古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

もぞもぞしてよゴリラ/ほんの豚ですが     佐野洋子

2022-01-29 02:15:24 | 佐野洋子

小学館文庫    1988年

 

「~ゴリラ」には本人はヘタといっているが、素晴らしいエッチング

 

がある。線にオリジナリティがある。文章も超現実といってよく、ファ

 

ンタジーでもなく、かといってリアルではない世界が描かれる。

 

椅子は歩くし、しゃべるし、最後はゴミの山で壊れてしまう始末。

 

悲劇なのか、と問われれば、そのような気もするし。死んだ猫が、

 

ブツブツ言った、「力いっぱい生きたのよ」、「力いっぱい死んでい

 

るのか」、「ぼく、すごく短く生きたみたい、鳥みたいに、花みたいに。

 

すてきだったなあ。もう一回ぼく、真っ白いハンカチになっても、同じ

 

ことするの」という会話がある。これは佐野女史からのメッセージだ。

 

精いっぱい生きてみろ。そしたら、いっぱい死ぬことができる。たく

 

さんの生を同時に、何人分も生きるのだ、それが、作家といういきもの

 

らしい。……合掌。


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