マンホールの蓋(フタ)について。
以前もちょっと取り上げたけれど、最近は設置管理者(水道局など)がマンホールカードを作って配布するなど、愛好家を意識したサービスをしてくれている。
秋田市上下水道局では、先月、古くなって撤去した蓋を、一般向けに初めて販売(1枚3000円)したところ、10枚限定のところに県内外から22名の希望者があった(今後も発売予定があるそうで、申し込んだ全員に行き渡るらしい)。秋田市民としては、秋田市の収入に貢献してくれる購入者に感謝しないとね。
夏には、土崎地区用の新デザインの蓋も登場している。
個人的には、「ここにこういうマンホールの蓋があります」とお膳立てされたものを見るのは、あんまりおもしろくない。こういう趣味は、探して見つけることが楽しいのに。
そんな意味では、とても楽しい、でも設置した側としては知られたくないかもしれない、マンホールの蓋がある。秋田市内2か所を紹介。
まずは1年少し前の発見・撮影。
秋田市内某所
歩道がなく、わりと車両交通量がある道路。
車線の真ん中に、小さいマンホールがある。
観察や写真撮影は車に注意
このマンホールの蓋には、絵が描かれているが、ほかでは見たことがないような細かい図柄。車に注意して、上から見ると…
「きさかた 公共下水道」
秋田県象潟町の下水道のマンホール蓋。
九十九島と言われる、松が茂る小高い丘と海に沈む夕日がデザインされている。象潟らしい光景だ。
って、ここは秋田市ですよ! 写真では説得力がないけれど。
なぜか、象潟町のマンホールが秋田市に設置されているのだ。
このように、本来あるべきではない、よそ土地の蓋が設置される事例はままあるようで、愛好家の間では「越境蓋」として、まさに探して見つけることを楽しんでいるようだ。この楽しみは共感できる。
越境した原因としては、蓋の製造・流通の段階で、サイズが同じ他の自治体のものがまぎれこんだのか。
製造段階で混入を見落とすのはまだ分かる。でも、施工業者が、仮にいくらやっつけ仕事だとしても違うことに気づかないもんだろうか。さらに、おそらく施工後の工事写真を発注者(役所)へ提出すると思うが、それを見た発注者も、以下同文。
となるともう1つ考えられるのは、流通~施工のどこかで本来の蓋が不足するなど用意できず、意図的にあり合せの他の蓋で間に合わせたのかもしれない。分かっていながら、あえて。
いずれにせよ、設置者が越境蓋の存在を認識したとしても、蓋としての機能は変わらないし、繁華街など不特定多数の目に触れる場所でもない限りは騒ぎにはならないだろうし、見て見ぬふりということになるのだろう。
ただ、まれに自治体名を削ってしまうケースもあるそうだ。
なお、最近は、自治体どうしが交流のために、イベントとして公式に蓋を交換することもあるようだが、それは例外。
象潟町は2005年に合併によりにかほ市になった。
この図柄の蓋は、まだ使われているだろうけれど、新設はされず減っていく一方のはず。貴重な蓋が、少し離れた秋田市にひっそりと残っている。
もう1つの越境蓋は、秋田市内の別の地区で、最近発見。
これは象潟のより大きい(標準的な)蓋であり、歩行者の目に入りやすい場所だから、近隣の人たちはご存知かもしれない。
手前は秋田市章入り仕切弁。その向こうにあるマンホール
花がぐるり
一瞬、秋田市水道局時代に設置していた(下水道部統合前だから上水道用なんでしょう)、サツキの花柄かと思ったが、それより大胆なデザイン。やはり初めて見る柄。中央に文字が見えている。
「みさと おすい」
ははーん。「みさと」だから秋田県美郷町か。
と思いきや、美郷町にはこのようなマンホール蓋は存在しない!
ご近所で、この蓋の存在を知っている方がいたとしても、秋田県美郷町のものだと思いこんでいるかもしれない。
全国には「みさと」と読む市町村は複数あるので調べてみると、埼玉県三郷市のものだった。
三郷市の花であるサツキをデザインしている。
秋田市の花もサツキだから、絵柄としては筋が通っている。【4日補足】三郷市と秋田市の間で、姉妹都市提携とかその他何らかの協定といった、特別な結びつきはないはず。
秋田市内でもこのほかにも、それにどこの町でも、“よその蓋”がひっそりと存在していることだろう。
気になるのは、制作費用。文字だけの基本の蓋なら、自治体を取り違えてしまっても値段は変わらないだろう。
しかし、図柄入りの蓋は、デザインや特別製造のための費用が加算されるはず。本来は象潟町なり三郷市なりに限定して設置するためのものが、秋田市設置分も余計に製造してしまったことになるわけで、その加算額は、もしかしたら象潟町や三郷市が負担してしまっているのだろうか。【4日追記】著作権の点でもどうなんだろう。
あるいは、特注であっても何百枚も製造すれば、追加コストは無視できる程度なのだろうか。
※マンホール蓋の続き(上の上水道の蓋のリンクと同じ記事)
※別の越境蓋を発見。
以前もちょっと取り上げたけれど、最近は設置管理者(水道局など)がマンホールカードを作って配布するなど、愛好家を意識したサービスをしてくれている。
秋田市上下水道局では、先月、古くなって撤去した蓋を、一般向けに初めて販売(1枚3000円)したところ、10枚限定のところに県内外から22名の希望者があった(今後も発売予定があるそうで、申し込んだ全員に行き渡るらしい)。秋田市民としては、秋田市の収入に貢献してくれる購入者に感謝しないとね。
夏には、土崎地区用の新デザインの蓋も登場している。
個人的には、「ここにこういうマンホールの蓋があります」とお膳立てされたものを見るのは、あんまりおもしろくない。こういう趣味は、探して見つけることが楽しいのに。
そんな意味では、とても楽しい、でも設置した側としては知られたくないかもしれない、マンホールの蓋がある。秋田市内2か所を紹介。
まずは1年少し前の発見・撮影。
秋田市内某所
歩道がなく、わりと車両交通量がある道路。
車線の真ん中に、小さいマンホールがある。
観察や写真撮影は車に注意
このマンホールの蓋には、絵が描かれているが、ほかでは見たことがないような細かい図柄。車に注意して、上から見ると…
「きさかた 公共下水道」
秋田県象潟町の下水道のマンホール蓋。
九十九島と言われる、松が茂る小高い丘と海に沈む夕日がデザインされている。象潟らしい光景だ。
って、ここは秋田市ですよ! 写真では説得力がないけれど。
なぜか、象潟町のマンホールが秋田市に設置されているのだ。
このように、本来あるべきではない、よそ土地の蓋が設置される事例はままあるようで、愛好家の間では「越境蓋」として、まさに探して見つけることを楽しんでいるようだ。この楽しみは共感できる。
越境した原因としては、蓋の製造・流通の段階で、サイズが同じ他の自治体のものがまぎれこんだのか。
製造段階で混入を見落とすのはまだ分かる。でも、施工業者が、仮にいくらやっつけ仕事だとしても違うことに気づかないもんだろうか。さらに、おそらく施工後の工事写真を発注者(役所)へ提出すると思うが、それを見た発注者も、以下同文。
となるともう1つ考えられるのは、流通~施工のどこかで本来の蓋が不足するなど用意できず、意図的にあり合せの他の蓋で間に合わせたのかもしれない。分かっていながら、あえて。
いずれにせよ、設置者が越境蓋の存在を認識したとしても、蓋としての機能は変わらないし、繁華街など不特定多数の目に触れる場所でもない限りは騒ぎにはならないだろうし、見て見ぬふりということになるのだろう。
ただ、まれに自治体名を削ってしまうケースもあるそうだ。
なお、最近は、自治体どうしが交流のために、イベントとして公式に蓋を交換することもあるようだが、それは例外。
象潟町は2005年に合併によりにかほ市になった。
この図柄の蓋は、まだ使われているだろうけれど、新設はされず減っていく一方のはず。貴重な蓋が、少し離れた秋田市にひっそりと残っている。
もう1つの越境蓋は、秋田市内の別の地区で、最近発見。
これは象潟のより大きい(標準的な)蓋であり、歩行者の目に入りやすい場所だから、近隣の人たちはご存知かもしれない。
手前は秋田市章入り仕切弁。その向こうにあるマンホール
花がぐるり
一瞬、秋田市水道局時代に設置していた(下水道部統合前だから上水道用なんでしょう)、サツキの花柄かと思ったが、それより大胆なデザイン。やはり初めて見る柄。中央に文字が見えている。
「みさと おすい」
ははーん。「みさと」だから秋田県美郷町か。
と思いきや、美郷町にはこのようなマンホール蓋は存在しない!
ご近所で、この蓋の存在を知っている方がいたとしても、秋田県美郷町のものだと思いこんでいるかもしれない。
全国には「みさと」と読む市町村は複数あるので調べてみると、埼玉県三郷市のものだった。
三郷市の花であるサツキをデザインしている。
秋田市の花もサツキだから、絵柄としては筋が通っている。【4日補足】三郷市と秋田市の間で、姉妹都市提携とかその他何らかの協定といった、特別な結びつきはないはず。
秋田市内でもこのほかにも、それにどこの町でも、“よその蓋”がひっそりと存在していることだろう。
気になるのは、制作費用。文字だけの基本の蓋なら、自治体を取り違えてしまっても値段は変わらないだろう。
しかし、図柄入りの蓋は、デザインや特別製造のための費用が加算されるはず。本来は象潟町なり三郷市なりに限定して設置するためのものが、秋田市設置分も余計に製造してしまったことになるわけで、その加算額は、もしかしたら象潟町や三郷市が負担してしまっているのだろうか。【4日追記】著作権の点でもどうなんだろう。
あるいは、特注であっても何百枚も製造すれば、追加コストは無視できる程度なのだろうか。
※マンホール蓋の続き(上の上水道の蓋のリンクと同じ記事)
※別の越境蓋を発見。