メガバンク系信託銀行を辞めた
知人Sが林業に興味を持って、
チェーンソーの資格を取ったと
聞いたのは2024年の師走だ。
年明け。
別の知り合いから勧められた
文庫本を読み始めと、13pで
自ら伐採した杉の下敷きになって
亡くなる男性が登場した。
温泉の次男坊が家を出て、
宮崎の林業の会社で働いて数年
⋯⋯という設定。
「S市」という表記だが、
巨大古墳群、プロ野球キャンプ地、
一ツ瀬川などのキーワードから
我らがスワローズが球春を過ごす
西都市と判る。
その男の姓は谷口。
高校の私の代の副将が谷口だった。
ポジションはセカンド。
高3の時ドラフト指名を待っていた。
もちろん、冗句で。
サードでマウンドにも立つ谷口は、
『キャプテン』と『プレイボール』の
主人公・谷口タカオ。
名門青葉学院の補欠から墨谷二中に転じ、
高校は都立墨谷へ進む努力の男。
野球漫画の金字塔のひとつだ。
と。一編の小説から芋づる式に、
次々と脳内の抽斗が開かれていく。
「実に面白い」
⋯⋯どこかで聞いたセリフ。
それは東野圭吾が生み出した
「加賀恭一郎シリーズ」だけれど、
亡くなった男の兄の名が恭一。
実に面白⋯⋯くもないか
本好きの方、もしくは映画を観た方なら
「あぁ、あの作品か」とわかるわけだが、
ここでは伏せて終わる。
タイトルの「実に」は
前述の名ゼリフからでもあり、
林業を含む実業にも絡めた。
金融も実業なのだけれど、
「ずっとやってきたのとは
まるで違う仕事に興味があって」
という知人Sの言葉が印象に残り。
大切な第一次産業が脆弱な日本。
得意の第三次産業もめっきり⋯⋯と、
下向きになりそうな話は辞めて、
空に向かって伸びる樹々のような
2025年になるといいな〜
そう思ったのは成人の日の前日。
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