秋田市中心部、旭川沿いの土手長町通り(県道28号)と中央通り西端(秋田市道)が交わる丁字路「北都銀行本店前」交差点に設置された、秋田県管理の横断歩道橋が撤去されている。
そのクライマックスである、歩道橋の橋桁部分の撤去が、今週、2晩かけて無事完了した。
現在は、残った脚(柱)の撤去や、各種配線などの工事が続いており、現地の看板では12月14日まで続くことになっている。
南西側から
↓
撤去後。脚は左側は撤去されたが、右側と向かい側(バスの前)は残っている
橋桁撤去は、それなりに関心があるようで、多くのマスコミがある程度報道し、撤去作業の見物人もいたとのこと。
報道では、街の変化、車と歩行者の関係などとからめて、過去の写真や映像も見せてくれた新聞社・民放テレビ局もあった一方、NHK秋田放送局は一切、報道せず。そんなものを報道する価値はないと判断したのか、手が回らないのか…
恥ずかしながら、工事が始まるまで、この歩道橋が「中通歩道橋」という名称であることを知らなかった。
交差点名は「北都銀行本店前」と表示されているが、歩道橋には表示がない(はず)。ちなみに、製造年などを記した銘板らしきものはあったが、サビサビで判読不能だった。
たしかにここは中通である。でも、かつては中通地区に他に2つ歩道橋があったので、あいまいな命名。
2つとは、駅近く広小路の久保田町歩道橋(でいいのかな? 1969年設置、1988年撤去)と、中通歩道橋のすぐ北側・二丁目橋交差点の土手長町歩道橋(1967年設置、現存)。なお、木内前のスクランブル交差点は1978年から。
中通歩道橋は1974年に設置されたとのこと。3つの中でいちばん新しいのだった。
1974年は、広小路と中央通りがそれぞれ一方通行化され、秋田駅西側の車の流れが反時計回りに固定された年。
Googleマップ航空写真に加筆。上が北、右が東・秋田駅
この交差点は、中央通りが一方通行なのと、北側がとても道幅が広いのが特徴の変則的な丁字路で、当時はそれを解決するために、歩行者を車と分離すべく歩道橋が造られたのだろう。道路形状やスペースの関係からか、階段を除くとLでなく「へ」の字形であった。階段はいずれも途中に踊り場がある形状。北側は2方向に上り/下り口があり、南側2か所はいずれも1方向だけ。
歩道橋の上、南西側から。向かい側の階段は左右2方向に下りられる
上の写真の下。奥が中央通り
近年は、道幅が狭い南側の県道を、東西方向に横断できる歩行者用信号機・横断歩道があった。信号機は歩道橋の脚に取り付けられ、まさに歩道橋の真下。
ここはもともとは自転車専用横断帯だった。おそらく平成の初期頃に歩行者も渡れるようにされた。
今回の秋田魁新報に再掲載された、1974年の写真では、自転車用は縦型の2灯式・ゼブラ模様背面板付きの信号機が設置されていた。(歩行者用に変わる直前は、3灯だったような記憶)
中央通りの南北方向には、自転車も含めて横断できなかった。
車両用信号は、土手長町南北方向は、歩行者用が青の間はもちろん赤になる。
土手長町の北(二丁目橋)方向から、中央通りへ左折する時は、横断歩道は関係ない。だから、左折矢印信号が設置されており、赤(=歩行者が青)の間は矢印が点灯して左折できた。
したがって、3車線もある二丁目橋→中央通りの左折車線は、信号待ちをすることがなく、路面に停止線も引かれていない。
この交差点は4台中3台の車両用信号機が、歩道橋の橋桁に設置されており、秋田では数少ない横型のLED式だった。昔々(LEDの前の前?)は、京三製作所製の通称「宇宙人」タイプが設置されていたはず。
歩道橋がなくなると、中央通りを横断することができなくなった。
相変わらず秋田県による告知は不十分(撤去する旨の告知はそれなりにあった)だし、マスコミでもその点を触れない所もあり、このまま永久に横断できないと思っている人が多い。
しかし、この後、中央通り側に歩行者用信号機付き横断歩道が新設されることになっていて、待ち時間は生じるが、従来どおりに行き来は可能。
ただ、そうなると、これまで赤にならなかった北からの左折車線を、赤信号にしないといけない。
したがって、矢印信号が廃止され、停止線が引かれることになるようだ。
※現在の信号機はいずれも仮設で、今後本格設置。また、新設横断歩道は押しボタン式かと思っていたがそうではなく、交通弱者用押しボタンが設置されるのだった。
となると不安なのが、これまで通りいつでも左折できると思いこんで、青信号で横断中の横断歩道へ突っこむ車が出かねないこと。
左折は角度がやや鋭角で見通しも多少悪いかもしれないし、3車線もあるし、速度を出す車もあるし。十分注意してほしいし、対策をしてほしい。
【20日補足】左折車両は待ち時間が発生することになるが、それによる渋滞はまず発生しないと思う。赤信号の時間や、二丁目橋交差点の信号機とのタイミングにもよるだろうけど。
【18日追記】11月16日付の秋田市の広報では「11月下旬から歩車分離式になる」旨の告知が出ていた。それと、現地を見てみると、有楽町方向から中央通りへ右折する車が、その方向用の信号が黄色~赤になってからも(=歩行者用信号が青になってからすぐ)交差点内に留まって半ば強引に右折する車が見られる。現状ではそうなっても、土手長町通り側の横断者への妨害は起きにくく、中央通り側が3車線あることや交差点内の滞留スペースの配置を考慮すれば、大きな問題や危険はない。しかし、中央通りを横断する横断歩道ができた後も同じ状況になれば、左折のみならず右折でも青信号を横断しているところに車が突っこんでしまう危険性があり得る。信号サイクルの工夫や注意喚起を充分にしてほしい。ちなみに、現状(歩道橋時代)では、土手長町通り側車両用が赤になってから、3秒ほどで歩行者用が青になる。
現在までの工事の流れをまとめておく。
・9月18日から歩道橋使用停止、その後、仮設信号機設置・稼働(車両用は既存の橋桁のものも稼働継続)。
・10月10日前後に階段部分を順次撤去。
・15~16日、16~17日のそれぞれ23~翌5時に車両通行止めにして、中央通り側→土手長町側の順に橋桁の撤去作業。
撤去された橋桁は、割山の旧秋田空港跡地にとりあえず置くとのこと。
北側から
↓
1日限定、片側だけが残る状態
↓
撤去後。車両用信号機が1台だけになってしまった(今後増設)
個人的には、あまり渡る機会がなく思い入れがない歩道橋だった。市営バスの写真を撮影する時や、周辺風景の撮影地としては使わせてもらった。
橋桁や橋脚は、末期は土手長町歩道橋と同じ肌色というかピンク色の塗装だけど、昔はオレンジ色だったはず。それが珍しかったのは覚えている。
(再掲)農林ビル解体直前
川反に飲みに行く時に渡ったり、車やバスで駅前へ行く時にここを曲がればもうすぐ駅というランドマークとして思い入れがある人もいるだろう。
歩道橋下の川側の歩道を歩くことは多いが、脚・階段があるために歩道が狭く、特に自転車が通る/信号待ちしている時は、ジャマだった。
冬は、階段部分【22日訂正・橋桁と階段の接続部分付近の底面、というか脚の付け根付近、要は高い位置】から巨大なつららができ、歩道へ落ちてこないかと怖かった。
脚にケーブルを止めるための金属バンドみたいなのがサビて外れかけてブラブラしていて、「道の相談室」へ通報したこともあった。
階段部分には融雪装置があったとはいえ、川から吹き抜ける寒風で、雪や氷が融けづらかったかもしれない(土手長町歩道橋も同じこと)。
もちろん、足腰の悪い人にはいつでもつらかったはず。
魁によれば、中通歩道橋の日中の通行者数は1996年には1日541人だったのが、2015年には209人(川反の行き来で夜は多そうだけど)【22日補足・歩道橋以前に、単に秋田市街地が衰退して歩行者が減ったということもあるだろう】。横断歩道以外での横断も見られ、死亡事故も発生していた。
また、秋田県が管理する歩道橋の数は、1998年の20から11へ減っている(対して国管理は22→23)。
そんな状況では、中通歩道橋は撤去されて当然だろう。繰り返すけど、新たな横断歩道の安全確保は課題。
そして最後に、まったく根拠のない憶測。
中通歩道橋ができたのは、中央通りが一方通行化された時。
中通歩道橋がなくなれば、中央通りを対面通行にするハードルが低くなった【20日補足・対面通行化はできないとする理由になり得そうな、見通しの悪さと特殊な信号サイクルが、歩道橋撤去によってほぼ解消できる】とは言えないだろうか。
秋田市中心市街地活性化のため、広小路・中央通りの一方通行をやめようという声がこの10年ほどで出てきた。県議会での秋田県警の答弁は、以前は難色を示していたのが、ここ数年は多少軟化しているような雰囲気もあるようなないような。
ひょっとしたら、広小路・中央通りの対面通行化への布石だったりするのかも?!
【2019年6月17日追記】まさにこの頃、県が対面通行化を検討していたようで、その結果が2019年6月に示された。結果は車線数が足りないので「対面通行化は困難」。でも、こういうのって少し経てば忘れたかのように正反対の動きが出ることもあるからね…
※その後、11月27日はまだ従来どおりの運用だったが、11月29日には新たな横断歩道が稼働(中央通りへの左折矢印廃止、二丁目橋からの車線に停止線設置)していた。歩道部分では、ブロック敷きなどの工事が続いている。
※撤去後の様子はこの記事後半に少々。
そのクライマックスである、歩道橋の橋桁部分の撤去が、今週、2晩かけて無事完了した。
現在は、残った脚(柱)の撤去や、各種配線などの工事が続いており、現地の看板では12月14日まで続くことになっている。

↓

橋桁撤去は、それなりに関心があるようで、多くのマスコミがある程度報道し、撤去作業の見物人もいたとのこと。
報道では、街の変化、車と歩行者の関係などとからめて、過去の写真や映像も見せてくれた新聞社・民放テレビ局もあった一方、NHK秋田放送局は一切、報道せず。そんなものを報道する価値はないと判断したのか、手が回らないのか…
恥ずかしながら、工事が始まるまで、この歩道橋が「中通歩道橋」という名称であることを知らなかった。
交差点名は「北都銀行本店前」と表示されているが、歩道橋には表示がない(はず)。ちなみに、製造年などを記した銘板らしきものはあったが、サビサビで判読不能だった。
たしかにここは中通である。でも、かつては中通地区に他に2つ歩道橋があったので、あいまいな命名。
2つとは、駅近く広小路の久保田町歩道橋(でいいのかな? 1969年設置、1988年撤去)と、中通歩道橋のすぐ北側・二丁目橋交差点の土手長町歩道橋(1967年設置、現存)。なお、木内前のスクランブル交差点は1978年から。
中通歩道橋は1974年に設置されたとのこと。3つの中でいちばん新しいのだった。
1974年は、広小路と中央通りがそれぞれ一方通行化され、秋田駅西側の車の流れが反時計回りに固定された年。

この交差点は、中央通りが一方通行なのと、北側がとても道幅が広いのが特徴の変則的な丁字路で、当時はそれを解決するために、歩行者を車と分離すべく歩道橋が造られたのだろう。道路形状やスペースの関係からか、階段を除くとLでなく「へ」の字形であった。階段はいずれも途中に踊り場がある形状。北側は2方向に上り/下り口があり、南側2か所はいずれも1方向だけ。


近年は、道幅が狭い南側の県道を、東西方向に横断できる歩行者用信号機・横断歩道があった。信号機は歩道橋の脚に取り付けられ、まさに歩道橋の真下。
ここはもともとは自転車専用横断帯だった。おそらく平成の初期頃に歩行者も渡れるようにされた。
今回の秋田魁新報に再掲載された、1974年の写真では、自転車用は縦型の2灯式・ゼブラ模様背面板付きの信号機が設置されていた。(歩行者用に変わる直前は、3灯だったような記憶)
中央通りの南北方向には、自転車も含めて横断できなかった。
車両用信号は、土手長町南北方向は、歩行者用が青の間はもちろん赤になる。
土手長町の北(二丁目橋)方向から、中央通りへ左折する時は、横断歩道は関係ない。だから、左折矢印信号が設置されており、赤(=歩行者が青)の間は矢印が点灯して左折できた。
したがって、3車線もある二丁目橋→中央通りの左折車線は、信号待ちをすることがなく、路面に停止線も引かれていない。
この交差点は4台中3台の車両用信号機が、歩道橋の橋桁に設置されており、秋田では数少ない横型のLED式だった。昔々(LEDの前の前?)は、京三製作所製の通称「宇宙人」タイプが設置されていたはず。
歩道橋がなくなると、中央通りを横断することができなくなった。
相変わらず秋田県による告知は不十分(撤去する旨の告知はそれなりにあった)だし、マスコミでもその点を触れない所もあり、このまま永久に横断できないと思っている人が多い。
しかし、この後、中央通り側に歩行者用信号機付き横断歩道が新設されることになっていて、待ち時間は生じるが、従来どおりに行き来は可能。
ただ、そうなると、これまで赤にならなかった北からの左折車線を、赤信号にしないといけない。
したがって、矢印信号が廃止され、停止線が引かれることになるようだ。
※現在の信号機はいずれも仮設で、今後本格設置。また、新設横断歩道は押しボタン式かと思っていたがそうではなく、交通弱者用押しボタンが設置されるのだった。
となると不安なのが、これまで通りいつでも左折できると思いこんで、青信号で横断中の横断歩道へ突っこむ車が出かねないこと。
左折は角度がやや鋭角で見通しも多少悪いかもしれないし、3車線もあるし、速度を出す車もあるし。十分注意してほしいし、対策をしてほしい。
【20日補足】左折車両は待ち時間が発生することになるが、それによる渋滞はまず発生しないと思う。赤信号の時間や、二丁目橋交差点の信号機とのタイミングにもよるだろうけど。
【18日追記】11月16日付の秋田市の広報では「11月下旬から歩車分離式になる」旨の告知が出ていた。それと、現地を見てみると、有楽町方向から中央通りへ右折する車が、その方向用の信号が黄色~赤になってからも(=歩行者用信号が青になってからすぐ)交差点内に留まって半ば強引に右折する車が見られる。現状ではそうなっても、土手長町通り側の横断者への妨害は起きにくく、中央通り側が3車線あることや交差点内の滞留スペースの配置を考慮すれば、大きな問題や危険はない。しかし、中央通りを横断する横断歩道ができた後も同じ状況になれば、左折のみならず右折でも青信号を横断しているところに車が突っこんでしまう危険性があり得る。信号サイクルの工夫や注意喚起を充分にしてほしい。ちなみに、現状(歩道橋時代)では、土手長町通り側車両用が赤になってから、3秒ほどで歩行者用が青になる。
現在までの工事の流れをまとめておく。
・9月18日から歩道橋使用停止、その後、仮設信号機設置・稼働(車両用は既存の橋桁のものも稼働継続)。
・10月10日前後に階段部分を順次撤去。
・15~16日、16~17日のそれぞれ23~翌5時に車両通行止めにして、中央通り側→土手長町側の順に橋桁の撤去作業。
撤去された橋桁は、割山の旧秋田空港跡地にとりあえず置くとのこと。

↓

↓

個人的には、あまり渡る機会がなく思い入れがない歩道橋だった。市営バスの写真を撮影する時や、周辺風景の撮影地としては使わせてもらった。
橋桁や橋脚は、末期は土手長町歩道橋と同じ肌色というかピンク色の塗装だけど、昔はオレンジ色だったはず。それが珍しかったのは覚えている。

川反に飲みに行く時に渡ったり、車やバスで駅前へ行く時にここを曲がればもうすぐ駅というランドマークとして思い入れがある人もいるだろう。
歩道橋下の川側の歩道を歩くことは多いが、脚・階段があるために歩道が狭く、特に自転車が通る/信号待ちしている時は、ジャマだった。
冬は、
脚にケーブルを止めるための金属バンドみたいなのがサビて外れかけてブラブラしていて、「道の相談室」へ通報したこともあった。
階段部分には融雪装置があったとはいえ、川から吹き抜ける寒風で、雪や氷が融けづらかったかもしれない(土手長町歩道橋も同じこと)。
もちろん、足腰の悪い人にはいつでもつらかったはず。
魁によれば、中通歩道橋の日中の通行者数は1996年には1日541人だったのが、2015年には209人(川反の行き来で夜は多そうだけど)【22日補足・歩道橋以前に、単に秋田市街地が衰退して歩行者が減ったということもあるだろう】。横断歩道以外での横断も見られ、死亡事故も発生していた。
また、秋田県が管理する歩道橋の数は、1998年の20から11へ減っている(対して国管理は22→23)。
そんな状況では、中通歩道橋は撤去されて当然だろう。繰り返すけど、新たな横断歩道の安全確保は課題。
そして最後に、まったく根拠のない憶測。
中通歩道橋ができたのは、中央通りが一方通行化された時。
中通歩道橋がなくなれば、中央通りを対面通行にするハードルが低くなった【20日補足・対面通行化はできないとする理由になり得そうな、見通しの悪さと特殊な信号サイクルが、歩道橋撤去によってほぼ解消できる】とは言えないだろうか。
秋田市中心市街地活性化のため、広小路・中央通りの一方通行をやめようという声がこの10年ほどで出てきた。県議会での秋田県警の答弁は、以前は難色を示していたのが、ここ数年は多少軟化しているような雰囲気もあるようなないような。
ひょっとしたら、広小路・中央通りの対面通行化への布石だったりするのかも?!
【2019年6月17日追記】まさにこの頃、県が対面通行化を検討していたようで、その結果が2019年6月に示された。結果は車線数が足りないので「対面通行化は困難」。でも、こういうのって少し経てば忘れたかのように正反対の動きが出ることもあるからね…
※その後、11月27日はまだ従来どおりの運用だったが、11月29日には新たな横断歩道が稼働(中央通りへの左折矢印廃止、二丁目橋からの車線に停止線設置)していた。歩道部分では、ブロック敷きなどの工事が続いている。
※撤去後の様子はこの記事後半に少々。