ギリシャ悲劇と聞いて、
「面白いよね〜」と開口一番
庭駆け回る日本人は、
ほぼいないだろう。
大半が「小難しくて詰まらない」。
いや、そもそも観たことないが
一番多いのだろう 残念だが。
紀元前550〜220年頃に古代ギリシアに
隆盛を極めた演劇には、けれども
すでに演劇のほぼ全てがある。
だから本当は、面白い。
そして!
14日(祝)まで上野ストアハウスで
上演中の清流劇場『ヘカベ、海を渡る』
(原作/エウリピデス、
上演台本、演出/田中孝弥)は
ディオニューシアの神に賭けて
面白かった。
余談ながら、ディオニューシア神を
祝す大祭の中で奉じられたのが、
悲劇、喜劇、滑稽劇の始まり。
この三大劇は演劇を超えて、
西洋文明に影響を与えている。
……総論はキリがないからここまで
さて「悲劇」は、仮面をつけた俳優と
舞踊合唱隊の掛け合いによって進行したが、
その形式も盛り込んだ清流劇場の
『ヘカベ〜』は、それでも尚、新しく、
団体名に相応しい清らかさに満ち、
さらには力強い1時間55分だった。
ギリシャ悲劇を選ぶ多くのカンパニーも
仮面劇とコロスの歌を取り込むけれど
「もともとはこの形で演じてたんです」と
まるで黒板を背にした授業みたいに、
〈教えて〉くれ、それは勉強になるけれど
詰まらないのである
しかし、大阪弁による『ヘカベ〜』は
2024年の現代小劇場演劇として成立し、
「復讐の連鎖を止める手立て」を
客席へ問う主題もきっちり果たした上に
兎に角純粋に面白い〜ここで言うのは、
笑うの一次ではなく興味深いなど含む
多次的な〈面白い〉だ
駐日ギリシャ大使館、日本ギリシャ協会、
2024日本ギリシャ・文化観光年記念事業を
後援とする芝居、残すは本日13時、18時と
明日13時。