8日付秋田魁新報社会面に「新県立美術館企画展準備中 「秋田の行事」鑑賞できず/首都圏からの観光が苦情 休止の告知、不十分」という記事。
※「新県立美術館」というのは俗称。「移転して新しくなった秋田県立美術館」という意味です。以下、単に「県立美術館」と表記します。
9月28日にオープンした県立美術館の目玉の常設展示「秋田の行事」。JR東日本の吉永小百合のCMでも取り上げられ、県外から鑑賞に来る人も少なくない。県立美術館は基本的に無休と告知されている。
ところが、12月7日から始まる企画展「レオナール・フジタとパリ」の準備のため、5日と6日は秋田の行事の観覧を休止したという。(館内の他の展示は公開)このことは、10月からホームページなどで告知し、JR東日本にもテレビCM休止や告知を協力してもらったそうだが、それ以前の情報を見るなどして休止を知らずに訪れた観光客が複数いたとのこと。5日と6日の入館者数は計855人。
県立美術館では「今後、効果的な周知方法を検討していきたい」としている。
といった内容の新聞記事。
JR東日本大人の休日倶楽部ホームページではたしかに告知されている
開館からわずか2か月、かつJR東日本のCM放送から間もない時に展示替え・公開休止していたとは僕も知らなかった。
現在は「秋田デスティネーションキャンペーン(10月~12月)」の真っ最中。さらに報道では触れていないが、JR東日本の年齢限定の会員向け企画乗車券「大人の休日倶楽部パス」の利用期間中(11月26日~12月8日)でもある。単純に考えても、その絶好の時期に2日間も目玉展示を見せないとは、いただけない。
以前から何度か書いているように、「大人の休日倶楽部パス」期間中は、秋田市中心部を歩く年齢の高い観光客の数が、明らかに増えるのを実感できる。当然、CMで使われるくらいだから県立美術館でもこのことは把握していて、展示替えなどは日程を調整するものだと思っていたのに…
年中無休で公開する必要はなく、週に1日位は休んでもいいと思う。定期的なものなら。
だけど臨時休業なら話は別。よりによって上記の通りの書き入れ時に展示替えをぶつけることはないだろう。あまりに商売っ気がなく、観光客を迎える気持ちがない。7日からの「レオナール・フジタとパリ」は、開館直後の今やる必要があったのだろうか(藤田嗣治渡仏100周年記念ということだそうだけど)。
「効果的な周知方法を検討していきたい」ではなく、それ以前に「休館等の日程を充分に吟味して決定する」ことが先決だ。
県や市町村、観光関連の団体と企業には、もっと広い視野で情報収集し、それを活かしてPRや営業をやっていただかないと、ほかの県に負けてしまう。
いくら首都圏でキャンペーンを行っても、県民一人ひとりがおもてなしの心を持っても、肝心の目的地がお休みしていては、元も子もない。
なーんて県や県立美術館だけを批判しようとして、魁をよく読んでみると愕然とした。
この記事が出ていたのは、8日付魁の33面。
紙面を1枚戻して、第3社会面的な31面には、「新県立美術館「レオナール・フジタとパリ」展開幕/多彩な作品群 初日から盛況」という、カラー写真と「創刊140さきがけ2014」ロゴ入りの記事。(面積としては33面の記事と同じくらい)
これの準備のために2日間が犠牲になったわけだが、これは「新県立美術館開館と秋田魁新報創刊140周年の記念事業。」だって!
県立美術館ホームページより。小さく「秋田魁新報うんぬん」とある
つまり、ある意味、魁の主催イベントのせいで問題が発生し、それを魁自身が批判的に報道したってことになりませんか?
主催者は実行委員会が組織されているが、それについて31面では「秋田魁新報、県教育委員会、公益財団法人平野政吉美術財団でつくる実行委員会の主催。」と丁寧に列挙。33面では「(実行委員会主催)」としか書いておらず、33面には「魁」の「さ」の字も出てこない。
なお、それぞれの記事を書いた記者は別人。
33面では美術館側の展示替えの段取りの悪さと周知不足が原因と言いたそうだが、そもそもの原因(=12月7日開始の企画展を主催するということ)の一端は魁にあると言ってもいいのではないだろうか。例えば、主催者である魁が間に入って、うまくなんとかすることもできたのではないか。(県・県教委・美術館側の日程設定が大間違いだったとは思うけど)
さんざん宣伝しておきながら、1面おいた場所で、それが原因で起きたことを他人ごとのように批判するのでは、なんともはや…
魁のツイッターでは、間に7つの投稿を挟んで、両方掲載している
【9日追記】考えてみれば、こういう事態になってしまった以上、隠さないで報道したことは悪いことではない。だけど、魁主催であることも隠さずに記載するとか、主催者としての魁側のコメントも載せるとか、せめて開幕の告知的記事と並べて掲載するとかしてほしかった。読者としては。
それにしても、秋田までわざわざお出かけいただいたのに、「秋田の行事」を見られなかった皆さんにはお気の毒なこと。これに凝りずに、また秋田においでいただけるといいのですが…
【2014年1月12日追記】この後、この企画展が終わる2014年2月上旬の3日間とメンテナンスために3月下旬の5日間に秋田の行事を見られなくなることが、1月12日の段階で美術館の公式ページトップに出ている。秋田魁新報でも1月10日の社会面で、枠で囲って記事にしているが、相変わらず企画展は「(実行委員会主催)」と自社主催であることをぼやかしている。
※「新県立美術館」というのは俗称。「移転して新しくなった秋田県立美術館」という意味です。以下、単に「県立美術館」と表記します。
9月28日にオープンした県立美術館の目玉の常設展示「秋田の行事」。JR東日本の吉永小百合のCMでも取り上げられ、県外から鑑賞に来る人も少なくない。県立美術館は基本的に無休と告知されている。
ところが、12月7日から始まる企画展「レオナール・フジタとパリ」の準備のため、5日と6日は秋田の行事の観覧を休止したという。(館内の他の展示は公開)このことは、10月からホームページなどで告知し、JR東日本にもテレビCM休止や告知を協力してもらったそうだが、それ以前の情報を見るなどして休止を知らずに訪れた観光客が複数いたとのこと。5日と6日の入館者数は計855人。
県立美術館では「今後、効果的な周知方法を検討していきたい」としている。
といった内容の新聞記事。
JR東日本大人の休日倶楽部ホームページではたしかに告知されている
開館からわずか2か月、かつJR東日本のCM放送から間もない時に展示替え・公開休止していたとは僕も知らなかった。
現在は「秋田デスティネーションキャンペーン(10月~12月)」の真っ最中。さらに報道では触れていないが、JR東日本の年齢限定の会員向け企画乗車券「大人の休日倶楽部パス」の利用期間中(11月26日~12月8日)でもある。単純に考えても、その絶好の時期に2日間も目玉展示を見せないとは、いただけない。
以前から何度か書いているように、「大人の休日倶楽部パス」期間中は、秋田市中心部を歩く年齢の高い観光客の数が、明らかに増えるのを実感できる。当然、CMで使われるくらいだから県立美術館でもこのことは把握していて、展示替えなどは日程を調整するものだと思っていたのに…
年中無休で公開する必要はなく、週に1日位は休んでもいいと思う。定期的なものなら。
だけど臨時休業なら話は別。よりによって上記の通りの書き入れ時に展示替えをぶつけることはないだろう。あまりに商売っ気がなく、観光客を迎える気持ちがない。7日からの「レオナール・フジタとパリ」は、開館直後の今やる必要があったのだろうか(藤田嗣治渡仏100周年記念ということだそうだけど)。
「効果的な周知方法を検討していきたい」ではなく、それ以前に「休館等の日程を充分に吟味して決定する」ことが先決だ。
県や市町村、観光関連の団体と企業には、もっと広い視野で情報収集し、それを活かしてPRや営業をやっていただかないと、ほかの県に負けてしまう。
いくら首都圏でキャンペーンを行っても、県民一人ひとりがおもてなしの心を持っても、肝心の目的地がお休みしていては、元も子もない。
なーんて県や県立美術館だけを批判しようとして、魁をよく読んでみると愕然とした。
この記事が出ていたのは、8日付魁の33面。
紙面を1枚戻して、第3社会面的な31面には、「新県立美術館「レオナール・フジタとパリ」展開幕/多彩な作品群 初日から盛況」という、カラー写真と「創刊140さきがけ2014」ロゴ入りの記事。(面積としては33面の記事と同じくらい)
これの準備のために2日間が犠牲になったわけだが、これは「新県立美術館開館と秋田魁新報創刊140周年の記念事業。」だって!
県立美術館ホームページより。小さく「秋田魁新報うんぬん」とある
つまり、ある意味、魁の主催イベントのせいで問題が発生し、それを魁自身が批判的に報道したってことになりませんか?
主催者は実行委員会が組織されているが、それについて31面では「秋田魁新報、県教育委員会、公益財団法人平野政吉美術財団でつくる実行委員会の主催。」と丁寧に列挙。33面では「(実行委員会主催)」としか書いておらず、33面には「魁」の「さ」の字も出てこない。
なお、それぞれの記事を書いた記者は別人。
33面では美術館側の展示替えの段取りの悪さと周知不足が原因と言いたそうだが、そもそもの原因(=12月7日開始の企画展を主催するということ)の一端は魁にあると言ってもいいのではないだろうか。例えば、主催者である魁が間に入って、うまくなんとかすることもできたのではないか。(県・県教委・美術館側の日程設定が大間違いだったとは思うけど)
さんざん宣伝しておきながら、1面おいた場所で、それが原因で起きたことを他人ごとのように批判するのでは、なんともはや…
魁のツイッターでは、間に7つの投稿を挟んで、両方掲載している
【9日追記】考えてみれば、こういう事態になってしまった以上、隠さないで報道したことは悪いことではない。だけど、魁主催であることも隠さずに記載するとか、主催者としての魁側のコメントも載せるとか、せめて開幕の告知的記事と並べて掲載するとかしてほしかった。読者としては。
それにしても、秋田までわざわざお出かけいただいたのに、「秋田の行事」を見られなかった皆さんにはお気の毒なこと。これに凝りずに、また秋田においでいただけるといいのですが…
【2014年1月12日追記】この後、この企画展が終わる2014年2月上旬の3日間とメンテナンスために3月下旬の5日間に秋田の行事を見られなくなることが、1月12日の段階で美術館の公式ページトップに出ている。秋田魁新報でも1月10日の社会面で、枠で囲って記事にしているが、相変わらず企画展は「(実行委員会主催)」と自社主催であることをぼやかしている。