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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

ノースアジア大スクール

2015-04-12 12:59:39 | 秋田のいろいろ
秋田駅から真東に2.5キロほどの所にある、ノースアジア大学、秋田栄養短期大学、並びに明桜高等学校。(旧称はそれぞれ秋田経済法科大学、秋田短大、経法大附属高校)※現在の明桜高校は校名に「附属」は入らないのか。
この記事で取り上げたように、生徒・学生の通学の便を図ろうと、秋田駅東口と学校を結ぶ無料のスクールバスが2003年10月からから運行されている。

運行業務は秋田中央交通に委託し、同社が所有する車両を使用していた。
運行主体は学校法人であり、中央交通は頼まれた通り運行しているだけ。したがって、中央交通の「路線」ではないので路線バス時刻表には掲載されていない。
しかし、学校法人側で時刻表を外部に公開しており、当初は「学校に用事のある人なら誰でも利用できる」旨を明示していた。
さらにしかし、現在も時刻表は公開されているが、「無料スクールバス(教職員、学生、生徒向け)を運行」となっていて、用事がある部外者は利用できなさそうな書きぶり。


さて、前にコメントで教えていただいていたが、この3月をもって中央交通とのスクールバス委託契約が解除されたらしい。
では4月からどうなるかと思っていたら、いろいろ変化があって興味深いので、部外者にはどうでもいいことですが、首を突っ込みます。

3月末頃に学校のホームページに「平成27年4月1日からスクールバスは、秋田中央交通のバスより、学校法人ノースアジア大学のバスに運行を変更いたします。」と掲載され、4月に入ってから車両の写真も掲載された。

同時に「これによって、バス運行時刻の変更があります。」とあり、ダイヤも掲載されている。
曜日によってダイヤが異なるものの、昨年度と比較していずれも本数が大幅に増えている。
「変更があります」なんて控えめな表現じゃなく、「増便して便利になります」と書けば宣伝になりそうものだけど…
ただし、このホームページでは重大な変更の告知が欠落しているのだが、後述。(学校では生徒・学生向けに周知しているのかもしれない)

以下、新旧を比較。
●ダイヤ
「インターネット・アーカイブ」を漁って、中央交通委託時代までダイヤをざっとさかのぼる。※見落とし等で間違っている可能性があります。
初代ダイヤ(2003年10月)
平日/休日(土日祝)/大学試験日/高校試験日の4本立て。
平日は駅発は7時00分から16時00分まで30本、学校発は11時40分から19時40分まで18本(2台以上同時運行の可能性あり)。
休日は駅発10本、学校発9本。

2代目(2006年4月)
「大学試験日」ダイヤがなくなり3本立てに。(大学試験日ダイヤは、学校発が10時台からあり、早い帰宅に対応していたようだが、あまり意味はなさそう)
平日ダイヤでは、初代において登校時間帯以降も毎時2~3本されていたものを毎時1~2本に減便。始発を7時20分に繰り下げ。計駅発21本、学校発19本

※2007年4月 学校法人名、各学校名を現行に改称。バスダイヤは前年度を踏襲。
2007年からは朝と下校時間に「女子学生・生徒専用車両」を1台ずつ運行。ただし書きに「(教職員・大学生・一般の方は男性も乗車可能)」とあるから、要は「男子高校生乗車禁止」車両だけど。

3代目(2009年4月)
大幅に減便
平日の駅発は7時30分始発で8時40分までは多数運行。以降は10時10分と12時30分だけで終わり。計9本
学校発は15時30分が始発で19時10分が終了の計7本。(いずれも複数台での運行あり)
休日は朝は駅発5本で8時40分が最終、学校発は12時、13時、16時半の3本(後に土曜のみ18時30分発を追加)。

4代目(2013年)
日曜・祝日・休校日の運行を廃止。他はおおむね3代目と同じ。
時間割の都合なのか、平日ダイヤが「月水木」と「火金」に分割。「火金」は下校時間がやや早い設定。

そして自主運行となる、
5代目
平日/土曜日/日曜日/試験日の4本立てダイヤ。日曜運行が復活
学校を出た便が駅で必ず折り返して運行する、回送なしの運用。そのため、朝から夜まで上下線が同時間帯に同数運行され、従来のような午前は学校行きばかり・午後は学校発ばかりといった偏りがない。
平日は駅発7時00分から21時00分まで、学校発6時50分から20時50分まで、各36本(36往復)程度。始発から8時30分、15時30分から17時40分までは10分間隔、昼間は1時間に1本。
土曜日も朝は10分間隔。日曜日でも朝・昼・夕方に8往復運行。土日の最終は18時台。

本数は直近と比べて劇的に増え、時間帯もまんべんなく運行されるようになり、非常に利用しやすくなる。
3・4代目ダイヤでは、登下校時間が決まっている高校生はともかく、大学生は使いづらいダイヤだったに違いない。


スクールバス運行開始以前は、秋田駅から学校までの路線バスがそれなりに(日曜も含めて夜まで毎時最低1本)運行されていた。
上記の以前の記事で触れた通り、スクールバスと同じルートを通る「中央線経由」(2001年に市営バスから中央線経由【13日訂正】中央交通へ移管)、少し遠回りの「横森経由」(2003年に移管)などであるが、スクールバスによって代替できると判断されたのか、中央線経由は廃止、横森経由も減便されてしまった。
その結果、3・4代目ダイヤの頃の生徒・学生は通学に困るさえあったのではないだろうか。


●所要時間と経路
2003年の運行開始当初の学校のホームページでは、駅から学校までの所要時間は「10分」とされている。
中盤には少し詳しく説明されており、「駅東口・約5分・東営業所(※)・約5分・大学正門・約5分・回転地」となっていた。
一般路線バスも同じだが、大学の正門側に途中バス停があり、敷地北側をぐるっと回って裏側にある「回転地」で折り返す運用だったようで、それだと運行上は片道15分かかっていたことになる。
上で※を付けた「東営業所」とは正確には「東営業所入口」のことで、現在は「城東中学校入口」バス停。一般路線バスでは東口から4分で到達することになっている。
少なくとも「東営業所入口」では乗車(学校行き)と降車(学校発)ができたようだ。車内放送はなく、降車合図ボタンは機能していたとか。城東中学校入口以外の各バス停は乗降不可だったのだろうか。

2013年頃には、「駅東口・約15分・大学入口」だけの表記になり、回転地に入らなくなったとの情報もある。途中乗降もできなくなったのだろうか?

自主運行になってからは、所要時間は10分としているようだ。途中乗降については不明。


●乗り場
中央交通委託時代は、5番まである秋田駅東口のロータリー状のバス乗り場の3番線で乗降を扱っていた。

今年3月時点では、1・2番が一般路線バス、4番は高速バスや定期観光バス(いずれも中央交通など路線バス系会社が運行)、5番は貸切バスなどが随時使用できる場所で、中央交通が受託したイオンモールのシャトルバスも使用。
3番乗り場は、一般路線バスの降車場としても使うことがあったが、表面上はノースアジア大学スクールバスの独占というぜいたくな使い方。
実は以前は、一般路線バスと3番線を共用していた。上記で出た「東営業所線」も3番線を使っていたのだが、2011年春の東営業所廃止に伴い路線廃止(代替路線は東口には来ない)された結果、独占。そんな状況だった。


4月になって新装なったスクールバスを拝見しようと、東口へ。
遠くを見通すと、ホームページの写真と同じバスがこちらに向かってくるのが見えた。
信号待ちがあるので、もう少しかかるだろうと視線を外して再び見ると、バスが消えた?!

どういうことかと、しばしキョロキョロすると、いつの間にか降車を扱っていた。思いもしなかった場所で。
こんな所で!
ロータリーではなく、NHK秋田放送局脇の道路上。
目を離した隙に、1つ手前の交差点を左折し、次を右折し、また右折し、NHK横に着いたのであった。(学校へ向かう時は、駅前の交差点を右折するだけ。)

学校のホームページには乗り場が変わった旨の記載はなく、僕も無意識に今まで通りロータリーに入ると思い込んでいた。
実は、この4月から日赤・御所野方面(広面御所野線)の一般路線バスの乗り場が2番から3番に変更になっていた。
つまり、中央交通との委託が解除されたと同時に、ロータリーから“締め出された”格好だ。

ほかにも、旧ツアーバス系の高速バスは、秋田駅東口周辺のロータリー外に乗り場を設けている。
北側の駐車場内が1社と、NHK横の路上が3社。NHK横には、何も書いていない(?)ポールが立っているが、スクールバスはそことは微妙にずれた位置に停まっていた。
この辺。特に看板とか印はなさそう
乗降場所が変わった結果、駅舎まで歩く距離はやや増えた上、乗り場付近に屋根や壁がないので、雨や雪、炎天下に待ったり移動したりは少々大変になりそう。
また、停車場所は、NHKの来客用駐車場出入り口のすぐそばなので、バス停車中に駐車場から出てくる車が右方確認しづらそうにしている場面も見られた。



●今までの車両
中央交通委託時代は、路線バス仕様の大型バスによる専用車両が2~3台配置されていた。いずれも、いすゞ製の首都圏の中古車。担当営業所はたしか当初は距離的に近い秋田東営業所で、廃止後は大川反の秋田営業所。
当初は塗装も専用のオレンジ色だったが、その廃車後の後継車両は、一般路線車両と同じ緑色の塗装になった。
一般塗装だけど、運賃箱がなかったり行き先表示が違ったりして、路線バスとして運用することはできなさそうなので、あくまで専用車両。
ただし、末期にはほぼ同型ながらLED式行き先表示に替えられた車両も恒常的に使われていた。運賃箱などは付いたままの模様。これは以前は臨海営業所で一般路線に使われていた車だろうか?
幕式の車両では、3校連名の校名入り専用行き先表示がセットされていたが、LEDの車では「スクール」のみを表示。

近年では、いずれも富士重工「7E」ボディの332(LED)、364(LED)、369、752、753がよく使われていた。
これらの車両は、イオンモール秋田や各種イベントのシャトルバスに駆り出されることもある。
イオンモールシャトル運用時の「364」
登校時間帯など専用車両が不足する時は、一般路線車両が応援に入ることもあった。担当営業所に大型車の余裕がないので必然的に中型車で、三平バスも使われることがあった。

大川反の秋田営業所から東口もしくは大学まで、回送距離が長い。
回送ルートは複数あり、山王十字路→秋田中央道路の地下トンネル、竿燈大通り→中央通り、竿燈大通り→土手長町→南大通りを確認している。
朝日を浴びて竿燈大通りを回送する「753」。回送時も3校連名の専用表示を出すことが多かった
専用車両は、(中央交通の他の路線車も似たようなものだが)屋根上に錆が出るなど傷んでいる車両も多かった。一方で、車体が比較的きれいな車両もあり、もう少し使えそうな気もする。
とりあえずイオンモールシャトルには使い続けられそう。

【23日追記】コメントでも情報をいただいているが、スクールバス専属だった車両の多くは、LED化などの路線用改造を受け一般路線に投入される模様。
4月23日には、上に写真が出ている「753」がLED化され(もちろん運賃箱等も設置されたはず)、秋田営業所担当の広面御所野線を営業運行していた。以前は「出入口」だった中ドアの表記は「入口ENTRANCE」に改められたが、前ドアは「出口」と英字なしのまま。

【5月2日追記】上のほうに写真がある、LED行き先表示など路線仕様のまま実質的にシャトル専属として使われていた「364」が、割山線で運行されていたのを確認。臨海営業所に転属し、路線運用に復帰したようだ。(屋根に錆が発生していたが、どうなっているかは見ていない)


●これからの車両
学校法人による自主運行に当たり、自家所有と思われる連番の白ナンバー登録の車両が2台用意されたようだ。2台は塗装が異なる。【13日追記】もう1台あって計3台らしい。
いずれも現行車種ではない日野製の大型バス「ブルーリボン」。ツーステップで、前にだけドアがある「トップドア車」で、背もたれの高い2人掛け座席が並ぶので、元から自家用として使われていたバスを中古で購入したと思われる。
2台はよく似ているが相違点もあり、元の所有者は別だろう。

違いをまとめておく。
 白いほうが若いナンバー
1台目:白一色塗装、窓枠黒、屋根上マーカーランプあり、正面の学校名表示大型、正面エンブレムなし、ヘッドライト丸??、座席青色、リアウインドウ「HINO」表示あり、テールランプ周囲が白、後部ナンバープレート付近に補助テールランプあり、「ABS」表示なし

2台目:白&青緑塗装、窓枠銀、屋根上マーカーランプなし、正面の学校名表示小型、正面エンブレム「H」、ヘッドライト角、座席赤色、リアウインドウ表示なし、テールランプ周囲が黒、後部ナンバープレート付近に灯火なし、「ABS」表示あり

 
路線バスなら行き先表示に当たる学校法人名表示部分の大きさ、というか余白の白/黒の面積が2台で違う。どうして揃えなかったんだろう?(照明が灯る都合かな?)
側面には3校名のほか、同一法人運営の「秋田看護福祉大学」も表記されるが、所在地は大館市


●運用
下校時間帯の10分間隔で運行される様子を少し見ていたが、2台が交互に来ていた。
ダイヤ上は所要時間10分なので、待機時間なしで行ったり来たりすることになり、少々きつそう。
以前よりやや遠回りになり、ドアが1つだけなので乗降に手間取るようで、若干遅れがあったようだ。積雪時にはどうなるか。

ドライバーは1日当たり4人は必要だろう。毎日運行だから、総数ではそれ以上。
車両は、日曜日だけは車両1台で回せそうだが、それ以外は2台必要。点検や故障時の予備車はどうするのだろう。【13日追記】もう1台あって、3台体制らしい。それなら予備車は確保できる。
状況は以上。



委託末期の「午後に学校へ向かうバスが1本もない」という状況は、スクールバスがあることを謳う大学としては貧弱に感じた。学校法人としては、スクールバスはたくさん運行したいけれど、中央交通へ委託する費用がネックだったということだろうか。
見た時は、夕方に学校へ向かうバスにも、大学生と思しき人がわずかに乗車しており、空気輸送ではなかった。(今まではどうしていたの?)ただ、夜の9時までそういう需要があるとは思えない。どっちみち学校へ戻らなきゃいけないだろうけど。

自主運行で費用は抑えられるものの、車両の維持管理、ドライバーの管理、万一の事故の処理を自らで適切に行わなければならない。(白ナンバーのまま、それらをそっくり委託するやり方もあるそうだが)
余談だが、附属高校→明桜高校には2009年まで「自動車工学科」が存在した。バスのメンテナンスもできた?

中央交通にしても、末期は本数が激減したのに、車両と乗務員を別に確保せねばならなかったし、回送・待機が多そうだし、同社には委託運行の経験やノウハウはあまりなさそうで、乗り気でなかったのかもしれない。
バス会社としては、人口減や路線バスがもうからない今、売り込みも含めて上手にできれば、受託運行は貴重な安定収入になると思うけど。


※県職員採用試験時の対応
以前記事にしたのは、秋田県庁の職員採用1次試験が日曜日にノースアジア大を会場に実施されるのに、路線バスがほとんどないことに気付いたから。
間もなく実施される平成27年度分では、「第1次試験日に運行されるバス(臨時・定期)については、試験日程等の詳細が決まり次第、このページに掲載します。」との予告が、県のホームページに出ている。増発されるということなんだろう。前からそうだったのかな。

※大学入試センター試験時の対応
ノースアジア大は、大学入試センター試験の会場としても使われる。2017年は、大学ホームページにおいて、スクールバスをセンター試験用の特別ダイヤで運行することが告知された。試験時間に合わせたのか、けっこうな便数が運行された。関連記事


ところで、静岡の御殿場の近くに「時之栖(ときのすみか)」というリゾート地がある。【13日追記】※地元が地盤で全国向けにソーセージなどを製造する「米久」の系列だそう。
三島などから無料シャトルバスが運行されているのだが、自前で運行するものと、地元バス会社に委託運行するものが混在している。しかも委託先は富士急シティバスと沼津登山東海バス(小田急系列)の2社。(現在は富士急だけになっているが、季節による?)
パンフレットなどには便ごとに運行会社名が書かれているが、知らない人は迷うかもしれない。
時之栖自前では車両・ドライバーともまかない切れないからなのか、日頃から関係を作っておいて何かあった時に融通を利かせてもらえるようになのか、あるいは地元企業の顔を立てているのだろうか。





大学が所有する日野製大型バスと言えば、弘前大学農学生命科学部が使っていた1980年式の「RE101」。
(再掲)ノースアジア大のバスより15~20年くらい古いだろうか
車検が切れてどうなるかと思っていたところ、なんと弘南バスへ譲渡された。弘南バスではイベントや団体運行に使う計画であることが、東奥日報で報道された。
3月末に仮ナンバーで走行していたとの目撃情報をコメントでいただいたが、運輸局へ向かっていたのだろうか。現在は「917」という緑ナンバーになった(東奥日報の写真で確認)。
10日に引き渡し式が開かれたそうだが、式についての公式発表や報道は今のところ見ていない。

意外だったが、地元のバス会社によって地元で走り続けられることになって、ベストな結果だったのではないだろうか。
弘南バスさんは、日頃から古いバスを大事に使っているので大丈夫そう。今のところ塗装は弘大時代のままだが、塗別にあれでなくてもいいと思う。昔の路線カラーなんかいいかも。
コメント (17)
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