テレビ朝日で2月17日に放送されたアニメ「クレヨンしんちゃん」の2話目「寒くても外で遊ぶゾ」。
しんのすけと父ひろしが寒い日にコタツに入っていると、掃除機をかけようとする母みさえによって、渋々外へ出かけさせられることから始まるストーリー。
みさえさんは2人を外出させようと「秋田のおじいちゃんが送ってくれた凧(たこ)を揚げて遊んだら」と、凧を渡す。
その凧は、縦長の長方形で、舌を出して頭に花を乗せた人の顔が大きく描かれたもの。隅には「女べらぼう」と書かれている。アニメ全体のタッチとはだいぶ違う雰囲気。
作中で凧についての説明は特になかったが、これはいわゆる「べらぼう凧」、正式には「能代(のしろ)凧」という、秋田県の伝統的な凧である。
アニメの凧は、実際の能代凧にかなり忠実に描かれていた。(ちなみに図柄が少し違う「男べらぼう」もある)
秋田のおじいちゃん、すなわちひろしの父である銀の介は、内陸の大曲周辺に住んでいる設定(こまちで帰省した話もあった)。
一方、能代凧はその名の通り、沿岸北部の能代市のもので、距離的には近くはない。
ストーリー上、べらぼう凧である必要はなく、奴凧とかどんな凧でも良さそうなのに、絵柄もリアルに秋田のものを登場させてくれたのは気が利いていて、ちょっとうれしい。
べらぼう凧、能代凧の知名度は高くはないだろう。恥ずかしながら僕も、「べらぼう凧」は知っていたけれど、「能代凧」や男と女があるのは、今回調べるまで知らなかった。アニメの視聴者も「変わった絵だな」程度の認識の人が多かったことだろう。知る人だけが楽しめる、製作側の遊び心による“仕掛け”といったところか。
作中のべらぼう凧は、ろくに揚げないうちに、カラスにつつかれて、川に落ちて骨だけになって捨てられてしまうのだけどね。
そう言えば、我が家にもべらぼう凧があった。
頭に花があるから、女べらぼう
ハガキ大のミニ凧。これは、アニメに登場したものも含めた一般的なべらぼう凧よりも、顔が小さめ(紙からはみ出すくらいなのが普通)で、目の周りの化粧が薄く、背景が白い(女べらぼうでは紫色が多い)のが特徴的。
1985年前後に角館で買った。絵をかいたというおじいさんが自ら売っていて、「おれも先は長くないから」とおっしゃっていて、子ども心に切なくなったのを記憶している。左上「魔除/ベラボー凧」とある下に、お名前らしきものと「八十七才」と書かれている。
べらぼう凧が能代のものだと知ると、どうして角館で売っていたのか分からなくなる。
右上には「角館凧絵」という印もあり、たしかに角館のもの。
検索すると「角館凧絵」のテレホンカードが存在したようだが、最近の情報はない。ほそぼそと存在して消えてしまった芸術? 工芸? だったのだろうか。角館は大曲の隣だから、今もあれば、アニメで大曲の銀の介さんが送ったことに、より説得力・リアリティがあったのに。
【20日追記】「まなぐ凧」という名前も思い出した。大曲から近い湯沢市の「湯沢凧」の一種だそうで、酒の商品名にもなっている。図柄はべらぼう凧と似てはいるが違い、アニメのはまなぐ凧ではない。
※2017年11月にも秋田の話が放送された。
※「寒くても外で遊ぶゾ」は2023年2月4日放送の1話目でも、リメイク版(アフレコし直し)が放送された。
しんのすけと父ひろしが寒い日にコタツに入っていると、掃除機をかけようとする母みさえによって、渋々外へ出かけさせられることから始まるストーリー。
みさえさんは2人を外出させようと「秋田のおじいちゃんが送ってくれた凧(たこ)を揚げて遊んだら」と、凧を渡す。
その凧は、縦長の長方形で、舌を出して頭に花を乗せた人の顔が大きく描かれたもの。隅には「女べらぼう」と書かれている。アニメ全体のタッチとはだいぶ違う雰囲気。
作中で凧についての説明は特になかったが、これはいわゆる「べらぼう凧」、正式には「能代(のしろ)凧」という、秋田県の伝統的な凧である。
アニメの凧は、実際の能代凧にかなり忠実に描かれていた。(ちなみに図柄が少し違う「男べらぼう」もある)
秋田のおじいちゃん、すなわちひろしの父である銀の介は、内陸の大曲周辺に住んでいる設定(こまちで帰省した話もあった)。
一方、能代凧はその名の通り、沿岸北部の能代市のもので、距離的には近くはない。
ストーリー上、べらぼう凧である必要はなく、奴凧とかどんな凧でも良さそうなのに、絵柄もリアルに秋田のものを登場させてくれたのは気が利いていて、ちょっとうれしい。
べらぼう凧、能代凧の知名度は高くはないだろう。恥ずかしながら僕も、「べらぼう凧」は知っていたけれど、「能代凧」や男と女があるのは、今回調べるまで知らなかった。アニメの視聴者も「変わった絵だな」程度の認識の人が多かったことだろう。知る人だけが楽しめる、製作側の遊び心による“仕掛け”といったところか。
作中のべらぼう凧は、ろくに揚げないうちに、カラスにつつかれて、川に落ちて骨だけになって捨てられてしまうのだけどね。
そう言えば、我が家にもべらぼう凧があった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/67/f763074cea1cb8f3d894bb28062e1087.jpg)
ハガキ大のミニ凧。これは、アニメに登場したものも含めた一般的なべらぼう凧よりも、顔が小さめ(紙からはみ出すくらいなのが普通)で、目の周りの化粧が薄く、背景が白い(女べらぼうでは紫色が多い)のが特徴的。
1985年前後に角館で買った。絵をかいたというおじいさんが自ら売っていて、「おれも先は長くないから」とおっしゃっていて、子ども心に切なくなったのを記憶している。左上「魔除/ベラボー凧」とある下に、お名前らしきものと「八十七才」と書かれている。
べらぼう凧が能代のものだと知ると、どうして角館で売っていたのか分からなくなる。
右上には「角館凧絵」という印もあり、たしかに角館のもの。
検索すると「角館凧絵」のテレホンカードが存在したようだが、最近の情報はない。ほそぼそと存在して消えてしまった芸術? 工芸? だったのだろうか。角館は大曲の隣だから、今もあれば、アニメで大曲の銀の介さんが送ったことに、より説得力・リアリティがあったのに。
【20日追記】「まなぐ凧」という名前も思い出した。大曲から近い湯沢市の「湯沢凧」の一種だそうで、酒の商品名にもなっている。図柄はべらぼう凧と似てはいるが違い、アニメのはまなぐ凧ではない。
※2017年11月にも秋田の話が放送された。
※「寒くても外で遊ぶゾ」は2023年2月4日放送の1話目でも、リメイク版(アフレコし直し)が放送された。