あるブログ友さんの記事「小豆島旅行」を拝見している内 急に 壺井栄著 小説 「二十四の瞳」を 改めて読んでみたくなり 本棚を当たると いつ頃 入手したのやら まったく記憶が有りませんが 文庫本が収まっていました。
「二十四の瞳」は 多分 昭和30年代、中学何年生だったかに 文部省推薦映画ということで 町の映画館に出掛け見た記憶があります。
もちろん 大石先生役は 高峰秀子の 白黒映画でした。
まだまだ晩生の少年でしたので 作者の潜在的戦争批判の心まで 理解したかどうかは別として 映画自体には 大変感動し 未だに忘れられない映画の一つになっていることは 間違いありません。
昭和初期、瀬戸内海の小豆島の寒村の分教場に赴任した若い大石久子先生と 12人の教え子の愛情溢れる物語ですが 日本が戦争に突き進んでいた時代、次第に 大人も子供も巻き込まれていきます。
岡田磯吉(ソンキ)、竹下竹一、徳田吉次(キッチン)、相沢仁太(にた)、森田正(タンゴ)、川本松江(マッちゃん)、西口ミサ子(ミイさん)、香川マスノ(マアちゃん)、木下富士子、山石早苗、加部小ツル(かべこつる)、片桐コトエ。
貧しさと戦い懸命に生きる者、病死してしまう者、戦死してしまう者、教壇に立つもの、失明し除隊しあんまとなった者、
等々。
特に後半、戦争のむごさ、悲惨さが 具現化して 涙を誘われますが 作者は 大上段に反戦を訴えるのではなく 静かに 庶民の立場から戦争批判しており それだけに心打たれてしまいます。
物語の最後の場面 歓迎会で 失明している 磯吉(ソンキ)が 子供の頃の 「一本松の写真」を見ながら 「それでもな、キッチン、この写真だけは見えるんじゃ。ほら 真ん中のこれが先生じゃろ。その前に うらと竹一と仁太が並んどる。・・・・・」と 指で押さえて見せる場面は なんとも涙を誘われます。
戦争を知らない世代、戦争を忘れようとしている政治家が 拡大している今、改めて 戦争が引き起こす 庶民の悲劇を 想像したいものです。