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畠山健二著 「本所おけら長屋・外伝」

2024年05月05日 21時23分20秒 | 読書記

昨年末に、図書館に予約していた、畠山健二著「本所おけら長屋・外伝」(PHP文芸文庫)が、やっと順番が回ってきて、先日借り、読み終えた。
本書には、「その壱 馬鹿と外道は紙一重」「その弐 家督は寝て待て」「その参 金太が街にやってくる」「その四 みちのくさとり旅」の短編4篇が収録されているが、2013年7月にスタートし、二十巻、九十三話で完了した、大人気の「本所おけら長屋シリーズ」の主な登場人物、万造、松吉、黒石藩藩主津軽甲斐守高宗、金太、島田鉄斎等が、おけら長屋の住人になったり、おけら長屋と関わったりする前の経歴やプロフィール等を描いだ形の作品になっている。シリーズ中では、明らかにされておらず、謎めいていた部分も多々有って、「そういうことだったのか」・・、
より、人物像が鮮明になり、話が繋がったような気がする。


「本所おけら長屋シリーズ」は、江戸本所亀沢町の貧乏長屋「おけら長屋」の店子、万造松吉の「万松コンビ」を筆頭に、左官の八五郎お里夫婦、粋な後家女お染、浪人の島田鉄斎、等々、貧しいくせにお節介焼きで人情に厚い、個性豊かな面々が、次々巻き起こる問題、事件、騒動を笑いと涙で体当たりし、まーるく収めていくという時代小説で、とにかく愉快、面白い。
演芸の台本執筆や演出等の経歴を持たれる著者畠山健二特有の小気味よい文体、まるで江戸落語、漫才を聞いているようなテンポ良さに引き込まれてしまい、随所で、笑いを堪らえ切れなくなったり、思わず泣かされてしまったりする。
「本所おけら長屋シリーズ」のテーマについて、著者は、「品行が悪くても品性が良い」ことだと述べておられるようだが、「いつも馬鹿やっていながら、決して人を裏切ったり騙したりしない」全ての登場人物達に、読者も気持ちよくなり、人の優しさがジーンと心に沁みてくる時代小説になっている。


「その壱 馬鹿と外道は紙一重
 ▢主な登場人物 
  万造、松吉、徳兵衛、八五郎・お里、佐平、お蝶、小一郎、お久留、
 ▢あらまし等
  万造と松吉は偶然、同じ日におけら長屋に引っ越してくる。意気投合した二人は、
  長屋の髪結いの女の家で、小遣いをもらって暮らしている小一郎という優男に
  憧れるが、・・、


「その弐 家督は寝て待て」
 ▢主な登場人物
  黒石藩津軽甲斐守高宗(上総久留田藩藩主黒田豊前守直行の四男、黒田三十郎)、お芳、
  重子、黒田直秀、お鯉、黒田直親、お虎、黒田直広、
  お玉(黒石藩津軽甲斐守典高の嫡女・玉姫)、工藤惣二郎、前田兼吾、
  徳兵衛、東州屋善次郎

 ▢あらまし等
  上総久留田藩藩主の四男だった高宗は、いかにして津軽黒石藩藩主になったのか? 
  十五歳の高宗と五歳の玉姫の出会いを描く。


「その参 金太が街にやってくる」
 ▢主な登場人物
  金太、お助、文志郎、徳兵衛、万造、松吉、八五郎・お里、佐平・お咲、晋助、お栄、
  六甲屋円蔵、

 ▢あらまし等
  おけら長屋は、実は、事故物件だった?、住民らに立て続けに災いが起きる中、
  長屋立ち退きの話まで持ち上がる。なんとか阻止したい住民たちが考えた案とは?


「その四 みちのくさとり旅」
 ▢主な登場人物 
  島田鉄斎、結衣(ゆい)、島田官兵衛、木村重心、黒石藩藩主津軽甲斐守高宗、近藤房之介、
  米吉、権助、村田華祥(かしょう)、愁丸(しゅうまる)、小林吟平、荒又義右衛門、

 ▢あらまし等
  妻を亡くし、黒石藩の剣術指南役を辞した鉄斎は、剣術とは何かという答えが見いだせない
  まま、江戸に向かっていた。旅の途中、仙台に立ち寄った鉄斎は、宿屋で盗難騒動に
  巻き込まれる。


「特別付録・これだけははずせない!、第二幕を楽しむための名場面ガイド」
「本所おけら長屋シリーズ」第一幕(第1巻~第20巻)の名場面ガイドが収録されている。
 第二巻 その参 「まよいご」、第四巻 その四 「よいよい」、
 第五巻 その参 「はるこい」、第六巻 その五 「だきざる」、
 第七巻 その四 「おしろい」、第八巻 その五 「こしまき」、
 第十巻 その壱 「さかいめ」、第二十巻 その壱 「しにがみ」、
 第十三巻 その四 「ゆうぐれ」、第十六巻」 その四 「あいぞめ」、
 第十七巻 その四 「みなのこ」、第二十巻 その弐 「ひきだし」 


いずれも、笑いと涙の「おけら長屋」ワールド?
「ハハハハハー」「ウル、ウル」、記憶が蘇ってくる。


著者の畠山健二氏は、「本所おけら長屋(一)~(二十)」を「第一幕」と称し、物語にいったん区切りをつける決心をしたようで、巻を追うごとに成長する登場人物達を、より大きな舞台で活躍させたいと考え、「第二幕」を、目下構想中なのだという。
個性豊かな登場人物達が、今後どのような人生を歩むのか?、今後どんな展開になっていくのか?、是非、続編を期待したいところだ。


参照
👇
PHP研究所(PHP文庫)「本所おけら長屋シリーズ」


 


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1 コメント

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2024-05-06 08:57:37
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