古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

草枕       夏目漱石

2016-01-21 02:14:58 | 小説の紹介
明治39年1906年




しきりにこの主人公は考え事をする。冒頭に智に働けば角が立つ、情に




棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とにかく、人の世は住みにくい、




とある。漱石先生もとてもこの世が住みにくいと感じていらっしゃった




ようである。主人公は非人情を通している、画工であるが、詩を作り、俳





句を作る。山を登り、志保田と言う温泉宿に泊まり、そこで昔の投身自殺



をした女の血を引く女将に少々翻弄される。なにか全体的に詩的で、桃源郷を



その温泉宿に抱く。旅はそうでなくてはいけないらしい。先生が三十九歳の時




の作品である、その時にはもの凄い売れたそうである。
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鶯     伊藤永之介

2016-01-19 14:49:20 | 小説の紹介
昭和13年





駐在所を舞台に、田舎の(どこかわからないが東北。)




で、婆さんが訪ねていくところから始まる。そして、



めぐりあわせがあり、子供を駐在所で産んだ女(すご




いな……)が婆さんの探していた娘だという、で終



わる。偶然も過ぎるかもしれないが……。方言は良



く分からないが、実直で表現は直接的で、その時代



のこととか社会、コミュニティー、が良く分かる。



貧しいトリを盗んで食いつないで暮らす人もぐりの




産婆、鶯を売る女……そこには人生の一断片のみなら



ず、生活がある。
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熱帯樹    三島由紀夫

2016-01-17 15:21:49 | 小説の紹介
昭和37年3月



演劇の脚本として書かれたらしい。郁子は病気で




一カ月に一羽小鳥を殺しているという導入部分。



金持ちの父親との折り合いが悪く、母は父を殺し




たいと思っているが、目の前では父好みの派手な



服を着て、尻尾を振っている。というような、三島



お得意のセレブのどろどろ話である。まあ、こんな




野ばかり書いていたら、死にたくもなるよな、と言



う話である……。
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サイドカーに犬   長嶋有

2016-01-16 12:22:54 | 小説の紹介
2001年六月号



離婚した男親の元に、「洋子さん」という



ノールールの女がやって来て、すっちゃか



めっちゃかやって、……母の登場!となる。



ひと夏の自由を描いているのだが、凄く



楽しくて、面白く描けていると思う。



どちらかと言うと、芥川賞を取った、猛ス




ピードで母は、よりもこっちの作品のほうが




良いのではないか、と思わせるほどだ。



パックマンのゲームの筐体が部屋にやってく



るところなんかが僕は好きなんだけど。                                
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メタモルフォセス群島     筒井康隆

2016-01-15 11:59:51 | 筒井康隆
核実験で四十年放置された群島に調査に





来た二人。冗談好きなので、ロクデナシやら、





ヒトデナシ、と名付けることに困惑する。




そして、原住民の調査で一人は食虫植物に




食べられて、頭が実となってしまう。そ




れは、種子で……。しかし、主人公はと



うとう狂ってしまう。



ドタバタ的要素を充溢させて、SFに仕上げ




るとこうなるのかな、と思った。テーマに




対して不真面目なのも筒井流で笑えてしま



うから不思議だ。
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小説  吉本興業     難波利三

2016-01-13 10:41:09 | 小説の紹介
昭和63年8月文藝春秋刊……文春文庫






演芸会のドン、林正之助を描く。ほかに、仁鶴、きよし、白木




みのる、プロデューサーSAWADAについて書かれた章がある。



時代を操ってきた吉本、そこには林さんだけではない、鋭敏な



プロデューサーの面々、タレントがいて、そのひと達が色濃く



影響を時代、会社に与えていることが良く分かる。姉のせい、



も影響力を持っていたし、その旦那も初期には吉本を支え




ていたのだ。大きいことをするとき、それは一人では成し得ない、




ということだ。





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マンボウ、最後の大バクチ  北杜夫

2016-01-12 14:50:50 | 小説の紹介
マンボウさんので、読んだ中でおもしろかったのは




青春期が面白かったが、この大バクチもそれのおも




しろさとは違いなかなかおもしろかった。一章では




少年時代に父斎藤茂吉に影響を受けたことや、ファ



ーブルに影響を受けて虫好きになったことを語る。




二章では、最後のギャンブル紀行と題して、上山競



馬場と韓国でのバクチを打った話が赤裸々に語られる。




第三章では、星新一さんについても書かれていて、ナ



メクジのものまねをしていたらしい……変人?・・・…




文学の巨人たちの素顔も垣間見えて、興味深い……!
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グランド・ブルテーシュ奇譚 バルザック

2016-01-10 13:45:20 | 小説の紹介
宮下志朗・訳



ビアンションが古びた館を散策している。すると、





公証人が現れ、散策を中止するように言う。そんな




ことから、メレ夫人のことを知り、メレ夫人のこと



を聞くうちに、メレ氏が、夫人の浮気に遭遇し、恐




ろしい凶行に走ったことを知ることになる
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厚物咲(あつものざき)    中山義秀

2016-01-09 09:58:14 | 小説の紹介
第七回  昭和十三年 上半期 芥川賞受賞





数十年の付き合いの片野と瀬谷。片野は金鉱堀を



一緒にして騙されて、身上を潰していた。瀬谷は




法律に明るく、書状書きなどをして、生計を立て



ていた。厚物咲とは菊の花のことで、片野は未亡人に




恋し、縊死するのだが、三年がかりで咲かせた花が




厚物咲だったという……。どっちかというと、斬新さ




はあまりなくて、直木賞っぽいかな、と言う気もしないで



もないけれど。



まあ、この時代のひとにしては、読みやすかったことは



確かです。
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薔薇屋敷    立原正秋

2016-01-08 09:39:16 | 小説の紹介
……新潮文庫





まだ戦争の爪痕残る横浜、周二は売春宿、薔薇屋敷で




黒人女メアリイの体にのめりこみ、そして、阿片にも




手を出すようになる。兄の嫁は兄が死んだことで、周



二との結婚を望んだ……。そのために牢に入り、ヤクを




絶つことにする。ヤク絶ちしている間に、薔薇屋敷は検



挙される。女主人も捕まってしまった。戦争によって




青春を失ってしまった後の世代の青春小説……ちょっと




ビター。
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