「本町は何時に来るってよ」
四角い卓袱台を三台並べたのを
拭きながら本家の美佐子が言うと、
愛車のコルベットの鍵を弄びながら
今居間に入ってきた麗美が答える。
「五時には来たいって言ってたよ」
と掻きあげた髪の下からは
牛の鼻輪みたいなイヤリング。
親類縁者の集いでのやりとり。
(勿論フィクションです)
ここで言う「本町(ほんちょう)」
とは町の名前だけれど人を指し、
つまり名字は概ね同じ一族が、
屋号だの住んでいる地名だので
区別するそーゆー図でございます。
僕の具体的経験の一つを挙げれば、
川崎大師の近くの台町に住む
おばさんの本名(?)を知るのは
物心ついてからだった。ただ、
それを知ったところで呼び方は
「台町のおばさん」のまま。
後に塩浜に越してからも彼女は
やはり「台町のおばさん」だった。
何でこんな話になったかと言えば、
本番の迫った『BENT』の、
稽古場であり、東京公演も行う
「まったなしスタジオ」への道中の
マンションや駐車場に「田無本町」
とあるのをよく見かけるのだけれど、
電信柱の住居表示は「田無六丁目」
ってことについ最近気付いたから。
全国津々裏々、由緒ある地名消失
ってニュースはよく耳にしますが、
歴史的背景を持たなくても、
古くからの「集落名」は
どんどんと数字化されていく。
きっと行政は便利なのだろう。
郵便や宅配などにとってもだろうか。
学校の運動会とは別に
町内会の運動会ってのがあって、
僕の住む「王禅寺」の子供から
大人まで一堂に会して競うのだが、
組分けは紅と白じゃなくって
「入口」「谷戸」「梨の木団地」など
住所にはないエリア毎で
覇を競っておりました。
今でも開催されているのだろうか…。
そもそも町会は機能しているのか。
と古い人間ぶってはみたが、
ときは高度成長時代の70年代、
我が町も新興住宅地に
都会からたくさん新住民が移り来たが
町内運動会に参加することは稀だった。
当時は子供ながら完全にホームの立場で
「マンションの人達も参加すればいいのに」
なんて言ってた記憶があるが、
こちら側に閉鎖性はなかったのか、
と今は反省する部分もある。
さて『BENT』は、
セクシャル・マイノリティの一つ
ホモセクシャルを描いております。
でもそれは決して特殊じゃなくて、
例えば今書いた町内運動会の
旧住人と新興住民の関係と変わらない。
と、本町から話がだいぶ転がったけど
ほんちょうにそう思っています。
是非『BENT』を観て、
こむずかしくじゃなく、
率直に一緒に語りたいなぁ……と。

10日16:00~★
11日14:00~/18:30~
12日14:00~
(★公開ゲネ2000円、
他は3000円)
日時指定全席自由。
詳しくはhttp://www.hasuiketimesjimdo.com
メールはhasuiketimes@gmail.com
四角い卓袱台を三台並べたのを
拭きながら本家の美佐子が言うと、
愛車のコルベットの鍵を弄びながら
今居間に入ってきた麗美が答える。
「五時には来たいって言ってたよ」
と掻きあげた髪の下からは
牛の鼻輪みたいなイヤリング。
親類縁者の集いでのやりとり。
(勿論フィクションです)
ここで言う「本町(ほんちょう)」
とは町の名前だけれど人を指し、
つまり名字は概ね同じ一族が、
屋号だの住んでいる地名だので
区別するそーゆー図でございます。
僕の具体的経験の一つを挙げれば、
川崎大師の近くの台町に住む
おばさんの本名(?)を知るのは
物心ついてからだった。ただ、
それを知ったところで呼び方は
「台町のおばさん」のまま。
後に塩浜に越してからも彼女は
やはり「台町のおばさん」だった。
何でこんな話になったかと言えば、
本番の迫った『BENT』の、
稽古場であり、東京公演も行う
「まったなしスタジオ」への道中の
マンションや駐車場に「田無本町」
とあるのをよく見かけるのだけれど、
電信柱の住居表示は「田無六丁目」
ってことについ最近気付いたから。
全国津々裏々、由緒ある地名消失
ってニュースはよく耳にしますが、
歴史的背景を持たなくても、
古くからの「集落名」は
どんどんと数字化されていく。
きっと行政は便利なのだろう。
郵便や宅配などにとってもだろうか。
学校の運動会とは別に
町内会の運動会ってのがあって、
僕の住む「王禅寺」の子供から
大人まで一堂に会して競うのだが、
組分けは紅と白じゃなくって
「入口」「谷戸」「梨の木団地」など
住所にはないエリア毎で
覇を競っておりました。
今でも開催されているのだろうか…。
そもそも町会は機能しているのか。
と古い人間ぶってはみたが、
ときは高度成長時代の70年代、
我が町も新興住宅地に
都会からたくさん新住民が移り来たが
町内運動会に参加することは稀だった。
当時は子供ながら完全にホームの立場で
「マンションの人達も参加すればいいのに」
なんて言ってた記憶があるが、
こちら側に閉鎖性はなかったのか、
と今は反省する部分もある。
さて『BENT』は、
セクシャル・マイノリティの一つ
ホモセクシャルを描いております。
でもそれは決して特殊じゃなくて、
例えば今書いた町内運動会の
旧住人と新興住民の関係と変わらない。
と、本町から話がだいぶ転がったけど
ほんちょうにそう思っています。
是非『BENT』を観て、
こむずかしくじゃなく、
率直に一緒に語りたいなぁ……と。

10日16:00~★
11日14:00~/18:30~
12日14:00~
(★公開ゲネ2000円、
他は3000円)
日時指定全席自由。
詳しくはhttp://www.hasuiketimesjimdo.com
メールはhasuiketimes@gmail.com