミングは弘南バスが好むけど、あちらはちゃんと方位と合っている)
ここは標高227メートル。八王子町バス停から距離にして1.6キロ、標高差にして100メートル弱を下ってきたことになる。
歩いた距離はそれほどでもないが、やはり上り下りの連続は堪えた。秋田市にいてこんなアップダウンは体験できない。足のヘンなところがヘンなしびれを感じた。

中野南口バス停前には新しそうな「富士信用金庫大渕中野支店」があり、ベンチが置かれていた。ありがたく座らせてもらって、バスが来るまで10分ほどジュースを飲みながら富士山を眺めて休憩。
向かい側を、自転車を押した少年が、しんどそうな顔をしながら坂を上っていった。どこから来てどこへ行くのか分からないが、なぜ、こんな坂の多い所へ自転車を持ってきたのか?
 中野南口の時刻表。ここは全便吉原中央駅行き
来たバスは、珍しく中型バスで行き先表示がLEDでない幕式だった。(たしか三菱製ワンステップの寸詰まりサイズ)
今度は既に数人の客が乗っていて、その先からも乗ってきたので、そこそこの乗車率。
【3月3日追記】中野南口の整理券番号は「13」。運賃表示器は「7」番以降が表示されていた。

吉原中央駅で下車。運賃は350円だが、Suicaからは250円しか引かれなかった。富士見台の帰りと同じく、謎の値引き。
この時点で、乗車した正規料金はトータル1640円分で、Suicaから引かれた額は1380円。この後、富士駅までバスで戻ったが、そこは正規運賃300円が引かれた。

吉原中央駅には、これから大渕・曽比奈へ向かうバスが待機していた。
今度は大型バス
正面の表示は「大渕団地 曽比奈」。側面を拝見すると、
「大渕曽比奈循環」ですか
どうも路線名は「大渕曽比奈循環」というらしい。だったら、公式サイトなどにもそう書いてほしい。
で、通過順としては大渕団地→曽比奈か。う~ん、分からん。

バス路線網はイマイチ分からなかったが、Suicaで気軽に利用できたのはよかった。
機会があれば、運行経路の謎の解明と、また違った茶畑と富士山を見てみたい。

今回は富士市からの雄大な富士山を堪能できて満足。次回は、カンキツ類を紹介します。
コメント (8)
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