麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

真説・空ゆく風のこいのぼり

2020年05月17日 | 制作公演関連
2008年、劇団東演第130回公演
『空ゆく風のこいのぼり』
(作/藤井貴里彦、演出/磯村純)は、
ちょいちょい僕のブログに登場する。



こんなデザインのポスターでした。
全面にほどこされた藍染は、
作者である藤井さん自らの手によるもの。
彼は劇作家であり、童話作家であり、
藍染職人でもあり、べらぼうに素敵な人。
(デザインは大下詠子氏、
藍染撮影は森田貢造氏)

5月16日付ブログで登場した書籍
『みやざきの演劇』を所有していたのも
藤井さんから頂いたからである。
宮崎の演劇が丁寧にまとめられていて、
その巻末に、県演劇史の
エポックメイキング三篇を採録。
その一篇が藤井貴里彦の処女戯曲
『百円野菜』だった。

第一回みやざき演劇祭・短編戯曲賞の
栄えある最優秀賞作品(2001年)。
まず宮崎で上演された後、
審査委員長を務めた、はせひろいち氏が
主宰する劇団ジャブジャブサーキットで
『サワ氏の仕業Ⅳ』として翌年上演。
(短編三本からなるプログラムで、
大阪、名古屋、東京三都市を巡演。
『百円~』が掉尾を飾った公演)
僕は池袋のシアターグリーンで
一観客として舞台に触れ、衝撃を受けた。
そして劇場にその書き手がいた。

呑みの席。
自己紹介と話の継穂として、
我が所属劇団(当時)の次回公演は、
西南戦争の頃を描いた『風浪』だと言った。
語るまでもないが、明治初期に九州中南部
(現在の大分、熊本、宮崎、鹿児島)で起きた
一連の士族蜂起。西南の役とも。
藤井さんはグラス片手に「あ、それ」と。
聞けば、曽祖父が祖父たちに自慢して曰く、
「さきの戦で西郷軍に従い活躍した」
そして刀をサッと抜いたら・・・指を切った。

そんな話から生まれたのが『浄瑠璃の庭』。
まだ所属劇団ではペーペーで、
座内で企画を通す力はなく、
劇団協議会主催公演を東演が製作という形で、
それは陽の目を見た。
稽古場で公演は、おかげさまで圧倒的な支持を得、
力をもらった僕と藤井さんと演出家は、
打ち上げの席で早くも次回作に向け始動。



四年後。
ついに『空ゆく~』が紀伊國屋ホールに降臨。
その舞台の片隅にいたのが上の蛙。
美術の小池れい氏、渾身の遊び心だ。
舞台にがっつり建てた一軒家の縁側の下、
観た者誰一人気付きはしなかったろう……。

(つづく)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブックカバーチャレンジのつづき | トップ | 深説・空ゆく風のこいのぼり »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿