広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

ピースじゃないボトル?

2013-07-08 23:51:49 | その他もろもろ
7月7日は「カルピスの日」だったらしい。
1919(大正8)年のこの日に、カルピスが初めて発売されたことにちなむ。
企業としてのカルピス株式会社は、味の素グループ(2007年から)だと思っていたら、昨年5月にアサヒ傘下に変わっていた。
記念日に水を差すようで申し訳ないのですが、カルピスの容器の話題。

その前に、カルピスの思い出。
薄めて飲む原液のカルピスは、僕が子どもの昭和末期には、まだ瓶入りで売られていて、我が家ではたまに飲む程度だった。(缶入りのカルピスソーダは当時からあり、それもたまに)
中学生だった1991年にカルピスウォーターが発売(当時は缶入り)され、大ヒットした(カルピスウォーター、はちみつレモン、ファイブミニが平成初期の“3大ヒット飲料”かもしれない)。
当時はカルピス=原液を薄めて飲むだったので、「薄めた状態で売っている、そのまま飲めるカルピス」というコンセプトはとても斬新に感じられた。

そんなわけで、原液のカルピスの存在は薄くなっていたが、製造は続けられ、1995年には容器が瓶からネジ式のフタ付き紙パックに変わっていた。(ギフト用を除く)
紙パックのカルピス
数年前、久々に原液のカルピスを使ってみると、割安だし、好みの量を好みの濃さで作ることができて便利。紙パックに変わったので、瓶に比べて持ち運びや保管も楽になった。
薄めて飲むカルピスも悪くないと思っていた矢先の昨年4月9日から、原液のカルピスに変化があった。

紙パックから「ピースボトル」という新たな容器に変わったのだ。
それと同時に、容量が500mlから470mlに減らされた(価格は据え置き)。「砂糖・生乳の価格高騰が続いていることによるもの」としていて、これが容器変更の理由の1つではあるだろう。
メーカーが言うには、ピースボトルには「品質保持力」「使いやすさ」「環境適性」の3つの機能とデザインの美しさなど、利点が多いそうだ。

「品質保持力」は光や酸素を通しにくい材質によるもの、「使いやすさ」は握りやすい形状や注ぎ口の改良によるもの。
そして「環境適性」は、容器本体もキャップもラベルも同じ材質なので、そのまま「プラ容器」としてリサイクルに出せるからだという。
ピースボトルと紙パック
この話を知って、まず「環境適性」は、秋田市民(など一部自治体住民)には無縁な話だと感じた。
ほとんどのプラスチックを溶融炉で燃やして処理している秋田市のような自治体では、ピースボトルは可燃ごみになってしまうから。
秋田市では、従来の紙パック容器も、プラスチックでコーティングされているため資源ごみではなく可燃ごみ扱いになっていたので、分別・処理方法は変わらないことになる。

さらに、秋田市では昨年7月から可燃ごみが有料化された。ゴミ袋の容量に対して課金される。
カルピスの容器を捨てる場合、以前の紙パックなら、かなり小さく折りたたんで捨てることができたので、有料化されてもほとんど問題にならなかったはず。一方、ピースボトルは、人の力ではいくらがんばってもたたむことも潰すこともできない、頑丈なもの。中身がすっからかんの容器を、そのまま有料袋に入れなければならず、もったいない。
秋田市民にとっては、ピースボトル化によって空き容器処分に費用が多くかかってしまうことになる。
※そもそも、薄めて飲むカルピスは濃縮されている分、容器や輸送に係る資源の消費は他の飲料よりも少なく、その分「エコ」だととらえることもできる。空き容器をリサイクルしても、リサイクルにそれ以上に燃料を浪費するかもしれない。
したがって、「空き容器をリサイクルすること」だけにとらわれる必要はないようにも、個人的には考える。


ほかにも、ピースボトルには欠点があった。これは家庭によって異なるのですが。
開封したカルピス原液の容器は、冷蔵庫で保存する。そこで発生する問題。
紙パック当時、我が家では、ドアポケットの狭い仕切りの所に保管していた。ちょうどよく、ぴったりと収まっていた。
ジャストフィット!
ところがピースボトルでは、今までの場所には収まらないのだ。それも、ほんのわずかな違いで。
分かりづらいですが、底まで収まらずに引っかかる
上の写真で、ポカリスエットのペットボトルが入っているように、500mlのペットボトルが収まる場所に、ピースボトルはごくわずかな差で収まらない。
容器の底面積=冷蔵庫のスペースの専有面積が、ピースボトル化に伴ってわずかながら大きくなってしまったのだ。

かといって、1リットルの牛乳パックを入れる場所ではスカスカで中途半端だし、第一、我が家では牛乳や麦茶など先客が多くて、満杯。
横に寝かせて置くには、上部に付いたはね上げ式のキャップでは漏れそうで危険。(横置きは紙パックでも推奨されたことではないが、注ぎ口を上にして寝かせれば、こぼれる可能性はとても低かったと考えられる)
我が家の冷蔵庫ではカルピスを置く場所がなくなった。

ほかにも、容器の背も紙パックよりピースボトルのほうが高く、容器の“安定感“に不安を感じたり、他のものの出し入れ時に引っかかる恐れがある。
ピースボトルは内容物の品質保持能力は向上したというし、子どもなど手元がぎこちない人には安心して扱えるようにはなったかもしれない。でも、単純な「保管のしやすさ」はピースボトル化で低下したと言わなければならない。


そんなわけで処分方法と収納場所の問題により、我が家でカルピスを買うことは、再びなくなってしまった。
必ずしも「ピース」な「ボトル」ではない、ピースボトルなのです。
コメント (2)
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