麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

深夜のご褒美

2022年03月08日 | 身辺雑記

連日、帰りが遅いが好きなことをしているから

苦にはならない。それにご褒美もある。

こちらはシラフだが、時刻はてっぺんあたりで

ゴキゲンな殿方も居たり居なかったり

 

とある夜、一方通行の細い路地、

僕の前を歩いていた千鳥足氏。

きっと本人は真っ直ぐなつもりなのだ。

少し右に行き過ぎて、そのままだと電柱に……

と分かっちゃいるけど体はフラ~リ、

吸い込まれるようにデンシンバシラ、

辛うじて顔は背けたけれど

肩から体ごとぶつかった。

その瞬間!

彼は「くそっ」と言いながら電柱を蹴った。

 

ええ

そんな昭和の安いドラマのようなシーンを

2022年3月に目の当たりにするなんて、

これを幸運と言わずして何というのか。

 

逆にいえばリアルなのである。

事実は小説より奇なりと、

それは考えに考えた筋書の上を行く

本当に起こる事件を指すけれど。

「そんなマンガみたいなこと実際ないよ」

って思われることが、意外にも「ある」。

  

だが。

それを創作でやろうものなら、

あまりのリアリティーのなさに野次

・・・は今の時世には飛ばないが、

ほぼほぼ呆れ返られること間違いなし。

 

さて、千鳥足氏の蹴りだが、

そのナチュラルさったらなかった。

勿論、自然の行為だから当然だ。

そして、真似てやっても面白くない。

彼は笑かす気など一切ない。

ないがゆえに面白い。

 

零時過ぎに、酔っぱらいの後ろで

そんな他愛ないことを考えるオジサンも

ちょっと痛々しいと、

少し考えを反らした隙に

彼は静まりかえったバス通りを渡っていた。

 

転ばぬために左右の腕を巧みに操る、

というか操られるというか、何れにしろ、

その角度の変化がまた絶妙なのである。

惚れ惚れするほどに。

 

思わず拍手しそうになった僕への

カーテンコールかのように、千鳥足氏は

「馬~鹿、馬ー鹿、ばぁか」と叫んだ。

見事に三つとも違うbaka。

真似するのは困難な名台詞。

 

ちょうど月が雲に隠れて、芝居でいえば「暗転」。

嗚呼、ここで救急車のサイレンが鳴れば……。

さすがに、それは望み過ぎだ。

 

とある夜。

まだ花粉症が出る前の数日前。

今シーズンも、軽めで終わるといいな

 

 

 

コメント
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