麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

地域拠点演劇の一考察

2014年09月29日 | 鑑賞
「雲の劇団雨蛙」
代表の朝日山裕子、作演出の岡田和歌治。
島根県出雲市を拠点に2012年9月旗揚げ。
以来さまざまな企画を立ち上げ
12都市45公演101ステージという
とてつもない活動をしている劇団の、
プロデュース公演を見た。

ジャブジャブサーキットの東京公演に
折り込みに来て、代表のはせさんに
挨拶していたのが今思えば
岡田氏だったのだが。
《島根拠点》にまず目を引かれ、
出演者に辻崎智哉の名前を認め観劇を決めた。

「辻」は長らく東京で演劇活動を続け、
3.11を機に佐賀へ。そして今は京都で
「Quiet.Quiet」を主宰している。

はすいけタイムスの『BENT』京都公演の際
東京から乗り込む我々に力を貸してくれた。
同じ芝居に関わったの2010年の
WANDELUNG『クライマー、クライマー』
一本なのだが、たまに呑んだりしている。

観劇したのは『scattered(deeply)』
(9/25~28、サブテレニアン、
作・演出/田辺剛)
タイトルの《散り散りになった、散在する、
まばらな、ばらまかれた》の通り、
何もない舞台の端に「ばらばらの自転車」が
置かれている。それはdeeply=徹底的に
ばらばらになっている。

盗まれたそれが放置自転車とし回収され、
引き取りに来たら「ばらばら」な姿に。
自転車は、祖母の大事な形見だったのに。

一方、現代アートとして自転車の部品を
野外展示するグループがいる。

前者には後者が「野犬」に見え、
逆の面々には「烏」に見えている。

大切な自転車を元通りに組み上げようする
佐藤マキ(小野紗知)の行為が、
芸術家の伊佐原リョウタ(幡司健太)には
烏が巣作りに部品を奪うように見える
という構造である。

非常に見ごたえがあり、また前述の
ズレから生まれる物語が妙に可笑しく、
また様々なことを考えさせられる
エッジの効いた舞台であった。

10/2にはキラリ富士見でも上演される。

さて。
集団が島根で、作演出は京都在住。
僕の観た回のアフタートークゲストは
岐阜のはせひろいち。他にも、
愛知の佃典彦(25日)、大阪の石原燃(28日)
と外の皮にも工夫をこらした企画。

地域演劇にも興味のある僕にとって、
興味深い、刺激になった舞台となった。

島根の「雲の劇団雨蛙」要注目だ!
辻の「Quiet.Quiet」(京都)も宜しくです。
なお、ジャブジャブサーキット(岐阜)は
代表作『非常怪談』をリニューアルして
三重の津と岐阜の大垣で今秋上演します。

どうしても大都市中心になりがちだが
日本中から発信される作品に、
もっとアンテナを張っていきたいっす。
コメント
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